わたわた 2020/09/28 18:00

脚本『願いの果実』第3章「アドリブ オン パレード」その1

脚本『願いの果実』第3章「アドリプ オン パレード」その1

邦洋(くにひろ 20男):演出・衣装   【配役】長者・若者
良平(りょうへい 20男):大小道具・舞台監督【配役】願いの木・老いた牛
浩太(こうた 20男):脚本・演出助手・情報宣伝【配役】従者


 邦洋と浩太が部室で製作活動を行っている。そこへ浩太が入ってくる。

邦洋「脚本は?」

浩太「何とか、書けた!」

邦洋「さすが浩太!お疲れさん」

良平「お疲れ!早く脚本が見たくてうずうずしてたぜ。夫婦のシーンをカットしたんだって?」

浩太「ああ。邦洋の女装を見たい客なんかいないからな」

邦洋「都合のいいこと言うな。カナが降りたから必要なくなっただけだろ」

浩太「そうとも言う」

良平「あと、邦洋が女装という醜態を曝さずに済んだとも言う」

邦洋「うるさい。で、この客ってのは何だ」

浩太「それがさ、まぁ書き上げてから何だが、カナのアイデアを取り入れてみたんだ」

邦洋「それって、カナの書いた脚本?」

浩太「ああ。あの桃太郎外伝だ」

良平「おいおい、あれは無茶苦茶な脚本だったぜ。カナは主役の桃太郎、3人の客をステージに上げ、犬・猿・雉の代わりに好きな動物になってもらう」

邦洋「動物はライオンやドラゴン、何でもオッケーって、桃太郎はもはや猛獣使いだ」

良平「で、戦闘力を上げに上げといて、おれたち鬼と1人ずつ対戦していくという、まさに先達の悲劇『歴史バトラー』を彷彿とさせる芝居だ」

邦洋「芝居というより参加型のアトラクション企画だったな」

良太「おれたち鬼が負けた後、鬼は元の姿にもどるという設定も、カオス。赤鬼は町人、青鬼は従者、黄鬼は牛だぜ」

邦洋「なぜ鬼になってしまったのかも謎、ラストのラストで実は桃太郎が女だったというオチも謎。破綻してたよ、あの脚本は」

浩太「2人とも、ちゃんと読んでるじゃないか」

邦洋「まあ、参考までに」

良平「カナがアイドルになったとき、処女作として世に出せるかもしれんからな」

邦洋「逆に世に出さない方が賢明だと思う」

良平「で、浩太。あのカオスな脚本から、何のアイデアを取り入れたんだ」

浩太「客を1人、ステージに上げて、願いの木の前で、願いを言ってもらう」

邦洋「客参加型ってことか」

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