エローン大君 2020/09/22 22:26

ゲームの「調味料」 ゲームバランスに関する超適当話


ゲームを料理と捉えるならば、ゲームバランスは調味料

王道のゲームを中心に遊ぶ人がいれば、高難易度のゲームばかりを遊ぶ人もいる。
人によって好みが大きく変わることを考えると、ゲームって「料理」に似てるところがありますよね。
ゲームシステムやCGや音楽などの、食材を上手く調理していく。
ジャンルという名のレシピに従えば、似通ったものになれど美味しいものが誰でも作れる。変にアレンジしすぎるとマズくなるのも大体一緒です。

ただ、全く同じシステム・CG等の演出であっても、簡単すぎたり難しすぎたり、単調すぎたりすると急激につまらなくなってしまいます。
「ゲームバランス」は料理で例えると調味料。ここのさじ加減を間違ってしまうと、残念な料理ができあがってしまうのです。
今回はゲームの印象を決定づけると言っても過言ではない、ゲームバランスについて雑かつ適当に考えていきたいと思います。


貴方は激辛料理はお好き? ゲームバランスに100点満点の正解は無し

「ゲームバランスが悪いゲームは面白い」
なんて一部で言われることはありますが、一般的にゲームバランスはきちんと整えるべきです。
実際のところ、ゲームバランスはこう整えるべき!という100点満点な正解はありません。

好みが分かれるゲームバランスの例としては、いわゆる「死にゲー」が分かりやすい例として挙げられます。
死にゲーの楽しさのコアは、何度もトライ&エラーを繰り返すことによって「上達感」を得るところだと思います。
死にゲーを料理で例えるとするならば、苦痛と快楽が入り混じった激辛料理と言ったところでしょう。
なので、激辛料理のようにプレイヤーの反応も、「これこれ!こういうのだよ!」と全力で楽しむものと、「難しすぎてイライラする!二度とやらねー!」となるものに大きく分かれます。
更に言うなら、王道であるスーパーマリオブラザースのレベルでも「ハンマーブロスはクソ!」と投げだす人はいます。ちなみに私はワールド8-3アンチです。なんだ地面をウロチョロするハンマーブロスって。

万人受けするゲームを作ることは出来ても、世界中の誰もが「最高に楽しい!」と思えるゲームは存在しないと言っても過言ではありません。
それぞれのプレイヤーの嗜好が異なる以上は、仕方が無いことなのです。


悪いゲームバランスによくある「バランスブレイカー」の話と、バランスが崩れる要因


とは言え、正解のゲームバランスはなくとも、悪いゲームバランスは存在します。
よく「バランスブレイカー」と呼ばれるものとしては、

・それだけ繰り返していれば何とかなるプレイング
・あまりにも強すぎるキャラクター・武器
・極端に難易度が簡単すぎる、もしくは高すぎる


こんな感じのものがあります。
私の経験としては、ゲーム全体としてバランスが悪いわけではないのですが、「第4次スーパーロボット大戦」が印象深いです。
明らかに強いオーラバトラー系のユニット「ビルバイン」で無双していたら、ビルバインが宇宙に行ってしまって参戦できないシナリオ「栄光の落日」で吐くほどにボコボコにされました。
育成偏りすぎて……戦力になるやつが主人公機しかいなかったんだよね……。

こういったバランスの崩れは、作り手の想定とプレイヤーの行動・認識のズレによって起こることがほとんど。
「うちのゲームはこう遊んでほしい」と作り手が思っていても、ゲーム経験・思考がプレイヤーによって違う以上、想定外のプレイも飛び出してくるものです。
作り手とプレイヤー間の意識の乖離が、物凄く分かりやすい形で出てしまったのが「ゲームバランスが悪い」状況だと言えましょう。
プレイヤーがバランスにキレる時、大体「思ってたんと違う!」という気持ちがベースにありますが、作り手も作り手で「遊び方が思ってたんと違う!」となっているのです。

