エローン大君 2024/04/29 23:17

スペースインベーダーのどこに惹かれたのかを考えてみる(人生4回目の移植版購入記念)

スペースインベーダーを買いました(人生において4回目ぐらい)

どうも、平成生まれです。
一週間くらい前の記事で書きましたが、猛烈にスペースインベーダーがやりたくなり、Switch版のスペースインベーダー インヴィンシブルコレクションを買いました。
実のところ、スペースインベーダーを買ったのはスーパーファミコン版・PS2版・PSP版についで、これで4回目。
「わざわざ他ハードの起動準備するのが面倒くさいから」と利便性を求めての購入ですが、見方を変えれば「全く同内容なのに何本も欲しくなるくらい、私にとって好きなゲーム」ってわけなんですよね。


(↑スペースインベーダー インヴィンシブルコレクションのPV。第3作のリターンオブとか第5作のあっかんべぇだぁ~が入ってないのはシンプルに残念ですが、その代わりルナレスキューとかスペースサイクロンがあるから良し)

私にとってのスペースインベーダーは、「1年ぐらいのスパンで何故か猛烈にやりたくなる」という感じのゲーム。
流石に毎日やるほどではないよな……という感じの距離感ながら、どうしても定期的にやりたくなるほどには魅力を感じている次第です。
「何本も買いたくなるくらい魅力的」と気付いたからには、「何が私を魅了しているのか」を考えなければ損と言えましょう。
というわけで、この記事ではスペースインベーダーについて、私なりの理解や考察を雑に書き連ねてまいります。

※ゲームの歴史的な部分はまだまだ勉強足らずで抜けも多いですので、この記事は誤りやらそういうものが多いと思います。
「こういう考え方もあるよ」みたいなものも含めて、コメントをいただければありがたいです。

スペースインベーダーの基本説明

いきなりですが、私のゲームハード遍歴を振り返ってみると、「ファミコン→ゲームボーイ→メガドライブ→スーパーファミコン→PS1→PS2とかXBOX360とか」という感じ。
なので、1978年生まれの「スペースインベーダー」は完全に世代としては外れている作品です。
初めてプレイしたのも中学生の頃なので、より表現がリッチなゲームを遊びまくっていたにも関わらずハマったわけですから、それはゲームデザイン自体が優れているということなのでしょう。


(↑スーパーファミコン版の動画)

この記事を読んでる方はまずご存知だと思いますが、一応スペースインベーダーのゲーム説明をしておきましょう。
スペースインベーダーは固定画面型のシューティング。
ルールは非常に単純で、画面内にいるインベーダーの軍団を全滅させたらクリア。
軍団は画面内を右へ左へ反復移動を繰り返しますが、画面端にたどり着き反転するタイミングで一段下に降りてきます(いわゆる牛耕式?)。
最終的には地上スレスレまで降りてきて、インベーダーを倒しきれないまま地上に到達されてしまうと、「侵略」されて残機関係なくゲームオーバー。
もちろんインベーダーは弾を撃ってきますので、それに当たってもミス、残機がなくなればおしまいです。
逆に、インベーダー軍団を全滅させるとステージクリア。
次のステージは軍団の開始位置が一段下がった状態でスタートします。
ステージが進むごとに「侵略」までの時間が短くなるのはもちろん、結果的に弾の発射位置が自機に近くなっていくため、プレイヤーの反応速度的に弾回避も難しくなっていくわけですね。

スペースインベーダーは「狙い撃ち&戦略」のゲーム

個人的にシューティングは、「大量の敵を殲滅して楽しい」(間口の広さ)「狙って撃って楽しい」(奥深さ)「敵の攻撃を凌いで楽しい」(スリルと駆け引き)の3つが成立していれば素晴らしいと考えています。
そして、もちろん、これらの要素の重要度についてはそれぞれのゲームごとに配分が違います。ことスペースインベーダーにおいては、「狙い撃つ楽しさ」にかなり重きを置いたデザインとなっていると感じます。

