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学びの咀嚼の記事 (7)

いらにか 2024/03/06 23:16

【雑記】あっという間に2月が終わった

雑記

あっという間に2月が終わった。
何もしてなかったかというと、そうでもなくて、


シュクメルリ食べたり、
A5和牛の焼肉食べたり、
弘前にクラフトビール飲みに行ったり、
同級生と久しぶりに飲みに行ったり、
喫茶&バーで飲んだくれたり、

振り返ってみると、結構いろんなことをしていた。

ただ2月はたくさん外に出たことで、考えさせられることも多かった。
そして、プライベートな時間でパソコンを起動しなかったという事実が一番の衝撃だったかもしれない。
一応、仕事ではパソコン使うし、日常生活ではスマホとかタブレットは使っていた。
なのであまり共感はしてもらえないかもしれないが、プライベートな目的でパソコンを全く使わないというのは「ずっと一緒だったテディベアを失くしてしまったのに、他のおもちゃでも日常を過ごせてしまう。でも高度に遊ぶ習慣が消え失せた」みたいな感覚だった。

正直、スマホ(タブレット)とパソコンそんな変わらないやろという人も多いと思う。
でもパソコンは日常の様々なことのハックに使いやすいのが楽しい。

例えばCi-enのマイページにNSFW画像が表示されるのを防いだり
DLsiteの作品ページから直接ギフトページを開けるようにしたり
桃色CODEのサイトにみちくさびゅあーを直接埋め込む機能作ったり
Etc...

こういうことはスマートヒョンだけでは中々できないので、パソコンの便利さを実感する。


ちなみに私物のデスクトップパソコンはあまりにも使わなすぎたので、離れて暮らす兄に貸し出している。
なので手元にあるパソコンはSurfaceGo(初代)という開発には向かない貧弱パソコンだけ。
こうやってCi-enの記事書いたりする程度には使えるのだが、タブレットでもできるからなぁ……みたいな。


そういえば久しくノートパソコンを買っていないので、アマゾンを徘徊していたら中古のリテール品がWindows11のノートPCが大量に出ていた。
しかし、CPUをみてびっくり。



Win11が正式サポートしてない世代のCPUじゃん……


ネットでの買い物も難しくなってきているなと思った。

Mes

.NET8がリリースされたら移行しようと思っていたMes。
結構致命的な設計ミスにも悩まされていて、イチから再設計しています。
正直なところ勉強も足りてなくて、このまま再実装するのも得策じゃない気がして勉強しながら設計してはバラしてを繰り返しています。

Mesの言語自体は初期の頃からコンセプトは素晴らしいと自負しています。
「デコレーション」という概念でメタ情報を扱い、それを構造化されたデータとして簡単に扱うことができ、既存のシナリオテキストをMesに書き直すのは非常に簡単なのもコンセプトが洗練されているおかげです。

テキストシナリオをプログラムで扱いやすいように構造化されたデータとして提供することで、「【Mes】ADVで使えそうな分岐管理を試験的に組み込んでみた【試験実装】」みたいな機能も比較的スムーズに開発できました

一方で、Mesの開発で一番苦労しているのはコアライブラリの実装です。
しかも、Mes本体の解析処理ではなく、Mesを便利にするための外野のフラットレイヤーとコンフィグレイヤーと呼んでいる部分で一番苦労しています。

フラットレイヤーはMesとして解析する前に、テキストに前処理を施す層です。
脚本でよく使われる表記方法の一部をMes形式に変換したり、削除していいコメントアウト部分を消したりします。
そうすることで一般的なシナリオ記述でもMesで解析できるような工夫がされています。
置換ルールと処理を書くだけなのでフラット処理単体の実装は難しくありません。
問題はコンフィグレイヤーとの関係にあります。

Mesではヘッダーと呼ばれる記述エリアに各種設定用の変数を記述することができます。
キャラ名も省略したときのデフォルト名や、各種デコレーターの記号などMesに関する設定をMesテキスト内で設定できる仕組みです。
この仕組みはMesのヘッダー部分の解析時にコンフィグへ情報の上書き処理を行います。以降の処理では上書きされたコンフィグ情報で解析されるので、デコレーター文字などの設定書き換えも可能になっています。