ちなみに、致命的なほどのズレでなくても、難易度に関しては結構カジュアルな感じで「バランスが悪い」と言われがちです。
実際の調整ミスだけでなく、「作り手が想定したプレイヤー層と実際のプレイヤーが噛み合わなかった」という些細な場合にも起こるからです。
小学生向けのキャラゲーなのに異様に難しくしてしまったり、「可愛いキャラだけど高難易度」をやろうとしてプレイヤーへの印象付けをミスってしまったり。
また、大人向けのえっちなアクションゲームだと、「プレイヤーがクリアできなければ、えっちなコンテンツが見せられない」ということで、極端に簡単に設定してしまうこともあります。
これを普通のゲーマーがプレイすると、「簡単で単調すぎるんじゃコンニャロ!」とぷりぷり怒ってしまうわけですな。

凄く適当に言うんだけども、フリーゲームの感想が荒れたりするのって、遊ぶターゲット層を一切限定できない(強いていうなら「フリーゲームで遊びたい人」ってだけ)という面もあるんじゃないかな、と思っていたりもします。
私が作ったあのクソみたいなシューティング、ふりーむあたりに載せたら絶対痛メールくるぜ。


対戦ゲームならではのゲームバランス事情 調整に意見を取り入れるとカオスなことに?


1人用のゲームの「ゲームバランス」も大変ですが、対戦ゲームになるとバランスの話は余計に複雑化します。
対戦ゲームにおける「悪いゲームバランス」でよく言われるのは、対戦ゲームにおけるキャラやクラス・武器の強弱でしょうか。
プレイヤー同士の対戦になるので、真っ先に目が向かうのはプレイヤーキャラ自体の性能になります。
強すぎる技を持った格ゲーキャラは嫌われますし、FPSでは一方的に撃てるスナイパーが強いと色々と言われがち。
他にも、ハメ技などで「一回攻撃を食らうと逆転不可」なんて状況が起こる場合も、ゲームバランスが悪いと嫌われたりしますね。

では、ゲームバランスを整える上で「そういうキャラや技をなくせばいいのか」と言われると違います。
完全になくしてしまうと、遠距離技主体の戦法だったプレイヤーや、たまには突撃ドンパチではなくクールに決めてみたいプレイヤーは、ゲームの楽しみを永遠に失ってしまいます。
極論を言うと、キャラは1人のみ・全プレイヤー同じ武器にすれば、対戦におけるゲームバランスは確かに整います。
が、その分出来ることが少なくなり、純粋にゲームで楽しめる「遊び」がガッツリ減ってしまうのです。

また、対戦ゲームのゲームバランスは、「プレイヤーの意見が参考になりづらい」のも特徴。
人間は目立つところばかりを注目してしまい、プレイヤーからの意見も自ずと偏ってしまうものです。
プレイヤーが干渉しあうため、「あるキャラの動きを1F早くする」と言った少しの要素の変更が、ゲーム全体に波及する繊細な対戦ゲームでは、この意見の偏りが大変な事態を生みます。
一見して分かりづらいマスクステータスよりも数値化されたデータばかりを注目したり、キャラや武器間の相性を全体のバランスが悪いと勘違いしたり。

プレイヤー間のゲームへの理解度の差もあいまって、ゲームの尖っているところだけがクローズアップされたカオスな意見が出来上がります。
これはプレイヤーが悪いわけではなく、「楽しく快適にゲームを遊ぶ」ことは「気持ち良く勝ち負けを競い合える環境になる」ことなので、おのずと自分に対して露骨に不利な要素なども上げてしまいがちなのです。
そのため、プレイヤーの意見を何も考えずに取り入れて調整をすると、、逆に凄くチグハグなバランスになってしまいます。
少し動かすだけでゲーム全体のバランスが変わってしまう対戦ゲーム。自分が何故そのような調整にしたのか、その理由と意見をきちんと照らし合わせるべきでしょう。

