Hollow_Perception 2020/08/12 18:24

剣閃神姫誅伐伝 楽曲語り(ネタバレ注意)

剣閃神姫誅伐伝 楽曲語之章

 本コーナーでは、当サークル制作の和風ファンタジーRPG『剣閃神姫誅伐伝』にて使用させて頂いたBGM素材の一部を、個々のキャラクターにまつわるイベントにて使用したものを中心に抜粋して、使用場面や、本作中におけるイメージと併せて紹介していきたいと思います。
(”イメージ”とは飽くまで本作にてお借りする上での印象に限定したものであり、BGMそのものについて勝手になにかを定める意図はございません。)

 多分にネタバレが含まれますので、プレイ後の閲覧を推奨します。





 それでは、神話と剣の世界へご招待致します。

『神楽謡』

(まんぼう二等兵 様/https://dova-s.jp/bgm/play4210.html

 タイトル画面、零亞の初登場シーン、「天剣姫神」戦のBGMです。
 最初に流れるBGMですので、「惹き」になるような「聴いた瞬間に分かる圧倒的カッコよさと和風感」があるものが良いと思い、お借りしました。
 本作にてお借りしたBGM素材はどれも素晴らしいものですが、特に象徴的なものを挙げるとするのであれば、本曲と、後述する『日本開花』になるでしょう。(実際、PVにもこの2曲が使われています。)
 本曲は、(このゲームをアニメにたとえるなら)オープニングに当たる位置付けのものですが、物語的には、零亞が神を断ち切り「人としての始まり」を迎える、「神話の終わり(エンディング)」を象徴するものとなっています。
 最終回でオープニング曲が流れる演出って良いよね。

 イメージはまさに曲名通り「神楽」―― 零亞という女神に捧げる、可憐さと強さが合わさった歌舞であり、(本作の中における)彼女の持ち曲といったような形になります。
 彼女を祀る石碑の周辺にはたくさんの花が咲いていますが、そんな花吹雪の中で舞うように戦う姿がイメージ出来ます。
 ちなみに、マップ「卑圏の森林」に再訪した際に戦えるボスが落とす蘇生アイテム「天の花」は、眠っていた零亞の力の影響を受けて咲いた、天国にしか咲かない筈の花です。

『日本開花』

(H/MIX GALLERY 様/http://www.hmix.net/ 「和風の曲」参照)

 冒頭の「天剣伝説」の導入および「堕ちた天神 ユイ」戦のBGMです。
 ゲームをはじめからスタートすると最初に流れるBGMであり、実質的なラスボス戦でも使用されているため、特に印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
 非常にドラマチックな構成となっていて、まさに神話の始まりを予感させるようなイントロから段々と盛り上がり、激しい展開となっていきます。特に中盤以降の勇ましくも切なさのあるメロディは(ここまで聴けるのは基本的にはラスボス戦の方であるのも相まって)気持ちが非常に高まります。
 イメージは「神話」。キャラクターとしては、「レイア」の対になるもう一人の女神、ユイ――禍津結姫神のイメージです。
 本曲は、前述の『神楽謡』の対となるような位置付けとして選曲させて頂いており、ラスボス戦のBGMですが、物語的には「神話の始まり(オープニング)」を象徴するものとなっています。実際、導入部分でも使われていますしね。
 この「剣閃神姫誅伐伝」という物語は、禍津結姫神の手によって始められたと言っても過言ではありません。そして、彼女を討つことによって伝説は完成し、「伝説の先」へ向かう為の最終決戦が始まるわけです。
「剣閃神姫誅伐伝」とは、いわば「つけ損ねた決着をつけ直す」物語であり、本編で描かれているものは「神話におけるエンディング部分」であるため、このような逆転した構造になっているのです。
 
 彼女の、たった一人を救うために世界を巻き込んだ壮大な計画と愛、そして「単純な悪」とは言い切れないその生き様に思いを馳せてくれれば幸いです。
 まあそれはそれとして、かなりひどい女神様ですが。(作者特権でお仕置きしておきました。)
 なお、本BGMのアレンジ元である『華志の舞』も、禍津結姫神とのイベント戦闘にて使用させて頂いております。

『宵祭りの風』

(H/MIX GALLERY 様/http://www.hmix.net/ 「和風の曲」参照 公式Youtube試聴動画(2曲目)