フラットレイヤーはヘッダー解析よりも前の段階なので、このコンフィグ書き換えの恩恵を受けられません。
フラットレイヤーでもヘッダーの変数解析をするしかありませんが、そうするとヘッダーの役割と重複します(このような役割の重複がバグの温床になります)
そうなると、ヘッダーの変数解析はフラットレイヤーに移譲するのが正しい気がしてきますが、フラットレイヤーは必ず実行されるような仕様ではなく、ライブラリ利用者が任意に外すことができる使用になっています。
(元々がテキストの前処理をしたいケースでの拡張機能的な役割なのでこのような仕様になっています)

というわけで、フラットレイヤーの前にコンフィグレイヤーを新たに作り、コンフィグレイヤーを通過したときはヘッダー解析で変数解析をスキップできるような仕様なら効率よくできそうだなとか。
そういった再設計をしています。
特にコンフィグレイヤーはまだ仕様が固まっていないのもありますが、MesEditorのようなサードパーティツール製作者がコンフィグ設定用の機構を実装しなくても機能するような柔軟な仕組みづくりを念頭にして考えています。


まだまだ時間がかかりそうですが、ここさえ満足いく作り方ができればサードパーティツールの開発はすごく楽になるのでスキルアップも兼ねてじっくり作り込もうと思います。

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いらにか 2024/01/06 14:35

【雑記】芸術じゃない芸術の話【学びの咀嚼】

著作権法について学習している時から、芸術という言葉は非常に厄介だなと思っていた
芸術は「思想(美しさ、感性等)を人が表現する活動とその活動から生まれた作品」という意味に位置づけできる。
要するに人が生み出した思想の塊が芸術であり、芸術作品と言ってもよいだろう


しかし、私たちは人が生み出したもの以外からも芸術性のようなものを享受する機会があるように思う。
自然が生み出した雄大な富士山の姿。
ウユニ塩湖の景色。
満天の星空。
ブロッコリーのフラクタル構造。


人工的でないものからも、芸術に通じる何かを私たちは享受するが、芸術性に替わって、人工的でないそれらを的確に表す言葉が未定義だと私は思った
(もしくは私が不学で適切な言葉があるのかもしれない)

「自然が生み出した芸術」と言ってしまえば万人には通じるだろうが、それはWord to Vector的な意味合成で、

芸術 - 人工的 + 天然(自然)

の式から得られるニュアンスでしかない。


仮に、狭義の芸術を人による創作物とし、広義には感動するものを指すと位置づけても芸術の意味解釈的範囲を広げただけに過ぎず、狭義の芸術以外の芸術には依然として名前が無いままだ。これを暫定的に狭義外の芸術と呼ぶことにする。


狭義の芸術と狭義外の芸術は、人によって両者を同列で評価したり、違うものとして評価したりと個人差があるはずだ。
同じ人でもケースバイケースでこの価値観がスイッチしたりするかもしれない。
綺麗や美しいという言葉は評価の結論であり、至ったゴール地点を指す。
狭義の芸術という入口だろうが、他の入り口だろうが、その先は同じ場所に通じているかもしれない。
感情という結論で言えば喜怒哀楽のどれかに帰結するだろう。
もっと単純なら、好き or 嫌いのどちらかに帰結するかもしれない。


話を本筋の戻すが、
人が創作したものは芸術であり、芸術性を語ることができるだろう。
しかし、狭義外の芸術にも芸術性のようなものがあり、そこに適切な名前がなく、その性質を説明するために芸術の名を借りているせいで混乱してしまう状況がある。AIの生成物が芸術なのか否かみたいな議論のディスコミュニケーションもこの混乱が一因だと勝手に推測している。
本来なら芸術という言葉のスコープは人工物に限るはずなのに、スコープ外の人工的でないものから芸術に似た感動を得たとき、我々は芸術の概念を使って言葉にしてしまう。
飛躍する例えかもしれないが、斧を知らずナイフを知っている人に「木を切るナイフ」と斧を説明することに近いかもしれない。
または、タコみたいな姿の火星人がいたとして、明らかに人類とは違う生命体なのにの概念に当てはめて火星人と呼んでいることに似ていると思う。


Contemporary Artを現代美術と定義してしまったように、こと芸術分野においては混乱を招くような言葉が多すぎる。
芸術自体が明確に意味を定義したりするのが難しい概念であるという側面もあるだろうが、いずれにせよ、価値観や定義などが人によって独自実装されているのに同じプロトコルとみなしてコミュニケーションに使っていたら、そりゃぁコミュニケーショントラブル起きるでしょという話。


芸術の前提議論として、(狭義の)芸術自体が自然の模倣でしかないとか、哲学的な議論はあると思うがその話はまた別の機会に考える。
僕はしばらく、狭義の芸術じゃない芸術(人の介在しない芸術領域)について色々考えたいなと思った。


