脚本『願いの果実』第2章「ハニートラップ!?」その4
脚本『願いの果実』第2章「ハニートラップ!?」その4
邦洋(20♂):演出・衣装 【配役】保留
良平(20♂):小道具・舞台監督【配役】保留
浩太(20♂):脚本・演出助手 【配役】保留
香南(19♀):小道具・情報宣伝【配役】保留
香南が謎の冊子のページをめくる。
香南「謎2。桃から生まれた赤子は、桃太郎と名付けられ、すくすくと育ちました。やがて、立派な青年になった桃太郎は、おじいさんとおばあさんに鬼ヶ島へ行くと告げました。おじいさんは日本一と書いた旗と日本刀を、おばあさんはきびだんごをこしらえて、桃太郎に持たせました。桃太郎は、盾がほしいと言いましたが、おじいさんは、旗を指さして、盾を持たない日本一であれと答えました。……これで終わり」
良平「大人ってずるいよな。盾が足りて無いことを認めず屁理屈を言う」
邦洋「違う、違う。物語が歪められている辺りが、4ケタの数字を解くヒントになっているはずだ」
良平「すると、ヒントはおじいさんの屁理屈」
浩太「盾を持たない日本一、か」
香南「無防備よね。あ、防御力0だから、0000とか」
浩太「それは謎解きになってないと思う」
香南「放置していい?」
浩太「待って待って。ダイヤルの初期値は全部0じゃないですか」
香南「確かに、そう言われれば。じゃ、違うね」
浩太「盾を持たない日本一。つまり、一般的な日本一は、盾を持っているということだ」
良平「日本一ってだけで一般的じゃないけどな」
邦洋「あ、分かったぞ。答えは31811……いや、これだと5ケタだから、3182だ」
良平「何だ、その数字」
邦洋「日本一に含まれる数字だよ。3182」
良平「はぁ?日本一には、1しかないぜ」
邦洋「盾を持たなければ、3182になる。なかなかの良問だ」
良平「1人解けて浮かれてるところ恐縮だが、あっちは、厳しい顔してるぞ。縛られ役は邦洋が良かったんじゃないか」
香南「分かった」
浩太「ほんとに?」
香南「ケータイどこ?」
浩太「え、カバンの中ですが」
香南「邦洋に電話して呼べばいいんじゃない」
浩太「分かったって、そっちですか」
香南「文句言うなら、野垂れ死ね」
浩太「すみません。電話してください」
香南、浩太のカバンからケータイを取り出し、アドレス帳を開く。
邦洋「この展開は予測済み。むしろ遅かった方かもしれない」
良平「おい、カナ。そのテレフォンは使えねえぜ」
部室で音が鳴る。
香南「へ?」
香南、本棚で鳴っているケータイを取る。
香南「邦洋、ほんと使えないやつ」
浩太「タイミング悪いあるあるだな」
香南「馬鹿言ってないで、早く解きなよ。助けを借りるあては断たれたんだから」
邦洋「やはり、良平は数に入ってないな」
良平「ああ。すでに使えないやつ認定されてるんだろうよ」
香南「そだ。今から謎部の部室に言ってさ、富士山の胸倉つかんで答え聞き出せばいいんじゃない?」
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