『新世界より』を読んで

ある夏の日のことでした。
私は空港で手持ちの本を読みつくしてしまったため、急遽構内の本屋さんでフライト前に手頃な本を買い求めたのです。

ところが、空港内のこじんまりとした本屋さんですので、それほど幅広い選択肢があるわけではありません。
目に入ったのは、『新世界より』。……全然手頃じゃねーな。

それは刊行当初の2008年から、話題になっていた作品でした。
当時から私はその巻の分厚さに恐れをなし、なかなか手が出せずにいたのです。
これも一つの縁かと思い、私は上巻を買って搭乗しました。離陸後、読み始めると……

エッチエチの、エッチッチ!
1000年後の未来は、フリ●セ●クス推奨の時代。女同士でも男同士でも、ところかまわずず●こんば●こん!
しかもヒロインは髪の毛の赤い女の子!
NL寸止め手●キシーンもあります!!

……失礼しました。あまりの煽情的な描写に、つい興奮してしまいました。
何しろ今はまだ原作のみの感想を書くべく、アニメ版は未視聴の状態なのですが、あまりのエロさに我慢できず同人誌は先に読んでしまいました。

まりあかわいいよまりあ。

さて、肝心の感想ですが、実は巻末の解説(※文庫版)が完璧すぎて、あまり書くことがありません。
それでも内容が重複しない範囲で特筆すべき点を述べていきます。

本作は強力なプロットを持つエンターテイメントでありながら、強烈なメッセージ性を秘めています。
無限の攻撃力を持つ我々自身を、我々はどのように統制すべきか。
その問いに対して「抑圧」に答えを見出した社会から、物語は始まります。

『虐殺機関』や『ハーモニー』を彷彿とさせる哲学的なSF世界。
主人公は闘争と破壊の末に、次なる答えを見出すところで物語は閉じられます。

1000年後の未来というと壮大な世界観ですが、やはり現代の(作中では古代とされている)文明はすでに崩壊しているんですね。
茨城から東京へ遠足に行くシーンでは、世界樹の迷宮の遺都シンジュク感があって素晴らしいです。

巻末の解説でも語られいましたが、科学文明崩壊前後の物語が読みたいです。
クロノトリガーの未来世界感があります。
で、『新世界より』で語られている1000年後の未来世界は、クロノトリガーでいうところの古代世界の感じ。

「未来よりも古代のほうが繁栄していた」という圧倒的な皮肉をクロノトリガーで感じていましたが、『新世界より』では「現代(1000年後の未来)よりも古代(我々読者の生きる現代)のほうが反映していた」という皮肉を、同様に感じます。

それにしても日本国外の話は作中を通してほとんど語られてこなかったので、「きっと何か重大な伏線に違いない……!」と思って読み進めていたのですが、とうとう話に関与することなく最後にチラッと言及されるだけで終了しました。
一体他国はどうなってるんだ……

貴志先生の次回作に期待です。

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