ぼんやりクラブ 2019/06/07 10:29

シナリオ的に考える少年漫画(バトル漫画)

こちらの記事をぺろっと眺めました。

https://news.nicovideo.jp/watch/nw5425848

「主人公の強さは、努力ではなく血筋によるもの」

「もともとエリートだったというオチが多く、努力だけで強くなった主人公が…」
あーじゃこーじゃ書いてあります。

シナリオ的考えて、なぜ、そのような展開になるのか?

「努力」というものが現実の人間の世界のそれを基準にすると、どうしても限界がある。許容範囲を越えるには、それ相応の器があったほうが説得力が増す。

「努力して、努力して、努力して…」
敵に負けたり、挫折したり、紆余曲折あるにしても、その度に、際限なく強くなっていく展開はそれこそ薄っぺらいし、都合が良すぎる。ぶっちゃけ、どこかで頭打ちしてほしい。
(というか、努力だけでどこまでも強くなれるってことは、そもそも最強の素質を持っているってことではないのか!?)

なので、「実は、こういう血筋で…」という設定があったほうが、シナリオとしては安定感があるし、前もって伏線をはっておけば、短調なレベル上げ的マンネリシーンを無くすことができる。

そして、その宣言が入れば、『ふわ~っとしれ~っと【努力】によって、なんとなく成長してしまう』…なんてことにはならず、思いっきり限界を越えて強くなるような、最高に盛り上がるシチュエーションを堂々と描ける。

とりわけバトル漫画は「強くなる」ことが前提だと思うので、最初から最後まで「強くなる」という展開が尽きないはず。
だから、あの手この手で「強敵との闘い(勝利の経験による成長)」「修行(能力/技術獲得による成長)」「感情の変化(精神的な成長)」みたいな成長パターンを入れて、その都度主人公を「強くさせていかなければいけない」。

作者的には、ここが大変だと思う。毎回毎回、強くさせる展開を用意しなければいけない。それもワンパターンでは飽きられるので、仲間とか、第三勢力との関係とか、世界情勢とか、感情的な部分とか、過去の生い立ちとか、アレコレその他の要素を盛り込んで、新しいシナリオを提供していかなければいけない。※その方が面白いので

だとすると、やはり起承転結でいう「転」的な、劇的に状況が変わるような何かが物語にはあったほうが作り手、受け手、どちらにとっても都合がよいので、たとえば主人公の過去と絡める形でその強さの所以を説明するような、そういった見せ場をつくることはすごく理にかなっているように思う。単純にシナリオの構造がしっかりする。

余談:多分だけど

少年漫画、バトル漫画の読者層や「数字的」な意味で、本当に主人公が努力だけで強くなっていくものは、彼らにとってスケール感が小さかったり、あるいは地味な印象を与えてしまうのかもしれない(要はより現実的なストーリー・あるいはその成長が腑に落ちないものとなる)ので、「人間離れした強烈なインパクトのある物語」の方がやっぱ受けるんだと思う。(アニメ化された際、映えるし)

バトルを盛り上げる要素としての、頭脳戦だったり、感情表現、心理描写を多用したり、独特の演出でみせてくるような内容だと、どちらかというと「動」より「静」になるので、ところどころ織り交ぜる程度にしないと勢いがなくなってしまうのかもしれない。
※個人的には、こっちの作風も大好きです。

創作サークル ぼんやりクラブ
Webサイト:http://bonyari.club/
Twitter:@bonyari_club

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