 エンディングにて使用させて頂いたBGMです。
 明るく穏やかで優しい曲調の楽曲ですが、本作では零亞との別れを描いた、どちらかといえば悲しいシーンの中で用いられています。
 ただ、本曲は明るい中にも切なげなピアノで彩られたパートがあり、それが、ただ悲しいだけじゃない、前向きな別れを描いた結末に非常にマッチした選曲になっているのかなと思います。
 むしろ作者的には「本曲以外のBGMはない」というくらいに綺麗に「ハマった」選曲であると感じていて、それゆえ、これを聴くと泣くようになりました……。
 エンディングや山場となるイベント用にお借りした楽曲あるあるだと思うんですが、最高にハマった選曲が出来たものだと、制作後は拝聴するだけで泣くようになりませんか……?
 それはともかく。
 イメージは「安らかな眠り」といったところ。
 本作の結末は、いわゆる大団円とは言い難いものです。これは、それこそゲーム序盤から零亞の先が長くないことが提示されているように、約束されたものとなっています。
 それでも彼女は、自身の運命を、終わりを悲劇だとは思っていません。彼女は自らの望むままに最後まで生き抜きました。だからこそ、悲劇的なものではなく、優しい曲調の楽曲にて彼女を送るのです――「おつかれさま」という言葉と共に。
(プレイした方しか読んでいないと思いますが)スタッフロール後の最後の結末は、是非プレイして見届けてみて下さい。きっと満たされた気持ちになって頂けるかと思います。
 なお、エンディングは(勿論テキストを読むペースにもよりますが)ちょうど1ループ聴き切れるくらいの長さに調整していたり。

『聖戦の英雄』

(H/MIX GALLERY 様/http://www.hmix.net/ 「和風の曲」参照)

「阿令為」戦BGMです。
 重苦しいイントロから徐々に盛り上がっていく展開、そして最高潮を迎えるパートの熱くヒロイックなメロディは、本作の「悪役」であり、そして「英雄」でもある「羅刹王」阿令為という男に、非常にマッチしていました。
 また、女神に仕えた「剣の英雄」である劔(影時)にマッチしたBGMであるとも言えます。

 阿令為は、本作の影の主人公と言える存在です。
 かつて一人の少女を愛した者の残滓として、また、弱者を虐げる腐敗した人間達を憎む報復者として、羅刹の軍勢《永羅軍》を率いて王権に戦いを挑みます。
 この宣戦布告により、本作の物語は「表の始まり」を迎えます。(実際には、もっと前から全ては始まっていたわけですが。)
 羅刹の下っ端の多くはならず者ですが、彼自身は積み重なった怒りと共に善良な心も併せ持ち、それでも身も心も鬼にして戦う、「必ずしも悪とは言い切れない悪役」です。
 それどころか、彼に救われた羅刹たちにとっては、まさしく「英雄」と言える人物だったでしょう。

 彼の戦いの軌跡、そして行く末は――
――――鋭意制作中の続編『破天鬼姫永羅伝』をお楽しみに! 今度は主人公だそうです。

『志は死なない』

(H/MIX GALLERY 様/http://www.hmix.net/ 「和風の曲」参照 公式Youtube試聴動画(1曲目)

「紅月院暮乃」戦BGMです。
「天剣姫神」戦直前のイベントでも使われていますが、どちらかといえば、(暮乃さんがまともに挑むと本作屈指の強さなのも相まって)紅月院親子対決の印象が強いのではないかと思われます。
 これまでのバトルBGMから一転、曲調の激しさや軽快さは比較的控えめですが、満ち溢れる悲壮感は強く心を奮い立たせてくれます。
 暮乃は、序盤で描かれている通り、羅刹を差別し、後先考えずに強権を振りかざす高雅王権の為政に対して懐疑的でした。
 その思い(そして死への恐怖や娘への愛情)をかの女神に利用されて唆される形で、王権の乗っ取りを行おうとしてしまいます。
 結果的には彼女の強引なやり方は否定され、失敗してしまいましたが、母の抱いていた願いを知って、朱音は決意を抱くに至りました。
 暮乃の志が死んでしまうことは無かったわけです。
 実のところ、暮乃があそこまで無茶をした背景には、もっと根本的なきっかけとなる悲劇がありました。

 暮乃の想いの真相、そして、朱音が作り上げる「新しい世界」の未来は――
――――鋭意制作中の続編『破天鬼姫永羅伝』をお楽しみに!(2度目)

