【2022年3月】道草恋歌の月例賞発表
みなさん、ご機嫌よう。
少し忙しくなってきたいらにかです。
みちくさびゅあー感謝祭も終盤です。
今年の感謝祭は、投稿予約をたくさんしていて期間中にあまり何もしないことを一つのテーマにしていました。
この記事も4/3日に書いています。4/８日くらいに投稿するはず。
今回はなんと、ゲスト審査員に「黒縁ナイロールのお客様」をお招きしました。
快く引き受けてくださいました黒ナイさんに心から感謝を。ありがとうございます。
というわけで、道草屋への思いを短歌・俳句で綴る道草恋歌の「黒ナイ賞」と「弥生賞」、「ホワイトデー歌会大賞」の発表です。
黒縁ナイロール賞
こんにちは、ゲスト審査員の黒縁ナイロールです。
頑張って審査します。
「黒縁ナイロール賞」略して「黒ナイ賞」は2作品を選びました。
こちらです。
1位
お客様 呼ぶ声聴いて 振り向けば 聴こえる音の 小さな日常
──左右田蓬華
2位
指先を 貴方みたいに 切れなくて
──オオムラサキさん
さて、今回の「黒ナイ賞」。選考基準は「情景が詩的であるか」としました。それを踏まえてそれぞれの講評を述べます。
左右田さんの「お客様～」は、道草屋作中世界と現実世界の交差についての短歌だと捉えました。この感覚は非常に言語化しにくいものですが、よく挑戦したなぁと思っています。「解説」を見る限り実体験を元にしている歌のようですが、説明口調になっておらず不思議な体験をしたように描写したのは面白いですね。
オオムラサキさんさんの「指先を～」は五七五で切って短歌ではなく川柳の形にしたところが面白いなと感じました。「上手く爪を切れないから、ガタガタになった爪が気になってしまう」や「貴方に切ってもらうため、爪が伸びたままになっている」など、様々な情景が浮かびますね。
お二人とも、詩的でそして素敵です。
最後に総評、あるいは雑感です。
今回は「情景が詩的かどうか」という点から選考を行いました。「情景」に注目して「感情」をスルーしたのは「あえて」です。私には難しかったために触れませんでした。
短歌も俳句も字数が少ない。だから込める感情の量が多いと「くどい」作品になってしまう。一方で、作者の感情を書かずにすべてを「想像の余地」にしてしまうと、「この短歌・俳句を『この私が』作る意味って何？」となってしまいます。このバランス感覚はなかなか一朝一夕では身に付きませんね。
とはいえ、道草恋歌という場所はファンコミュニティ。つまり、個々人の熱量が大きければ大きいほど面白い場所です。だから「詩としての美しさ＜＜＜道草屋への愛」くらいでいいのかなとも思ったりします。
そんなこんなで、黒縁ナイロールの雑感でした。
来月の作品も楽しみにしています！
弥生賞
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お客様 呼ぶ声聴いて 振り向けば 聴こえる音の 小さな日常
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作者：左右田蓬華
部門：短歌部門
解説：
よく、何も聴いていなくてもイヤホンだけは付けています。時折イヤホンに指が触れたり、ポケットの中で再生ボタンが押されたりして、不意に声が聴こえ始める事があります。呼ぶ声に思わず振り向いても、そこにあるのはいつも通りの、少し小さい音の、小さな日常です。
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次点
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健やかであれ それはそれとしてまだ雛人形はそのままにして
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作者：黒縁ナイロールのお客様
部門：短歌部門
解説：
健やかな成長は祈りたい。
でも、婚期は可能な限り送らせてほしい。
身勝手なお客様です。
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ホワイトデー歌会大賞
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届かないキャンディひとつ春の宵
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作者：黒縁ナイロールのお客様
部門：俳句・川柳部門
解説：
ホワイトデー、遅刻しました。
道草屋で飴というと｢あの｣シーンが浮かびますね。
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総評
弥生賞は黒ナイ賞と被りましたが、歌全体の情景、そして《小さな日常》という体言止めが《左右田さんが確実に見たであろう心象風景》という印象を強めていて、３月の歌で一番刺さりました。大好きです。
次点の黒ナイさんの歌も《身勝手なお客様》という視点が籠もっていて「わかる…」という共感が強く、非常に良い歌でした。
ホワイトデー歌会大賞は《届かないキャンディ》という表現が、すごく好きで選びました。
総評ですが、３月も良い歌が多く、心にグッとくるシーンが何度もありました。
４月も楽しみで仕方ありません。
あとがき
みちくさびゅあー感謝祭の準備に関連して、３月は自分の創作活動について色々と見つめ直していました。
そして、来年も道草恋歌が続いていくために少しずつできることを考えていました。
達成できるかわかりませんが、今年中に道草恋歌の百人一首を作ることを目標の一つにしたので頑張ろうと思います。
まだ思案と試行錯誤の途中ですが、道草恋歌の可能性をみなさんと一緒に広げていけたらなと思っています。
最後に連絡事項です。
４月は歌会を開催しません。５月に本気を出します。
あとゲスト審査員をお呼びしています。お楽しみに。
それでは、４月もよろしくお願いします。
以上。