海陵王の三つの望み
wikiに
即位後、腹心に「金の君主となる」「宋を討ってその皇帝を自分の膝下にひざまずかせる」「天下一の美女を娶る」という3つの夢を打ち明けている
とありますが、このことが記されている『金史』列伝六十七「高懷貞」を見るなら即位前のことです。以下その訳文。
高懐貞は尚書省の令史で、以前から海陵王と親しかった。海陵王は長い間、叛逆心を抱き、高懐貞にたびたび内心を明かしていた。海陵王は言った。
「私には三つの志がある。国家の大事は全て私が決めることが一つ目。兵を出して宋を討ち、君長を捕えて面前で罪を問うことが二つ目。天下の絶世の美女を妻とすることが三つ目である。」
これより小人佞夫が皆その志を知り、争って気に入られる話をした。
大定県丞の張忠輔は海陵王に「貴公と帝が撃球をしている夢を見ました。貴公の乗る馬がぶつかって通り過ぎると、帝は落馬しました。」と言った。海陵王はこれを聞いて大いに喜んだ。
このころ熙宗の在位は長く、重臣に政治を任せていた。海陵王は親しい者を宰相として(宋や金などでは宰相は複数名)権力を握り、遂には弑逆を図った。全て高懐貞ら小人が阿諛追従して導いたものである。
叛逆の志が広く知れ渡っている時点で、普通に熙宗に粛清されている思うのですが。