対戦ゲームでのゲームバランスで一番大事なのは、全プレイヤーが平等に戦えることではなく、全プレイヤーが楽しめること。
例えば、格ゲーの「キャンセル」はバグを正式な仕様として採用した例ですが、このキャンセルというシステムから多数の即死連携などが多数生まれました。
しかし、功罪はありながらも、上達を味わえるテクとして、格ゲージャンルに無くてはならないものとなっています。なんなら、即死連携やそれに類するものを探すために、トレーニングモードにこもりっきりの人もいるほど。
そう、ゲームが面白くなるのであれば意図的にゲームバランスを崩すことはアリなのです。


ゲームバランスの指標と、「崩れているのに面白いゲーム」の話

ゲームの掲示板やコミュニティに行くと、時たま目にする「ゲームバランスが悪いゲームは面白い」という言葉。
素直に頷けるものではありませんが、ゲームを遊ぶ者として「部分的にはそう」というのは確かだと思います。
とは言え、調整を完全に放棄したから奇跡的に面白くなった、というものではありません。

ゲームバランスを取る上での指標は、「プレイヤーにどのように楽しんでもらいたいか」という意図だと考えています。
用意している「このゲームの楽しいところはここ!」という部分を、満足に楽しんでもらうことが一番大事なのです。
ただちょっとしたニュアンスがあって、「プレイヤーに100%作り手の想定通りに遊ばせる」こととは違います。
あまりに作り手からの誘導がきつすぎると、操り人形になったかのように非常に窮屈で、プレイヤーとしては楽しむことは出来ません。
※音ゲーやシューティングのように「上達を楽しむゲーム」としてデザイン出来ていれば、そういうゲームとしてプレイヤーは受け入れられるでしょう。

そしてよく言われる「ゲームバランスが悪いのに面白いゲーム」は、「楽しさを味わわせる」部分が尖ったゲームだと思っています。
料理で言うと、ジャンクフードとかスナック菓子とか、そういう雑に美味しい感じのやつ。
バランスが整っていない代わり、元々の楽しさが強調されたり、別の楽しさが生まれたり。
対戦ゲームのように「ジャンル的に崩れるのは受け入れている」場合もあり、作り手が想定しているかはゲームによって様々でしょう。
バランスは悪くはあれ崩れてしまうほどではない、そんなある意味凄いバランス感覚のもとで、そういうゲームは成り立っているのです。

実際のところ、プレイヤーは驚くほど突飛なプレイをしますし、「え?仕掛けに気付かずに……詰んでる……?」と誘導不足で悲しいことにもなったりします。
ゲームの仕様は作り手が一番知っていますが、データ同士が作用して「ゲーム的にどうなるか」はプレイヤーの方が詳しい、なんてこともあるかもしれません。
ゲームバランスの問題は、結局「プレイヤーがゲームを遊んで納得できたか」によるところが大きいので、指標はあっても本当の正解はないんですよね。
普通に遊ぶ人は「バランスが良い」と思っても、やり込んだ人的には実は「バランスが悪い」と思っていたりすることもあると思うので、調整の軸足をどこに置くか、というのが結局は大事なのかもしれません。


~締まらないけど完~


【余談】
ゲームバランスは「ゲーム中のユーザの気持ち」よりは、「プレイ後のユーザの気持ち」に寄り添うべきだと思っているんですが、ここ辺り深く考えるの大変そうなので、軽い言及で辞めておきます。
良いゲームでも一回しか出来ない場合と、リプレイ性がある場合って、後者の方が個人的にはありがたいです。
もちろん、ストーリーを追う系とか1回しか遊べないゲームは別として。

格闘ゲームってよくも悪くもプレイヤー同士は平等な関係で、負けに負けてプレイを終えた時の気持ちはマジで最悪です。
様々な対戦ゲーで「リプレイ性」を得るためにどういう工夫をしているか、というのは割と気になっていたり。
スマブラとか結構ガチガチにコンボとかしたりするゲームですけど、凄い数のプレイヤーが残っているのが面白いんですよね。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索