参考文献
https://www.rs.tus.ac.jp/makita/stellung/stell_phi_kunst_j.html
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/15/427954/090400006/

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いらにか 2023/11/29 21:44

【合格速報】著作権の資格試験を受けてみた

TL;DR;

ビジネス著作権検定 上級を受験して受かりました。

※試験結果

発端

事の発端はAIの学習関連における法規制などが注目されてきたことだった。


学生時代に知的財産関連の単位を取った経緯もあり、知財関連には(一般人にしては)詳しい方だと思っていた。
知的財産権のなかでも、著作権は身近で結構有名なので、一般人でも名前くらいは聞いたことがあるかもしれない。


そんな経緯があるので知人から相談なども受けていたが、ふと振り返ってみて、自分がどれくらい著作権について詳しいのか第三者に説明が難しいなと思った。
加えて、AIのあおりを受けて情報の信頼性が曖昧な記事もネットに増えてきた印象があって、間違った知識も広がりそうだなという危機感もあった。
(自分の知識の信頼性も疑わしいなと感じた)


読者に覚えておいてもらいたいのだが、法律というのはあくまで評価基準に過ぎない。
たとえAIの学習行為が現行の著作権法の範囲内で適法だとしても、その行為の結果によって第三者の正当な財産を損ねた場合には損害賠償請求に発展する恐れがある。


そして、民事における係争は訴えられる側のデメリットが大きい。(個人的意見)
訴える側は事前に争点を整理した上で、勝つ見込みや何かしらの利益があって係争のカードを切ってくる。
訴えられる側は、相手の土俵で防衛戦を強いられる。
そして勝敗は白黒ではなく、非行の割合でつくこともある。


民事の係争は財務面だけでなく精神面でも負荷が大きいし、他にも民事の係争の厄介さに関する話は尽きないが、本筋から逸れるので割愛。


ともかく係争は厄介なので「係争に発展させない」といった予防や防御策が重要だと伝えたいのだ。


予防の手段は様々だが、法律に関する知識を持っておくこともその一つだ。
例えばクリエイターなら、自分の著作物をどのような法律で守ることができるのか知っておくこと。
そして著作物の権利侵害に対して法的にどのような守りができるのか。
法を知り、攻められないように穴を塞いでおくことで、守りを固める。
攻められないようにするには、攻めたくないような守りを敷くことが一番。

そういうわけで、資格とか取って、知財の法律に関する知識を固めようと思った。

資格

弁理士を除くと、著作権関連の主な資格は以下の2つが有名らしい。

・知的財産管理技能検定(国家資格)
・ビジネス著作権検定(民間)

知財管理技能検定は単なる知識だけでなく、実務レベルの能力が要求されるらしい。
技能という名前を冠しているのも納得な内容。
1級、2級、3級に分かれていて、2級以上は実務経験が受験条件にあったりする。


一方のビジネス著作権検定は、著作権に特化した内容で、ベーシック・初級・上級に分かれていて、結構カジュアル。
上級合格者は合格から2年間は、知財管理技能検定の2級受験資格を得られる。


難易度的には知財管理技能検定>ビジネス著作権検定 だが、
実務レベルは不要かなと思ったので今回はビジネス著作権検定の上級を受けることにした。
受かったら知財管理技能検定2級も目指せるので。


ちなみにビジネス著作権検定の合格率をネットで検索すると60%くらいとか出てくるが、これはベーシック・初級・上級を一纏めにした内容っぽいので注意。
上級の合格率は公開されていないが、噂では40%前後らしい。
後述するが、試験ではケアレスミスを誘発するような仕掛けがあるので知識に自信があったとしても下手して落ちる可能性が十分にある。



学習教材

令和5年度著作権テキスト

文化庁が公開している著作権に関する教材は必読と言っていいほど良い教材

https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/index.html

中でも、著作権テキストは著作権についてわかり易く丁寧にまとめられているので、著作権について知りたい一般人はもちろん、裁判の事例などリアルな知識が欲しい人にもオススメできる資料になっている。
義務教育で必ずこれ読ませた方がいいレベルだと個人的に思っている。
というか創作する人は絶対に読んだほうがいい。


ビジネス著作権検定 公式テキスト

https://book.impress.co.jp/books/1121101148

不安なら一読したほうがいいかな?くらいの教材。一応過去問ついてくる。
買ったのは(当時)最新の第3版。
著作隣接権の解説が、図説なしの日本語マシンガンで「あえて分かりづらく説明してるのか?」ってくらい不親切な点以外は良い内容だと思う。

