OBSでリモートVTubingをする using VDO.Ninja
はじめに
遠隔地に居るバーチャルタレントとコラボ配信(収録)を行うにあたって、WebRTCを使った映像伝送の仕組みでも作ろうかなと思ったのですが、調べてみると既に「VDO.Ninja」(旧OBS.Ninja)というちょうどいいアプリが世の中には存在するようです。
それなりに多機能なので、そのようなユースケース向けの定型化された使い方まとめを作っておこうと思い、今回は記事を書いています。
透過が雑ながら、ざっくりリモートの人とこういうコラボ画面を実現する記事です。
右の人は高葦ねを。
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VDO.Ninja の優位性
遠隔地のタレントとコラボレーションをする手段はいくつもあり、特に日常的なタレント間のコミュニケーションで利用しているツールにビデオチャットの機能があるならば、これで十分に実現可能であると考えられます。
そのような場合でも VDO.Ninja を選ぶ優位性はいくつか考えられます。
- 無償で利用できる
- ブラウザ以外の追加アプリケーションやユーザ登録が不要
- P2Pでの低遅延伝送
- OBSでの利用が想定された設計
- どのようなトラッキングソフトウェアとも連携できる
- オープンソースである
無償で提供されているソフトウェアは将来に渡って利用できる可能性が必ずしも高くないところ、VDO.Ninja はソースコードを取得し自身でホスティングするという選択肢も選べる為、バックアップ手段があるという点も実は強力です。
もちろん、無償で提供される製品にも開発や運用のコストが掛かっていますから、財政的支援を行うことができるなら検討すべきでしょう。
想定する利用者構成
今回は下記のような利用者構成を想定します。
- 配信ホスト
- 1名
- タレント自身がストリーミング配信をホストする想定です
- 今回は取り扱いませんが、複数ホスト(各視点で枠を開く)で配信したり、配信の操作のみを行うスタッフを別で置くことも十分に可能です
- 配信ゲスト
- 1名またはそれ以上
- ホストから見て「コラボ相手」にあたります
上記について、以降は ホスト
, ゲスト
と読み替えます。
ホストが行う作業
ホストが行う作業を記していきます。
1. ブラウザを最新にしておく
VDO.Ninja はブラウザを利用するので、十分に新しいバージョンであることが望ましいでしょう。なお多くの機能を安定的に利用できる為、Chromeブラウザの利用を強く推奨します。
2. OBSで配信画面をつくる
いわゆる "配信画面" の準備を行ってください。たとえば、
- 背景、タイトル、チャットオーバーレイ等を配置
- 配信プラットフォームとの接続設定
- 自分自身のアバターとボイスを設定
- ゲーム配信なら、自分視点のキャプチャとオーディオを設定
などの一般的な準備を完了しておいてください。
3. ルームを作る
VDO.Ninja にアクセスし、Create a Room
というボタンから作成します。
表示される画面にてルームの設定をします。この内容を元にゲストは入室します。
それぞれこんな感じです。
- Room Name
- 部屋のIDのようなもの
- これがわかれば第三者が同室を試みることができるので、続くパスワードの設定を推奨します
- Password
- 入室時のパスワード
- ランダムな文字列 を推奨します
- The guests can see the director, but not other guests' videos
- OFF
- 今回は不要です
- The director will be performing as well, appearing in group scenes
- ON
- 今回はホスト自身も演者として参加するので、チェックを入れてください
- Preferred Video Codec
Default
のままでOK- 通信が不安定な場合や処理が重たくなる場合に適宜変えます
上記設定後、Enter the room's Control Center in the director's role
で入室してください。
4. ホスト自身の音声設定
コラボするにあたってはホストとゲスト間で音声が聞こえる必要があると思うので、VDO.Ninja経由でゲストにも聞こえる状態を作ります。
ルーム作成時の設定が正しければ、下部のバーに enable director's microphone or video
というボタンが表示されているはずです。ここをクリックします。
歯車のボタンが出現するので、これをクリック。
右側に画面が表示されることを確認してください。ここで設定をします。
下記のような感じです。
- Audio Source(s)
- ホスト(= あなた)自身がゲストへ送る音声の入力デバイスです
- Audio Output Destination
- ホスト(= あなた)がゲストの音声を聴くデバイスです