まずスペースインベーダーの1ステージ目に関しては、よほど油断してない限りは適当でもクリアできる極めて間口の広い難易度。
しかし、時折現れるボーナスキャラのUFOに関しては、全部狙い撃って撃破するのは至難の業です。
別にUFOを無視しても支障はないのですが、頑張って1500点稼げば残機が増えますし、UFO抜きだと1面あたり990点しか稼げませんので可能な限り狙いたくなるところ。
高得点を目指していく過程の中で、「UFOへの射線を通すためにインベーダーの倒し方を工夫する」など、本作特有の「戦略」の存在をごく自然に示唆するデザインとなっています。

本作で一番最悪なのは、インベーダーを倒しきれず「侵略」されてしまうことですが、2ステージ目以降はまた別の「防衛ライン」が生まれます。
敵の侵攻開始が1段ずつ下がっていく以上、プレイヤーの反応速度に応じて「この段よりも下まで降りてこられると敵弾の回避が難しいぞ」という防衛ラインが自ずと現れてくるのです。
スペースインベーダーにおける敵弾は「頑張って気合で避けるもの」ではなく、「避けられる状況を維持しなければならないもの」。

弾が避けられるインベーダーとの距離を意識しつつ、

・敵の侵略速度を抑える → 端の縦一列を倒す
・UFOを狙うための射線を通す →  端以外の縦一列を倒す
・敵弾の発射ラインを下げる → 横一列を倒す

と言った感じで、狙うべきインベーダーをリアルタイムに切り替えながら、的確に狙い撃って攻略していく必要がある。ス
ペースインベーダーはそんな「狙い撃つことを重視した、極めて戦略的なゲームデザイン」を持った作品なのです。

スペースインベーダーの斬新なところを考えてみる

1970年代の流行りのビデオゲームを振り返ってみますと、陣取りゲーム・ブロック崩しゲーム・風船割りゲームなど様々なゲームがあります。
それらが「思い通りにならないものを上手く操作する楽しさ」を押し出していたのを考えると、スペースインベーダーの「素直な操作性&高い戦略性」というのはかなり当時として目新しいものがあったんじゃないかなと思います。

あと、シューティングゲームとして「敵が撃ってくる」こと自体、エレメカ等含めて斬新だったと聞いております。
当時のエレメカの有名作品を考えてみますと「制限時間内で敵キャラを撃ちまくる」という内容がほとんどですし、スペースインベーダーと同時期に出た「ブルーシャーク(タイトー)」もその流れに沿った射的ゲームとなっていました。


(↑ブルーシャークのプレイ動画。固定された銃を動かして鮫などを狙う。時間制も含めてエレメカのシューティングゲームの延長という感じ。実機直撮りの動画があるとはまさか思わなかった)

歴史的に見ればComputer Spaceとかの段階でUFOが弾を撃ってきてましたが当時としては難しくて普及せず、1977年発売で日本にも輸入されたDepth Chargeはゲームテンポが遅いので、今に続くシューティングゲームの流れからは大分離れているように思えます。
下手すれば30秒もかからずゲームが終わってしまう残機制、かつスピーディーなゲームテンポのスペースインベーダーが大ヒットした、というのは今改めて考えてみると不思議な思いもあります。


(↑人気が出たビデオゲーム&敵弾があるシューティングゲームな「Depth Charge」。これを更に発展させたのがセガのディープスキャン(1979年))

同じくタイトーのレーシングゲーム「スピードレース」などで「邪魔をしてくる敵」の概念自体は親しまれていたとは思うので、プレイヤー側がゲームテンポの高速化に追いつく下地ができていたという「時代の流れ」の影響が大きかったりもするのでしょうか。
(当時からあって時間制ではないスピーディーな物といえば「ピンボール」ですが、これ自体は昔からあるからなぁ……。「操作が簡単であること」もポイントなのかも)


(↑タイトー公式の名古屋撃ち実演動画。空撃ちをしてきちんとUFOの300点も狙っている)