日本の著作権の枠を少しはみ出して、契約の話や国際条約などの話も載っているが、実はこれらが試験範囲に含まれてたりする。
試験のために一読する価値はあると思う。

ビジネス著作権検定 過去問(デジタル)

2023年からデジタル過去問というものが発売されました。
https://www.sikaku.gr.jp/digital-workbook/

これ、Webで受験するのと同じシステムで過去問が解けるのでめちゃくちゃ予行演習になる。
しかも一問一答形式で個別に答え合わせできたり、間違った問題だけ解く機能もある。
また、過去問だけでなく、公式テキストの各セクションに沿った演習問題も付属。
PC/スマホ/タブレットから利用できるので、スキマ時間で勉強するのにとても便利。
これは絶対に買っておいたほうがいい。公式テキストよりも優先度高い。

ちなみに購入から1年間しか利用できませんが、1年もあったら本試験2回も受けられるし、そもそも1発合格したら不要になるので大したデメリットではありません。


さらに知識深めたい人向け

著作権法 条文(印刷した紙媒体)

会則や条文などは昔から紙媒体じゃないと脳に刷り込めない人間なので、印刷して何度か読み込んだ。
ブックマークやメモなどの体験は電子媒体がいいので一応併用したりしたが、結局は紙媒体のほうが多用した。
条文は全体の構成をなんとなく掴んでから、各パートごとに詳細を読み込むほうが階層的に記憶が定着できるので個人的にはおすすめ。


勉強法

文化庁の著作権テキストと条文で土台となる知識を固めながら、試験対策として公式テキストと過去問をやった。
公式テキストはたぶん1.5回くらいしか読んでないと思う。
過去問は何度も繰り返しすぎて慣れが起きるといけないので、直近の過去問1つだけは試験の1週間前に初めて手を付けて、2回くらい解いた。
ちなみに、この模擬テストで間違えた箇所は知識が浅い分野の特定にもなるので、残りの1週間はその分野を重点的にカバーするようにした。


ちなみに、過去問を解いてみて気づいたのは勘違いによるケアレスミスが多いこと

資格試験あるあるかもしれないが、ビジネス著作権検定の試験も日本語トラップが多い作りになっている。

例えば問題文が

~の説明として正しいものはどれか?
~の説明として誤っているものはどれか?

のようなケースがあったり、同じ問の選択肢の中でも

・~は権利を侵害している
・~は権利を侵害していない

のように統一されていない事が多い。

選択肢の説明が正しくても、問われているのは誤っているものなので、それを勘違いしてしまうケースで誤答する。

ぶっちゃけこれに関して対策は
・問題をよく読むこと
・全問解き終わったら、設問を見返してケアレスミスを見つけること
しかないなと思った。

一応、問題の傾向的に選択肢で「少し強い表現をしている場合は明らかな誤答選択か、例外的なケースでの正解」みたいな法則性もいくつかあったが、こればっかりは後学者が過信してしまうのもアレなので割愛する。

試験当日

※試験当日のハイライト
https://x.com/happy_packet/status/1723605908796895619?s=20

Webリモートで受験したが、当日は色々とトラブルがあって散々だったが、受験体制的にはしっかりしていたので逆に助けられた。


Web試験の強みとして、あとで見返すフラグが使えることが非常にありがたかった。
これがすごく便利なので、不安な問題にはつけておいた。
全問解き終わったら、見返すフラグから優先的に処理して、それが終わったら全問見返すようにした。
たぶんこれは、見返すフラグつけていないものから先に処理してもいいと思う。
自信がある問題ほど誤読でケアレスミスしてたりするし、見返すフラグから先に処理するとフラグが消えてどれが見返したやつか分からなくなってしまうので。

なのでオススメの順番はこんな感じ。
①全問解く(自信がないやつとかは見返すフラグをつける)
②見返すフラグ以外で誤読していないかチェック
③見返すフラグの問題をチェック
④時間が余ったら何度も全問チェックする

ちなみに全く分からない問題などは、消去法で「明らかにこれじゃないだろう」を消した上で確率が高そうな選択肢を選ぶと良い。
選択肢が4つから2つに絞れるだけで、単純に誤答率も75%から50%になる。
元々、問題数が40問と少ないため、合格するには点を取ることよりも点を減らさない工夫が重要。