- 配信中にモニター用として使うヘッドホン等を選択してください
自分自身の音声を実際にゲストへ送るには、下部バーにあるマイクボタンの有効/無効を切り替えればOKです。
また、ゲストの音声を聴くには上記隣のスピーカーボタンの切替をしてください。
Optional: カメラの設定をOFFにする
ゲストにカメラの映像を見せる必要がない場合がほとんどだと思うので、ここで Video Source
の項目を Disable Video
に設定しておくと良いでしょう。
5. ゲストを招待し、入室を待つ
INVITE A GUEST
に記されているURLをゲストへ送ります。 Guest hear others
はONにしたままにしましょう。
なお、ゲストは入室に際しルーム作成時に設定したパスワードを要求されますので、併せて送ることを忘れずに。
6. OBSにゲストのアバターを追加する
ゲストが入室し、アバターが正常に表示され、音声が正常に聞こえることの確認を済ませたら、そのゲストをOBSのシーン内に追加します。
当該ゲストの copy solo view link
をクリックし、クリップボードにURLをコピーします。
OBSで ブラウザ
ソースを追加します。
設定はこんな感じです:
- URL
- さきほどコピーされたURLを入力してください
- OBSを介して音声を制御する
- ON。このブラウザソース経由でゲストの音声を取得します。
7. 透過設定をする
当該ソースの フィルタ
をクリックします。
ゲストに伺いながら、エフェクトフィルタ
として カラーキー
を選択し、適切な透過設定を行ってください。
8. 動作確認をする
設定は以上です。ひととおり接続テスト等として必要なことを行ってください。
また、ゲストが利用しているトラッキングアプリによってはUI等が表示されている可能性がありますので、必要に応じてトリム等を行ってください(Alt
キーを押下したままハンドルをドラッグすればやれたと思う)。
ゲストが行う作業
ゲストが行う作業を記していきます。
1. ブラウザを最新にしておく
VDO.Ninja はブラウザを利用するので、十分に新しいバージョンであることが望ましいでしょう。なお多くの機能を安定的に利用できる為、Chromeブラウザの利用を強く推奨します。
2. ホストからルームへの招待URLを受け取る
通常、https://vdo.ninja
から始まるものです。
Please enter the password below:
と表示された場合、併せてホストから送られたパスワードを入力してください。
3. VDO.Ninja の設定をする
今回はリモートVTubingなので、実際のカメラではなくアバターの動きを映像としてキャプチャするのが望ましいでしょう。Screenshare with Room
というボタンをクリックします。
いくつかの設定項目が表示されるので、必要に応じて変更してください。
こんな感じです:
- Audio Sources
- ホストに送る音声の入力デバイスです
- デフォルトの
Screen Share Audio (Default)
は、キャプチャする画面(Chromeタブや特定ウィンドウ)と対応した音声を取得するものなので、今回多くの場合適切ではないでしょう - デフォルト以外の項目は
Other Audio Sources
をクリックすると選択可能になります
- Audio Output Destination
- あなたがホストの音声を聴くデバイスです
- モニター用として使うヘッドホン等を選択してください
- 1080p (hi-def) | 720p (balanced) | 360p (smooth)
- 送信する映像の解像度設定です
- ホストの指示やインターネット回線速度を参考に設定してください
4. トラッキングアプリでアバターを表示する
まだ準備していなければ、普段お使いのアバター表示アプリを起動してください。要考慮事項は下記です:
- ウィンドウ内の映像を配信可能な状態にする
- UIの非表示等を行う、あるいはアバターの表示領域にUIが被らないようにしてください
- 透過可能な背景を設定する(ホストと相談し背景を設定する)
- 多くの場合ホストはアバターの背景を透過したいと考えているはずなので、OBSのカラーキー等において透過に利用できる色を設定してください
5. 入室する
VDO.Ninja に戻り、SELECT SCREEN TO SHARE
ボタンをクリックします。
トラッキングアプリのウィンドウを選択し、共有
をクリックすると、入室しホストや他のゲストと接続されます。
6. 動作確認をする
設定は以上です。ひととおり接続テスト等として必要なことを行ってください。
おわり
以上のように設定することで、遠隔地のバーチャルタレントとコラボが可能です。参考にしてください。
高葦さんのOBSに置いてもらって動作検証した際のスクショ
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