皆月蒼葉 2021/08/14 02:53

光景と解釈の話

 まだ月の中盤くらいだと思ってたのでカレンダー見てひっくり返った。

 お久しぶりです。もうすぐ冬コミの当落が出る時期ですね。冬コミは受かっていれば艦これ本を出しつつ、リリカルなのはのサークルさんが計画してる合同誌に寄稿する予定です。で、これは多分の話なんですが、艦これ本を出すのはこれがひとまず最後になるかな、という気がします。

 別に艦これに飽きたというわけじゃないんですよ。今もpixivで艦これのマンガとか読んではぐねぐねしてるし、細々したアイデアは思いつくたび書き留めたりしています。ただ、今まで何冊か書いてきた中で、やりたいことはあらかたやってしまったなあという気持ちがここ一年すごく大きくなっていて。

 歴史改変と、艦娘とは何なのか、深海棲艦とは何なのかという話については、『終わりの花』でやってしまった。幻の戦艦土佐と、別の意味で幻の駆逐艦イワナミとについては、『ランドスケエプ』でやってしまった。あの世界はすべて集団幻覚の上に成り立つだけのものなのでは、という仮説は『艦娘ゲーム』で、深海棲艦も死んだら艦娘になるのではという発想は『楽章a』でやってしまった。深海棲艦は長江流域に栄え、三星堆文明の担い手となったという頭のおかしい妄想は『日本史の中の深海棲艦』でやってしまった。もうね、残ってないんです。

 もちろん、先ほども書いたように細々としたアイデアならいくつもあります。ゆうさみが文通を重ねるんだけど、やがて二人とも沈んでしまって、由良と涼風がそれぞれ夕張・五月雨として文通を続ける話だとか、夕張が起きると五月雨が眠り、五月雨が起きると夕張が寝てしまう相互影響性のある疾病に苦しむゆうさみの話とか、艦娘制度の広報のために小学校にやってきた夕張さんに憧れてしまう小学生の話とか。でも、それってすべて「光景」なんですよね。

 僕は二次創作を書く時に、基本的には「光景」か「解釈」かのどちらかをみんなに見せようとしてるんです。「解釈」は、原作の部分や全体について「ここはこういうことなんじゃないのか」と考えて出した僕なりの仮説。解釈それ自体では小説にならないので、その解釈をベースにお話を作ってやる必要がある。必然、わりとしっかりした分量のものができあがります。一方の「光景」は、「こういうの、絵になるよね……」という情緒的な思いつき、いわゆるシチュエーションです。光景はそれ単体でもまあまあSSとしては成り立ってしまうし、逆に肉付けをすると僕が見せたい光景がぼやけてしまう。

 どちらが上かというのは、こと二次創作という枠内で言えば答えを出すべきものでもないと思いますし、ここで検討するつもりもありません。ただ、少なくとも僕にとって書いていて楽しいのは解釈の方なんですよね。その解釈が、艦これにおいては枯れてしまった。寂しく、悲しいことです。

 解釈は特にせず、僕が見る光景をひたすらみんなに見せ続けるというのも、楽しいことだとは思います。そうしているサークルも割と多いと思う。でも、僕がやりたいのはそっちじゃない。できる限りがんばって、最後に一つだけ残している解釈を形にしてから、別のジャンルに行きたいなと考えています。

 もちろんこれはコミケの話なので、今後一切艦これの二次創作をやらないというわけではありません。先述の光景はどれもめっちゃ書きたいやつなので、オンリーイベントだとか、pixivなんかでもいいですね。どこかで出せていければなと思っています。

 そんな感じです。冬コミの本、ちゃんと出せるといいな。

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