お菓子で小説シリーズ「ルマンド」
こんにちは、皐月うしこです。
Twitterや他の活動で作成した作品をこちらでストック。
「お菓子で小説」シリーズ
(1話300文字ほど)
お題「ルマンド」
サクサク、サクサク。一定の可愛らしい音が聞こえてきたと思った瞬間、思わず彼女の顔を見て笑ってしまったのは、本当に申し訳ないと思っている。
「口の周りにいっぱいついてるよ」
アリであれば、喜んでその唇に群がっていくだろうに、残念ながらここにアリは存在しない。仲良く並んで帰る下刻途中で立ち寄ったコンビニのイートイン。お菓子コーナーに売っていた定番の袋を手に持って、彼女は嬉しそうに笑顔だったから特に気にもしていなかった。
「ちょっと、もう笑いすぎー」
そういって、また二人して笑い合う。あと何日、こうして一緒の時間を過ごすことが出来るのか。今はまだ、未来のことを考えないでどうかこのまま。時間が止まればいいのに。