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らふすけっちいんく 2022年06月12日 15:00

【アフターストーリー】カスティリオーヌ家の場合【姫と騎士】

原案・原作:香川俊宗(LAUGH SKETCH Inc.)
執筆:巽未頼


新しい大公に私が決まった後、周りの声は大きく変わった。
誰がどう見ても大本命はアンジェリカ様のヴィスコンティ家だったから。それが、4代目大公以来となる大公就任。私を支えてくれた人たちはもちろん喜んでくれたけれど、それまで本家に顔を出さなかった親戚や家臣まで祝賀会にやってきたのには困ったわ。
支えてくれた人のためのささやかなお祝いの予定が、どんどん大きなお祝いになって。一族総出の祝賀会といった大きな行事になってしまったの。

当然だけれど、一番頑張ってくれたエレナともきちんとお話をする時間はなくて……。
顔も覚えていない親戚たちにうわべだけのお祝いを言われて、「貴女様ならヴィスコンティ家と競えると昔から信じておりました」と言っている人もいた気がする。

そんな祝賀会が終わって、後始末や大公になるための儀式や引継ぎをしている間、エレナも忙しそうで。
誰よりも最初に、エレナに「ありがとう」って言いたかったのに、できなくて。
申し訳なさと、今更私の想いを伝えてもいいのかな、なんて。頭の中でぐるぐる考えてしまっていたの。

大公選の間、あまりにも大きなライバルとの競争で、私たちは手を取り合わなければ対等な相手にすらなれなくて。無我夢中で、がむしゃらになって頑張っていた。立場も、私のいたらなさも考える余裕はなくて。だからこそ、昔みたいに話ができていた。
でも今は、昔みたいに、ううん、もしかしたら、昔より私たちは、遠くなっていないかしら。

夜の会食を終え、湯浴みと着替えも終わった初夏のある日。広い広い自室の真ん中で、明かりをつけないこの部屋で、私は急に寒気を覚えた。侍女たちもいなくなった孤独な部屋。話に聞いたアルプスの雪山は、こんな場所なのだろうか。

「姫さま?今よろしいでしょうか」

その声を聞いた瞬間、私はアルプスからイタリアの陽気な屋敷に戻ってこられた。エレナの声だ。

「姫さま?もうお休みでしょうか?」

少しずつ小さくなる声。私が寝ていたら起こすわけにはいかないという優しさを感じる声だけれど、私にはそれがエレナの心が離れていく様子に思えた。

「いるわ!起きているわ!」

思わず出た声は少し上ずっていた。

「入って。ちょうど少し寝つけなかったの」
「では、失礼いたします」

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