2023年3月3日 俗に言う零売薬局について

最近、医療業界の間で俗に言う「零売薬局」が話題です
あまり聞きなれない単語ですが、まず「零売」とは何かと簡単に申しますと

「医薬品を分割して販売すること」になります

例えば市販の薬を買う場合も必要に応じて分割して販売すると零売になります

今回話題になっているのは医療用医薬品の零売ですので、零売とは医療用医薬品のみを指すと思い込んでいる人も多いのではないでしょうか?

では、100錠入りだと多いから、50錠入りを予め用意して販売する・・という方法は小分け販売となり、製造販売業の許可が必要になります(当店は取っているので、小分け販売が可能です)


当店の解釈では

零売
患者から相談されて薬剤師が必要量を販売する

小分け販売
ウチの店では10錠幾らと明記し、誰でも見れるところに掲載し、販売する(製造販売業の許可が必要)

ということになります。


これを踏まえた上で令和4年8月5日に厚生労働省医薬・生活衛生局長から「処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売方法等の再周知について」という通達が来ました
https://www.mhlw.go.jp/content/000974058.pdf(pdf注意)


簡単にまとめますと
「昨今、零売の在り方を守っていない薬局が散見されるので、ちゃんと守れ」
という内容でした

では具体的にどういうところが不適切なのかを見ていくと



>イ 必要最小限の数量
処方箋医薬品以外の医療用医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者及び当該医療用医薬品を使用しようとする者に対し、他の薬局開設者からの当該医療用医薬品の購入又は譲受けの状況を確認し、医療機関を受診できるまでの期間及び医薬品の特性等を考慮した上で、販売等を行わざるを得ない必要最小限の数量に限って販売等しなければならないこと。

また、反復継続的に医薬品を漫然と販売等するようなこと(いわゆるサブスクリプションなどを含む。)は、医薬品を不必要に使用するおそれがあり、不適切であること。

加えて、薬事承認された効能・効果、用法・用量の範囲を超えた、適応外使用を目的とする者への販売等は不適切であること。



ややこしい表現で書いてありますが、簡単に説明を入れると
上は「販売時はやむを得ないことを確認し、必要最小限の数だけ販売すること」

真ん中は「長期使用(販売)するな・月額で販売するな」

下は「薬物乱用の可能性があるので、適量を使うこと」

です。次を見ていきましょう



(3)不適切な表現
薬局における処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売等は、やむを得ず販売等を行わざるを得ない場合に限られており、次のような表現を用いて、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の購入を消費者等に促すことは不適切であること。

・「処方箋がなくても買える」
・「病院や診療所に行かなくても買える」
・「忙しくて時間がないため病院に行けない人へ」
・「時間の節約になる」
・「医療用医薬品をいつでも購入できる」
・「病院にかかるより値段が安くて済む」

また、上記に限らず、やむを得ず販売等を行わざるを得ない場合以外でも、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を購入できるなどと誤認させる表現についても同様であること。



イでもあったように「やむを得ない時に必要量」販売することが大前提なのですが、上記の表現は「顧客を誘導して自分が儲かること」が目的です

購入者は安くて薬を買えるから、良いんじゃないの?と思われるかも知れませんが、病気の進行を見落とす可能性が高くなり、悪化していた場合は安物買いの銭失いとなります

こういうモラルの無い薬局を俗に言う「零売薬局」と定義しますが、こういった零売薬局の言い分としては看板に掲げている表現をメリットとして言うと思いますが、そういう発言は転売ヤーと全く同じ行動です



当店も零売は行っていますが、必要な人に必要な量だけしか販売していません(お陰で不良在庫が多いです)


ちょうど昨日、オンライン診療を受けて美容目的でビタミン剤+トラネキサム酸をサブスクで買っていた人と会話しました

本人は一回だけの購入のつもりが、サブスク扱いになっていた・診察も最初に話しただけで、話した時間も10分以内だったと言っていましたので、零売薬局に限らず、こういったオンライン診療もあるということは知っておいた方が良いと思います


サイト内で医療用医薬品が100錠〇〇円!と書いてあるところは疑った方が良いでしょう


また、ビタミン剤に関しては日本では「保健薬」という物が売られていますので、ビタミン剤を買いたい人は保健薬を買ってください。当店でも販売しています

何度も言ってますが、薬や健康食品は信頼のできる薬局で買ってください
出来れば当店で買ってください

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