わたわた 2020/09/13 07:00

脚本『願いの果実』第2章「ハニートラップ!?」その3

脚本『願いの果実』第2章「ハニートラップ!?」その3

邦洋(20♂):演出・衣装   【配役】保留
良平(20♂):小道具・舞台監督【配役】保留
浩太(20♂):脚本・演出助手 【配役】保留
香南(19♀):小道具・情報宣伝【配役】保留

 照明がつく。
 浩太が自転車用のダイヤル付ワイヤーロックで右うで、左うで、右足、左足をパイプ椅子に縛られて座っており、布でさるぐつわをかまされている。
 部室に香南が入ってくる。

香南「おつか……お疲れ」

浩太「うぅぅぅうぅぅ!」

香南「何、この状況」

 サブステージに邦洋と良平が出てくる。

良平「カナ到着!ほぼ時間通り」

邦洋「あとはシナリオ通りに行くかどうか」

良平「がんばれ、浩太。画面の向こうで応援してるからな」

 香南、浩太の周りを訝しげに見て回る。
 もがく浩太。

良平「これで浩太を助けなかったら、退部モノだぞ」

浩太「うぅうぅ!うぅうぅ!」

香南「はいはい、分かった分かった」

 香南、部室の衣装棚のケースから、裁断ばさみを出す。

良平「はさみ?」

浩太「う?ううぅ!ううぅ!」

 近づく香南、浩太は必死で首を横にふる。

良平「おい、どうする。浩太が刺されたら」

邦洋「まさか。さるぐつわを切るつもりだろ」

香南「動くな!耳、切っちゃうぞ」

 浩太、静止し、目を固く閉じる。
 香南、刃の先を布の隙間に差し入れようとする。

良平「結び目をほどくだろ、普通」

邦洋「普通は出会わないぞ、さるぐつわされた人物には」

良平「至極、理解。経験値から考慮して、むしろ梱包のひもを切る感覚か」

香南「もう!きつすぎて刃が入らないんだけど。てか、役者の顔に傷つけるわけにもいかないしな」

良平「そう!そこに早く気づけ!」

香南「あ!」

 香南、結び目を切る。
 さるぐつわがほどける。

浩太「だ~。どうなるかと思ったぁああ」

良平「おれじゃなくて良かったぁああ」

邦洋「とりあえず、ファーストステップクリア。ここからは、シナリオ通りに行けるはずだ」

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