ぼんやりクラブ 2019/06/28 02:32

【最近観た映画】『バスターの壊れた心』

※ネタバレ注意です










感動する映画に巡りあったとき

私は「その記憶を大切にしたい」という思いに駆られるので、感動が薄れ、内容を忘れるくらいになるまでは、再度作品を鑑賞することは、あんまりないです。
(どうにも、しばらくの間は「上書き」するような気持ちにはなれない)

もっとも、軽~く見られるものはそうでもない(主にコメディ)
頭空っぽにして、ぼけ~っと終始リラックスして観ていられる内容ならば、気分次第で何度も視聴できます。

https://www.youtube.com/watch?v=K9S9F5DRhbg

バスターの壊れた心』は、コメディではないものの、30日も経たないうちにもう一度観た作品です。作風が個人的にすごく気に入り、一度内容を知った上で再び観たいと思って、今月も鑑賞しました。

どっちかというと気楽に観られるものではない(?)し、強烈なインパクトのある感動巨編といった類の物語でもないです。

しかし、ぼんやり立ち込めるような静けさと、そのなかでジワジワと壊れていく日常描写が非常に魅力的で、個人的に大好物な独特な空気感のある作品です。

主人公の職場のホテルが舞台となる序盤では、妻や幼い娘を中心に、妻の両親である義父母、会社の上司や同僚との人間関係が描かれ、「何気ない日常」が展開されます。

特筆すべきは、度々織り交ぜられる過去や未来(その場面の時系列に対して)の1シーン(カット)が入る演出です。その適度な謎と緊張感を与えるシーン(カット)は、後に訪れる「日常の崩壊」と「主人公の変貌」を示す伏線(前兆)であったことが中盤~終盤にかけて明らかになります。

数秒ほど時系列の違うシーン(カット)が入ることがほとんどなので、テンポを崩さないまま、その場面を上手く強調させています。特に、現在と過去、未来をつなげる描写は、主人公のおかれる状況や心情の変化を際立たせており、素晴らしいなと感じます。

誰しもが鑑賞後スッキリした気分を味わえるか、といえば正直微妙なところです。
でも、物語の構成や演出、作品全体に漂う雰囲気だけでも、個人的には十分満足できます。

一応、謎に対する答えを示しているので、筋は通っています。
ただ、推理小説のように、その筋の通り方で「スッキリ」を感じられるタイプの映画ではないかなと思います。

ほんのり陰鬱で、決して明るいお話ではないけれど、人によってはクセになる世界観だと思います。十中八九また観ると思います。

全然違うけど、なんとなくlainを思い出しました。

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創作サークル ぼんやりクラブ
Webサイト:http://bonyari.club/
Twitter:@bonyari_club

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