わたわた 2020/11/07 12:35

コント「もみじ狩り」

久しぶりの新作です。
寒くなったら色づくもみじ。もみじ観に行きたいなあ。でも「もみじ狩り」って表現、変じゃないですか。潮干狩りやキノコ狩りは報酬をゲットできるのに、もみじ狩りは、絶対、ちぎったら怒られるじゃないですか。今回はそんな疑問からできたコント。でも、思考とは全然ちがう方向に行ってしまったコント。どうぞ~。


コント「もみじ狩り」

出演 三郎 恒子

恒子「ちょっと、どこまで行くの」
三郎「あ?」
恒子「こんな人気(ひとけ)のない山の中、どんどん先に進んで。帰れなくなるよ」
三郎「帰る?何で」
恒子「だって、暗くなったら、道に迷っちゃうかもしれないし」
三郎「馬鹿だな、恒子は。山の中で遭難しても、北極星があるから、迷わないの」
恒子「遭難しないこと考えようよ」
三郎「大丈夫だ。任せとけ。ぜったいに、でっかいもみじ見つけてやるから」
恒子「誰も、こんなもみじ狩りやってないよ。ただ、もみじ見て、楽しむだけでいいじゃない」
三郎「それはちっぽけなもみじで我慢せざるを得ない、臆病者の妥協策ってとこだな」
恒子「どうでもいいけど。第一、こんな杉山の中に、もみじなんてあるはずないよ」
三郎「諦めるな。諦めたものには、絶望という道しかない」
恒子「道すらないよ。草の根かきわけて、こんなところ・・・」
三郎「草の根をかきわける?草の根は土に埋まってるだろ」
恒子「そういう話じゃないの。あ~あ、もみじ狩りなんて来るんじゃなかった。三郎、もどろうよ」
三郎「分かってないな、恒子は。ゴールドラッシュも、ツチノコ探しも出会う確率は万が一、しかし見つけたときの幸福のために、みんな必死になる」
恒子「みんなじゃなくて、一部の変人だけだよ」
三郎「変人でけっこう。世界の偉人の多くは、昔から変人と呼ばれてたんだ」
恒子「偉人になればね。変人で終わる人も多いんじゃない」
三郎「一理ある。確かに、見つけないうちはそうだ。しかし、誰も発見したことのない、でっかいもみじを見つけたら、おれたちは最高の幸福を手に入れることができる」
恒子「幸福ランキングでは最低の部類だと思うけど」
三郎「見つけないうちから、値踏みするな。ほら、探せ」
恒子「探してるよ。てか探し疲れたよ。三郎、もどろうよ」
三郎「だめだ」
恒子「わたしがこんなに言ってるのに?」
三郎「だめ」
恒子「三郎、もどろうよ、三郎、もどろうよ、三郎、もどろうよ」
三郎「何回、言っても無駄だから」
恒子「三郎、もどろうよ、三郎、もどろうよ、もどろう、さぶろうよ」
三郎「おかしくなかったか、今」
恒子「え」

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