試験を終えて

とりあえず上級に受かったので、著作権に関する知識をある程度持ち合わせていることが証明できた。落ちてたら凹んだ状態で年末進行突入だったので回避できてよかった。

ただ、まだまだ学べることは多いので、受験資格を喪失しないうちに知的財産管理技能士2級にチャレンジしてみたいなぁとか思ってる自分がいたりする。
でも勉強はまじでつらかった。特に暗記系が苦手なおじいちゃんになってる

まぁしばらくは消耗した英気の回復に専念するので、流石に3月の試験はパス。
そうなると7月かなぁ。

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いらにか 2023/06/15 18:10

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いらにか 2023/06/12 01:31

【学びの咀嚼】ひざうら先生の配信を視聴した感想②【そろそろ絵師に真剣に怒られる日】

【学びの咀嚼】ひざうら先生の配信を視聴した感想①【そろそろ絵師に真剣に怒られる日】の続きを書く。

https://youtu.be/iYXzBfHUZYE

前の記事の繰り返しになるが、
あと論評なんてものは後出しジャンケンでしか無いと思っている。
つまり、平等な状態ではないのでその点を理解してこの記事は読んでもらいたい。

あと、方針以降の話については言及しません。

本編

論点0 :人間よりAIのほうが優秀?

これは優劣の定義によるし、AIも人間も単一の個体を指していないので比較が難しい。
論外とまでは言わないが、前提条件によって結論にばらつきが生まれるはずなので不毛だとは思う。

あと些細なことかもしれないが、人間絵師とAI絵師の比較において、AI絵師という言葉にAI単体と使用者のどちらか(又は両方)を指すような使い方をしている気がして、少し論点がぶれている気がした。

人間絵師とAI絵師を比較する表現において、リンゴとサッカーを例として提示していたがこれは少し不適切かなと思った。
人間絵師もAI絵師も人であり、違いは道具(及び創作過程)でしかない。

なので、私としては人間絵師とAI絵師の比較なら下記の説明が的を射ていると思う。

「刀を持った人間とアサルトライフルを持った人間のどちらが強い?」
→間合いや熟練度という前提(ケース)に依存する問題なので、一概には言えない。
→論外ではなく、前提の不備。前提を含めれば論ずることができる。

ただ、道具の側面で両者を比較するときに人間絵師側の道具を何とするかを決めなければこの議論はカオスになる。

AI+人間=AI絵師(絵師)
(スキル等の道具的な何か)+人間’=人間絵師(絵師)

とするならば、絵師という区分で同列な両者は比較してもいいが、構成する単要素をとってAIと人間’を同列視するのは不適切だと思う。
AI絵師において人間が補っているであろう創作性(思想)に関して、AIと人間’を比較する論点はズレているとしか私は思えない。

よって、論点がズレているような比較事項においては、論外だと考える。
ひざうらデルタ氏の結論と同じかもしれないが、私の主張の仔細について同じ意見であるかどうかは不明なため、ここではひざうらデルタ氏と同じ意見であるという発言は控えることにする。

結論は一緒だが、論理まで一緒かどうかはわからないし、勝手に決めつけることはできない。

論点1:AIの絵は人間の絵と何が違う?

挙げられているのはあくまで現状で大衆に出回っているAI(主にStable Diffusion)の特徴である。これは事実であり、私も同じ所感を持っている。
ただし、完成という水準・基準は人によって様々であるため人間による手入れなしで完成させることは不可能という論に私は共感できなかった
→発生している案件は「完成していない絵を直せと言っている」ではないのか


少なくとも私がtext2imgで創作して公表している絵は自分の思想表現を完遂しているので完成したと見なしている。それが美術的またはその他の価値観によって、未熟である(=完成していない)と思われようが完成した作品だ。
※「人間による手入れ」には人間による選別という意味を含まないものと私は解釈しているが、間違っているのなら指摘が欲しい。


ただし、ここでひざうらデルタ氏が主張したいのは、AIイラストを完成していない絵として発生している修正案件が多発していることから、AIの生成する絵には完成品と言えないものが多く顕在されるということではないのだろうか。

その観点で言えば、ひざうらデルタ氏の主張には一理ある。
現にコンテストで優秀賞を取り話題になった「Theatere D'opera Spatial」も制作の仕上げにおいてPhotoshopによる修正・加工が人の手でなされている。
高い水準を求める職人のような視点では、人間による手入れなしではその水準の完成品を生み出すことは現状できないかもしれない。
つまり、ひざうらデルタ氏が「完成品に限定する」とした条件を既存のイラストレーターがプロフェッショナルの視点からみた完成品の水準を前提とし、AIイラストがその水準にまだ到達していないと評価している のならば、ひざうらデルタ氏の主張には共感できる。



