ナントカ堂 2023/05/23 22:39

海陵本紀

『金史』の「海陵本紀」の初めの方を少し読んだら、海陵王は割とまともな事言っているな~と。


天徳二年十二月乙卯
 担当官が「慶雲が見えた」と報告すると、帝は言った。
 「朕に何の徳があって瑞兆があるというのか。今後、瑞兆は報告しないように。もし妖異ならば、朕への訓戒であるので報告せよ。朕は自省しよう。」

天徳三年正月甲午
 帝が御史大夫の趙資福に言った。
 「汝らの多くは、私情に流されて誰も弾劾せず、朕に取るに足らないことばかり言っている。今後は百官で法を破る者がいれば、必ずや弾劾し、権力者といえど憚ることの無いように。」

同月乙未
 帝が都から出て狩猟に行ったので、宰相以下が近郊まで見送った。このとき帝は馬を止めてこう訓戒した。
 「朕は惜しむことなく高い地位と手厚い俸禄を汝らに与えて職務を任せていたのに、近ごろ聞くところに拠れば、多くの政務が滞っているという。汝らは自分のことだけを考えて、民の事を思っていないのではないか。今後は朕がその勤怠を調べて賞罰を行う。各々職務に努めよ。」

同年三月己亥
 帝が侍臣に言った。
 「昨日は太子の誕生日で、皇后が朕に献上したもののうち一品が、大変良い物であった。卿も見ると良い。」
 そして袋から取り出すと、田家稼穡図であった。
 「皇后は『太子が宮中の奥深くに生まれ、民間の農作業の苦労を知らない』と考えて、これを献上したのだ。朕はこれを甚だ賢明だと思う。」

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