脚本『願いの果実』第2章「ハニートラップ!?」その6
脚本『願いの果実』第2章「ハニートラップ!?」その6
邦洋(20♂):演出・衣装 【配役】保留
良平(20♂):小道具・舞台監督【配役】保留
浩太(20♂):脚本・演出助手 【配役】保留
香南(19♀):小道具・情報宣伝【配役】保留
部室で両腕をパイプイスに縛られたままの浩太。
カミングアウトした香南は、浩太の質問に即答できずに立ちすくむ。
その様子を画面越しに見ている邦洋と良平。
邦洋「ハニートラップだったのか」
良平「全米を揺るがすほどのショック到来」
邦洋「行こう」
邦洋と良平、サブステージから去る。
香南「ごめんなさい。わたしが好きなのは、浩太じゃなくて……」
浩太「プロデューサーとは、できてんのか」
香南「ううん、わたしが一方的に好きなだけで、きっと向こうは、そんな相手山ほどいると思う」
浩太「探偵部の情報、合ってたじゃないかよ。ホテルに入ったとこを見たって」
香南「でも、お金とか受け取ってないから。援助交際じゃないから」
浩太「さしずめ晩飯にされた兎ってとこだな」
香南「……」
浩太「利用されてんのは、カナの方じゃないか。おれは、ちょっと夢見させてもらっただけで、傷も浅いし。でも、一番、傷ついてるのはカナだろ。アイドルになるために、一番、犠牲を払っているのは」
香南「……本当にごめんなさい」
邦洋と良平が入ってくる。
香南「あ」
良平「ごめん、全部、聞かせてもらった」
香南「え……盗聴?」
良平「盗聴というより、盗撮」
良平、大道具を動かし、奥にあるタブレットを取り出す。
香南「わたし、疑われてたってこと」
邦洋「この際、全部話そう。いいな、浩太」
浩太「分かった」
良平「腹を割れよ、お調子者」
浩太「ああ、悪かったな、二人とも」
邦洋「浩太は撮影されていることを知りながら、自分から言った。すでに腹を割る覚悟はできてるはずだ」
良平「言っておくが、浩太がカモられてたショックより、おれたちに二人の関係を秘密にしてたショックの方がでかいぜ」
邦洋「他に、言えない理由が、あったんだろ」
浩太「ああ」
良平「何だよ、まだあんのか」
邦洋「願いの果実、あれはすでにカナがキャストに入ることを想定されていた」
良平「え?」
浩太「何でも分かるんだな、邦洋は」
邦洋「恋沙汰とまでは見抜けなかったけどな」
良平「どういうことだ」
邦洋「説明しろよ、自分の口で」
浩太「ああ。その前にお願いしたいことがある」
邦洋「何だよ」
浩太「リアルにトイレに行きたい」
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