『流桜』

(modus 様/https://dova-s.jp/bgm/play12635.html

「魔炎を紡ぐ者」戦BGMです。
 イメージとしては言うまでもなく、烈華ちゃん(と彼女を支える光司郎)でしょう。
 華やかで軽快な音と曲調、そしてその中に輝く決意を感じさせるようなメロディはまさに、烈華と、彼女に関連する一連のイベントにピッタリでした。
 プレイアブルキャラクターの中では誰よりも常識的で人好きのする性格、(一応は)お姫様ゆえ芸事にも秀でている烈華ちゃん。
 しかしその本性は、とても臆病な少女でした。
 そんな彼女がかつて捨てた国のことを想い、決意を抱くこのイベントは、本作中盤の山場と言えるでしょう。

 余談ですが、佐咲烈華というキャラクターは、前作『ReIn∽Alter』の登場人物、佐咲煌華のセルフオマージュ的存在です。
 両作ともにプレイした方は、二人のキャラ性の共通点、そして相違点を考えてみると面白いかも知れません。
 常に烈華様の陰に立ち、(彼女が愚弄された時以外)あまり積極的に自己主張はしない光司郎ですが、彼の存在は彼女にとって非常に大きいものだったのかなと。

『アンゴラたちの踊り』

(まんぼう二等兵 様/https://dova-s.jp/bgm/play12170.html

 愛叉の初登場、初戦闘シーンにて使用させて頂きました。
 高揚感のある軽快なメロディがカッコ良くて心地良い、民族調楽曲です。
 概ねどんな状況でもブレない、屈託のない明るさと強さを持つ彼女の登場BGMとして非常に適合していたように思います。
 本BGMはいわゆる和風的な方向性の雰囲気ではありませんが、しかし、愛叉(と鬼人たち)は高雅王権の文化圏に属さない、異文化の存在です。その為、本作の多くの場面を彩る和風サウンドとの方向性の差異が、キャラクター性を際立てるのではないかと思いました。

 互いに鬼の矜持を貫き、アイナとの妥協なき死闘を行ったアイシャですが、”いつかまた”親友同士、平和に過ごせると良いですね。

『Mauve Rhopalocera -紫胡蝶-』

(ISAo 様/https://dova-s.jp/bgm/play12403.html

「イェル・アイナ」戦BGMです。本作においては彼女をイメージした選曲という形になります。
 本作のライバルキャラの一人でもあるアイナとは戦う機会が多く、特に一戦目は育成をしていないと苦戦しやすいので、こちらのBGMも印象に残ったのではないでしょうか。
 全編通してバチバチに盛り上がるハイテンポな曲でありながらも、激しいだけでなく華麗なピアノが際立つ様子は、丁寧な口調と少女的な可愛らしさに満ちた容姿でありながら、非常に好戦的な性格でもあるアイナにピッタリでした。
 矛を振り回し、鬼人特有の膂力で苛烈に立ち回る彼女の姿が浮かびます。
 ところで、そんなアイナがヒロインとなる続編が制作されているそうですよ!(発売日未定)

『アルカムイネ』

(もぜ園 様/https://mozeen.com/ こちらで試聴・購入可能なDL販売曲)

 通常戦闘BGMです。楽曲素材探しをしていたところ、本曲に一発で惹かれたので購入させて頂きました。
 ノリの良いアップテンポな民族調BGMで、全体を通してとても気分が高まるのと、明るい曲調なのが、本作の通常戦闘曲としてハマっているなと思いました。
 本作の世界観は「戦乱の世」であり、プレイアブルキャラクター達はみな荒事慣れしています。その為、凶暴な動物や平凡な羅刹(亜人族)が相手であれば、切迫感を出さずとも華麗に剣術や神言(魔法のようなもの)などで撃退出来てしまう訳です。
 そんなイメージが、軽快で爽快感のある本曲にマッチしていました。

『Prairie5』

(PeriTune 様/https://peritune.com/ ダウンロード・試聴

「黄泉島」の通常戦闘曲として使わせて頂きました。
 勇壮感のあるファンタジックなBGMで、特にサビに当たる部分は非常にアツく、ラストダンジョンらしい「負けられない・負けない戦い」という印象を持っています。
 決意を抱いて二人きりで黄泉島に向かった影時と零亞ですが、その後の「気持ちが高まる展開」を、本曲は更に熱く盛り上げてくれます。
 ああいうの王道だけどやっぱり良いよね。



 本コーナーは以上です。
 プレイされた皆様は劇中のどのBGM、どのシーンが印象に残りましたか?
 コメントなど頂けると幸いです。

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