そんな戦略的なゲームデザインを持ったスペースインベーダーなのですが、それを大きく壊しているのが「名古屋撃ち」の存在。
「インベーダーが最下段まで来た場合は敵弾が当たらないので一方的に攻撃出来る」というやつですね。
各所にある製作者インタビューを鑑みるに普通に仕様ミスなのですが、これが「侵略=即ゲームオーバー」の仕様と非常にいい感じで結びついて、強烈なスリルを生み出しているのが面白く思えます。
そしてこれが、「戦略的に堅実に軍団を撃ち倒していく」通常の攻めのプレイとは逆の、「名古屋撃ちに全てを賭け、軍団が降りてくるまで場を整えつつUFOを狙い続ける」待ち主体のプレイを受け入れる土壌となる。
アーケードゲームとしては長時間プレイに繋がるのでよろしくないんですけど、様々な遊び方が出来ることで結果的にリプレイ性を上げることに繋がったのかなと感じました。


(↑レインボーの実演動画。バグなんですが続編パート2では名古屋撃ちともども営業からの要望で残されたとかなんとか)

UFOの撃破得点の仕組みがバレた(自機のショット数に紐づいている)ことしかり、仕様ミスとよりバグであるレインボーしかり、製作者が想定してなかった部分のほぼ全てが、プレイヤーの印象としてポジティブな方向に働いたというのもかなり興味深いところです。
本来考えていたであろうゲームデザイン的には、空撃ちとかも美しくはないんでしょうけどね……。

私がスペースインベーダーを好きな理由

私がスペースインベーダーを急に猛烈にやりたくなる理由を考えてみると、「スペースインベーダー以外のシューティングゲームでは味わえない戦略性」と「スピーディーなゲーム展開」が両立しているからなのではないかと考えています。
そもそも今どき固定画面のシューティングゲーム自体がレアですし、「敵の倒し方次第で難易度が下がる」というのが直感的に分かりやすいのが本当に楽しいんですね。
それで何プレイもしているうちに、「噂に聞いた名古屋撃ちやレインボーを狙おう」みたいなイタズラ心が出てきて、またそれに何プレイも費やして。
「どんな風に遊んでも楽しめる」という間口の広さも加わって、独特の中毒性もあるのがよりたまらない。
他にも沢山の魅力が詰まってるゲームなのですが、今の私の中での理解はこの程度、ということで筆をおきたいと思います。

余談

余談としましては、「敵軍団を全滅する」という行為自体に、プリミティブな楽しさがあるのではないかという考察をしておりましたが、それが人間のどこからくる欲求なのかがよく分かっておらず、上手く言及できませんでした。
「物を整理する」「ジグソーパズルを完成させる」ことに、達成感以外の快感があるように思えるんですけど、「本能」とはまた違うような気がするんですよね。
ブロック崩しだったりドットイート系ゲームだったり、「邪魔なオブジェクトを消していく気持ち良さ」が大事な要素だと思うのですが、本当に基づくものなのか、文化に根差したものなのか……、もしかして人によって共感できないタイプの快感なのか……。
うーむ、よく分からん……。


(↑関西精機(KASCO)のSTAR V。敵が攻撃してくるタイプのシューティングゲームなエレメカ)

あと、もう一つオマケ話として、エレメカの話も。
この記事書いてる途中、関西精機(ミニドライブでおなじみ)というところが作った「STAR V」ってゲームで遊んだことをふと思い出しまして。
どんなゲームかと言いますと、「惑星上にあるポイントを対地攻撃する」という内容の時間制のエレメカ。
最大の特徴は「高度」の概念の存在で、ある程度高度を下げないと対地攻撃ができない(ATTACK表示が出ればOK)代わり、DANGER表示が出た時に高度を上げないと自機が撃破されてしまう、という内容。
ただ「いつ作られた作品か」というのを覚えてなくて、「1978年より前だったら大変なことだぞ」と思い、いざ調べてみたら1980年とのこと。
1980年ともなれば色々な種類のビデオゲームが出てきた頃とは言え、こんな複雑な内容のゲームをエレメカで作ってしまうというのは凄いことだなぁと思った次第でした。

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