話を論点に戻すが、AIの絵は人間の絵と何が違うかについてひざうらデルタ氏が列挙した事実は間違いではないし、そこが両者の差や違いになっていると思う。
ただし、AIのイラスト生成は発展途上の最中にある技術であり、AIはソリューション(課題解決)の一つの道具である。
そして技術はときに気持ち悪いほどに進化する。
あれができない、これができないという現状インポッシブルに思える課題は、将来的に解決される恐れがある。
現にLoRaやControlNetのような品質向上のソリューションが次々に生まれ、AIイラストの品質を底上げし始めている。
なのでこれらの事実も時間とともに変異する可能性が高い。


私にとっては、AIの絵も人間の絵のどちらも絵であることに代わりはない。
AIっぽさという表現も、使っているモデルが同じなら類似するだろうし、ひざうらデルタ氏が列挙したようなStableDiffusionの特性が集合知的にAI絵(AIっぽい絵)として認識されているだけだと思う。


両者は製作の過程が異なる。
一般的に製作者や製作過程に対する印象や評価が製作物に現れるのは避けられないと私は考えているが、議論においては明確に区分して話す必要があると思う。

※誤解しないでほしいが、ひざうらデルタ氏の発言が間違っていると主張したいわけではなく、いち視聴者として私の感想を述べているに過ぎない。


論点2:AI絵師は何も苦労していない?

これは私も否である。

だが、

もちろん、個人が努力して獲得した能力や成果は労われるべきだ。
労を費やしたのだから。

だが、絵は苦労を伴わないといけないものなのか?



論点3:AI絵師は人間絵師と同じ?

AI+人間=AI絵師(絵師)
(スキル等の道具的な何か)+人間’=人間絵師(絵師)

前述したが、人間と人間’で求められる役割や能力も異なると思うので、同一のものとして語って問題無い場合と語ってはいけない場合があると思っている。

あと製作工程も違うので、ひざうらデルタ氏が述べているように創作過程自体の楽しさも異なる。

論点4:職人気質の問題?

職人気質とか日本の文化特性の影響も否定はできないが、それを差し置いてまず言いたいのは気軽に呟けるSNSで、各々が異なる言葉の重みを持ちながら発言していることを推察しながら、文字数が制限された状態で対象の省略が許されるような圧縮言語の日本語を使って議論するリスクを考えてから使って欲しい。
冗談やネタみたいな発言も蔓延るTwitterで、健全な議論は難しいと僕は思っている
(できないわけではく、難しいという話)


あと、保守は大事。
ただ文化の良し悪しは時代によっても変化するので、時には破壊されるのが文化であると私は思っている。
私は保守(Keep)よりも保存(Save)派なので、変革に多少寛容な思想があるが、それでも文化の保護は重要だと考えている。その文化を守っている人たちの意見を汲み取ることも重要である。

論点5:イラストレーターが仕事を失う?

これは一時期問題にもなったバレエのエンタメ性と文化性の議論にも通じるところがあると思う。

人間のイラストにしか無い価値はあると思うが、AI絵にしかない価値もある。人間の絵のほうが価値が尊いものだという意味でもしこの言葉を使っていたのなら、私はそれに賛同できない。

それと、人間のイラストの価値を知ってくれるかどうか次第と触れているが、私は皆が価値を理解したところでお金を出すのかは疑問である。
人間が作ったものには温かみがあって、機械はそうじゃないみたいな観念を生み出すだけじゃないのだろうか。

この論点の問題の本質的なところは絵の品質ではなく、人間絵とAI絵の生成コスト(学習コストを除く)の差が著しいにも関わらず、両者が競合関係にあって不健全な競争を強いられていることだと私は思う。
シェアを奪われているというとは競争で負けていていることなのだから、その競争の内容が不健全(不正)なのかが議論されるべきだと思う。

AIイラストのアオリを受けても仕事を失わないイラストレーターはいるだろうし、その人達は自分のイラストの魅力で顧客をしっかり掴んでいるから人間絵師はみんなそうすればいいじゃん。
という視点でこの問題は論じてはいけない。

不当な競争を強いられているという現状について考えるべきだと思う。
その結果、法整備による規制や税による抑制が必要になるかもしれないと私は考えている。

※税による抑制とは嗜好品のようなものにかける税の効果を指している。たばこ税を増税すれば喫煙者の抑制効果はあるが、根絶が目的ではないので一定数残ることが許容される。つまり許容される範囲に収めるのが税による抑制である。関税に代表されるように不当な競争を抑止する仕組みの一つ。

論点6:AI生成は人間絵師への発注にも役立つ?


