ナントカ堂 2023/04/25 23:41

明史の文章は悪文だと思います。

 明史の文章って、一部の人間しか理解できない文章作ってマウント取りたがる儒者からしたら「良文」なのでしょうが、分かり易い文章が良いという基準からしたらかなりの悪文揃いです。
たとえば「后妃一」の洪武帝の馬皇后のこの記事


 初,后從帝軍中,值歲大歉,帝又為郭氏所疑,嘗乏食。后竊炊餅,懷以進,肉為焦。居常貯糗糒脯脩供帝,無所乏絕,


 意味がよく分からないな、と思ってたら『勝朝彤史拾遺記』におよそこのように書いてありました。


 郭子興の三人の子は洪武帝と仲が悪く、しばしば洪武帝を讒言したため、郭子興は理由を付けて、洪武帝を別室に幽閉し、食事を与えなかった。馬氏は密かに懐に食べ物を入れて差し入れた。しかしあるとき熱い餅を胸の近くに入れたため、胸を火傷した。


 『明史』の文章は、「従軍中、凶作の歳になり(后從帝軍中,值歲大歉)」は「常に干し飯や干し肉を貯めて帝に供し、欠乏することは無かった(居常貯糗糒脯脩供帝,無所乏絕)」に繋げるべきであり、途中に別のエピソードを入れるべきではないでしょう。
 また幽閉されたことを書いていないから、初めに読んだ時に、凶作を理由に郭子興が洪武帝に兵糧をくれなかったのかと思いましたし、「餅を蒸した」の後に「肉が焦げた」とあるから食べ物のことかと思いました。
 『明史』は、状況説明が抜けていたり、主語が誰だかわからない文章だらけで、現代の感覚から見るとかなり悪文でしょう。

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