これは人によるはずだ。
詳細に要求定義書を書いてくれるのを喜ぶ人もいれば、自由裁量が多いほうを好む人もいるはずだ。

絵が描けないために自分の思想表現を代行してほしい発注者の場合、自分の思想表現を伝達するしかない。
私は思想伝達の表現幅が増えることは良いことだと考えている。
それが副次的に引き起こす問題(オリジナルの発想の可能性を狭める)は分けて考えるべきだし、その副次的作用が無視できないのならその伝達手段をやめることも選べるはずだ。
(IT断食がまさにその例だと思う)

クリエイターの感覚がズレているからこそ新しいものを作り出せるという意見には共感できるが、ズレているからこそ顧客が表現したいことから外れるリスクも有る。
だからこそ、複数人での創作において思想の言語化とそれに対するイメージの共有は重要だと私は考えている。
もちろんオリジナルの発想の可能性を狭めてしまう可能性は否定できない。


そもそも、そう主張する人がどこまで本気で人間絵師に依頼する気があるのか?

この点については極端に言えば、上記のようなリスクを許容できない人は人間絵師に発注しなくなると思う。やりたいことが明確でイメージがあるのに、それができない人に発注するのはどうなのか。
それで、イメージと違うものが出来上がったら、発注者に問題が問われる。

それと、画像で要求を伝えられるのは、イメージボードを渡されるのと同じだと思うのだが違うのだろうか。それがAI絵だった場合にのみ否定される理由があるのか。
この点は広く意見を聞いてみたいと素直に思った。


率直な感想として、呪文やAIイラストを発注に使用することのメリットデメリットを議論して、その性質を理解した上で各々が取捨選択すればいいのではないか。
毒なのか薬なのかはケースバイケースでしかないから、この論点の結論を急がないほうがいいと思う。

まぁ配信で言っていたことは理解できるので、ひざうらデルタ氏の主張が間違っていると思わない。意見として貴重な提言だと思うし、様々な立場の人の意見を知ることが議論にとって重要だと思う。
(大抵の場合はそれを区分けして整理したりまとめないので、一過性の討論になりがちだが)


論点7:イラストって芸術?仕事?

芸術であり仕事でもある。

ただ、このスライドは何が論点なのか?みたいな印象があり、聴いていて個々の話は理解できるが、全体を通じて「何を論じたいのか」が少し曖昧に感じた。


論点8:反発したって意味ない?

意味がないということはないはずだ。
反発が何かしらの結果に結びつかないことはよくあることだ。
だが、結果に結びつかなかったとしても、その行動に意味がなかったはずがない。
諦めムードを押し付けるなという主張も共感できる。

ただ、諦めた人(又は諦める行為)をひそかな加担とするのはどうかと思う。
味方が減ったことで、リタイアした味方は敵に加担したと(そういう側面があることは理解できるが)認定してはいけないと私は思っている。
これはいじめを傍観しているようなケースとは問題の性質が違う。

私の主観になるかもしれないが、ここでひさうらデルタ氏は「諦めるから不可避になる。だからあきらめムードなんかで諦めないで欲しい」という意見を述べたかったのだと解釈している。


中間整理


ここは整理なので特に言及しない。


論点9:学習と著作権の大問題

ここは色々と言いたいことがるので章を小分けにする。

AI学習は比喩表現でしかないのか?

人の学習とAIの学習はプロセスが異なる。これは事実だ。
だが、AI学習というのは教師データからパターンを学習し、それを統計的手法などを用いながら目的の出力をするために行う。

学習とは(人に限らず)入力(又は経験)を取り込み出力(又は行動)に活かす行為であり、その行為に該当するため、AI学習は比喩表現ではないと私は考えている。
そして学習という言葉を用いることに何ら不適切な要素はないと考えている。

ちなみに、著作権には学習権というものが存在しない。
人は公表権によって公開された著作物から(何かしらを)享受して自己の文化活動(又は創作活動)に活かす学習行為を制限されていない。
ただ近年のAIの発達を見ていると、私は著作物から学習する権利(または制限する権利)について学習権として考える必要があると思っている。

著作権というもの

まず著作権の法律は社会の実情を鑑みながら改善され続けている制度であることを理解してもらいたい。調べればわかるが、直近の令和4年にも改正がされている。

なので、著作権という概念は絶対ではないという主張は共感できる。
本質的なという観点で、著作者の権利を十分に守れているのかどうかを時代に合わせて議論し続けていいく必要はある。そういう制度である。なので、法はあとからやってくるという意見も共感できる。というか事実だ。

ただ、現行の法に照らし合わせなければ「何が足りていないのか」「何を修正すべきなのか」がわからない。

それと著作権は著作者が他人の行為を制限できる権利だけでなく、著作物を利用する側の人間の権利も守るためにもある。
著作権は著作物と著作者と利用者(その他関係者)それぞれの権利を公平にするための制度なので、著作者だけの意見で整備していい法律でもないことを理解してもらいたい。

私は利用者の立場として、著作権で認められている範囲(情報解析)においてAIの学習行為をすることは何ら問題ではないと思っているし、AIの学習行為に制限をかけるのならば正当な理由を持って議論して法改正をしなければいけないと考えている。
単にAIが脅威だからという理由だけで、制限をかけられるのには納得できない。
先にも述べたが、学習に制限をかけるのならば学習の権利について十分に議論すべきというのが私の主張である。
あと学習データに対してクリエイティブ・コモンズのような制度を設けるのは悪くないと思うが、AI学習を制限したところでAIの出力が及ぼす影響は対して変わらないと思う。
ソリューションは、厳しい制限下でも環境に適応してくることがる。
Stable Diffusion然り、RoLa然り、ControlNet然り。
学習に制限がかかっても制限下で成長してくるので、AIの出力が及ぼす影響は対して変わらないと思う(成長の抑制にはなるかも知れないが)。




あと最終的にはリスペクトと言っていたが、僕はモラルだと思っている。

法の範囲内だろうが、他人が嫌がることは嫌悪される対象行為だ。
AIに関する一連の騒動も大半がモラルのない嫌悪される行為が発端でしかないと私は思っている。
もちろん、AIイラストが比較的新しい文化でありモラルの形成が未熟である点は否めない。
私の主観になるが、旧Crypkoの時代に形成されていった特定の著作物を意図的に模倣するような行為は避けたほうがよいという価値観が浸透したように、これからモラルの形成が始まるのだと思う。そのモラル形成には創作者である既存のイラストレーターの提言と協力が不可欠だと私は思う。



終わり:AIイラストの法とモラルに関する私の結論

AIイラストにおける様々な問題は、AIというものが人間社会に参画してきたことの弊害であり、黎明期によくある秩序の揺るぎが主な原因だと考えている。

学習データの著作権については、学習における著作者の権利というものを考えていかなければならないと思っている。それを意思表示の形式にするのか、はたまた新しい制度ができるのかは自分の庭だけでなく他コミュニティの動向も慎重に追う必要がある。

AI絵師については、言葉を変えろという意見しかない。
既存の絵師という言葉がもつ文化と衝突している気がするので、私は穏便に済ませるなら変えた方がいいと思っている。


AIで既存の著作物を模倣するのは、ケースによっては依拠性が認められるケースもあり得るので絶対に安全ではないからオススメはしない。
ただしこの点はAIに限らず、善意の第三者たりえるかどうかが争点になる。
早い話がAIだろうが手書きだろうが、許諾のない二次創作はリスクが高いし著作者よっては不快に思うから不要な争いを避けるならやらないほうがいい。


黎明期でありAIイラストに関わる人達に十分なモラル形成ができていると思えないので、引き続き新しい問題は生まれてくると思う。
AI絵師をめぐる問題は誤解を紐解いて対立が緊張緩和(デタント)に向かってほしいが、権利がぶつかっている箇所については妥協点を模索するしかないと私は思っている。


謝辞

最後に、この場を借りてひざうらデルタ先生に謝辞を述べたい。
混沌としたAIイラストにまつわる状況において、啓蒙となる良い配信でした。
これを契機に視聴者がAI絵師について考え、私達の脅威は何なのか、その脅威に対して私たちは何を守りたいのか、そのために何ができるのかを問うきっかけになればと思います。
そして私自身にとっても、問題を整理するよい機会になりました。

ひざうらデルタ先生、本当にありがとうございました。






繰り返しになりますが、私には特定の人を貶める意図はありません。
記事で書いた内容は私の率直な意見であり、賛同できない意見だけをとって敵対していると認識してほしくありません。
もし私の意見について何かあれば、批評してください。

(おわり)

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