ニル 2024/04/06 11:24

ゲーム製作における生成AIの可否を考える

グラフィック周りの環境

やはり評価の高いゲームを見て行くと、
立ち絵や顔グラは専用のモノを使っている事が多いです。
(絶対条件ではありませんが)

制作者さんが考えた世界に、ぴたっと合うのは、
やはり唯一無二であるオリジナルキャラクターなのだろうと、私は考えています。

仮にうちの世界にハロルド(MVのデフォキャラ)が居たとします。
ネタ寄り、かつゲスト的機用ならまだしも、
メイン採用を行うのであればやはり異物になる事でしょう。

無論、彼ら(デフォルトキャラクター達)を活躍させる世界を意図して作るのであれば、
ぴたっと合わせる事も可能ではあると思いますが、
コンテストの結果を見ている限り、
やはり原則的に一点モノのグラフィックを持っているゲームが強い。
という事実は変わらないように思います。

販売されている立ち絵

クオリティの高いものばかりです。世界観に合うものもあるでしょうし、
高クオリティならば、世界観の方をキャラに寄せるという手段も考える事が出来ます。

……が。
先程一点モノと触れましたが、これも問題を抱えています。
要するに、

『あー、この立ち絵みたことある』

という意識が先行する事ですね。
可愛けりゃいいじゃん? まぁそう。まぁ……そうね。

とはいえ、没入感が薄れるのも事実は事実。

ポップ寄りであるほど受け入れやすく、シリアス寄り、
唯一無二の世界観などを売りにする程、
専用の立ち絵の方が解釈一致となりそうな気はします。

絵師さんに依頼

これねー。少なくとも俺は難しいと判断しました。

何故ならリテイク回数に制限があるから。当たり前だよなぁ?
そしてリテイク回数を増やすなら金銭的負担が一気に増えていくから。

一度依頼を行うまで無自覚的でしたが、俺は自分の生んだキャラクターの……
雰囲気(?)には一切の妥協を許さないタイプでした。

結果として、自分で描くかAIに描かせて満足いくまでリテイクするしかない。
という結論に至っています。

自分で描く

理想を言えばこれが最良ではあるんですよ。

ただし、一定水準以上のクオリティが担保出来るのであれば、となりそうです。
前提として自分が納得できるクオリティ。
そして、プレイヤーの求めるクオリティですね。

無論、ラインは人それぞれではあるんですが。

ただ、そもそも絵を描くのが別に好きではない。
こうなると結構しんどい問題になってきます。


……という訳で今回のお題、どん。

生成AIの立ち絵が使われたゲームについてどう思うか

https://twitter.com/LF71_S/status/1775526521769480418

https://twitter.com/LF71_S/status/1775525723698303380

という投票を行っています。
この投票を行った理由はTwitterでも触れているのですが、


ゲーム製作やってると本っ当に多方面のスキルが求められてくる訳で。

絵、音楽、プログラムの三本柱は、
ゲーム製作においても特に影響が大きく、習得も一朝一夕とはいきません。

これらを補助してくれるツールを用いれば、
作者に求められるスキルは大きく軽減されます。

ですが、これらが嫌で手にとってすら貰えなくなるのであれば、
一面的にクオリティが上がったとしても、それでは本末転倒とも言えます。

実は作者側が拒絶反応にビビってるだけで、
プレイヤーはそれほど気にしてないのではないか?
……みたいな希望的観測をもとに聞いてみたくなった。

といった感じです。

投票から窺い知れる事

投票二日目

【プレイヤー視点】- 72票
クオリティに関わらず無し      40.3%
破綻なく高クオリティなら良しとする 13.9%
AIか否かは特に気にしない     36.1%
無回答               9.7%

【制作者視点】- 33票
クオリティに関わらず無し      42.4%
破綻なく高クオリティなら良しとする 21.2%
AIか否かは特に気にしない     24.2%
無回答               12.1%


残り14時間

【プレイヤー視点】- 166票
クオリティに関わらず無し      37.3%
破綻なく高クオリティなら良しとする 19.3%
AIか否かは特に気にしない     31.9%
無回答               11.4%

【制作者視点】- 119票
クオリティに関わらず無し      41.2%
破綻なく高クオリティなら良しとする 21.8%
AIか否かは特に気にしない     26.1%
無回答               10.9%


といった結果になっています。
本命はプレイヤー視点です。

無効票を除くと 42.1% が『クオリティに関わらず無し』となっています。

反対派の方は生成AIに嫌悪感を示している人も(恐らく)少なくないので、
それだけで4割~半数近くが生成AIを使っているという事実だけで、
手に取らなくなる可能性があります。


で、これをどう思うか。

私は十分に使用を検討出来ると感じました。
(というか、否定派が7割程度に収まると思っており、
その程度であれば使用も検討できると考えていました)

ゲーム製作、割と群雄割拠の環境であり、
より多くの人にプレイして欲しいと思うのであれば、
目を引く何かが絶対に必要です。


いくら素晴らしいストーリーを用意しようが、繊細な心理描写があろうが、
面白い独自の戦闘システムやアビリティシステムがあろうが。

全くその作品に対しての知識が無い状態である場合、
最初の最初はUI含めたグラフィックで足切りが行われます。
ほぼ間違いないと思います。


だからUIは多少なりとも工夫したい。例えばウィンドウの形や色。
これが違うだけで全然印象が違います。

文字フォントも印象を大きく変えるものです。これも変えておきたい。
マップだって遠景マップを始めとした美麗なマップの方が評価は高いです。
歩行グラフィックなんかも同様に、オリジナルの方が目を引くでしょう。

そして、その中でも特に影響が大きいと考えているのが立ち絵です。
どうも、立ち絵が魅力的ならそれだけで手に取ってもらえる程の、
大幅な加点が付いているに思います。

そして、フォントもマップも歩行グラフィックも生成AIには厳しそうですが、
立ち絵は逆に得意です。多分、一番影響力が大きいのに。

そう考えると、ツールとして非常に魅力的な事は間違いないです。
特に絵が描けないのであれば。

さて、投票を通じて興味深い意見も聞くことが出来ました。
まずはフリーなら生成AIによる立ち絵を容認するが、
有料ゲームなら容認しないという意見。

画集のように絵がメインコンテンツになる訳ではないので、
立ち絵はキャラクターの造形を伝える一助になれば良い位に思っていたので、
なるほどなぁ……と。

確かに俺もAIの画集とか別に買おうと思わないよなあ。
……と。

AI生成による立ち絵は加算バフは入りますが、
乗算デバフ(0.7とか?わからんけど)掛かってる感じですね。
絵が描けない程、加算の割合が強く出ますが、描けるなら除算のデバフが効いてくる。
そんな感じ。


他に、生成AIによる画像は情緒を欠くという意見がありました。
これは、ぽん出しで表情差分を作っていない(ケースが多いらしい)からだそうです。

自分は生成AIの立ち絵を用いたゲームをプレイしていないので、
又聞きの形にはなっていますが、生成AIの使用経験はあるので、
『表情差分が無い』という理由については類推出来、そうなるのも仕方ないかなと。

……ただ、昨今においてはかなり近いアングルの生成が可能になってきているので、
多少の画像編集技術があれば表情差分は作れそう。

否定側の意見ではありますが、どうせ使うならここは克服して使用すれば、
魅力的になりそうですね。



さて、つらつら書いてきましたが、結局の所、
群雄割拠の環境で、手に取られるところまでいけるかどうか。
手に取らない理由を考えてみると、

流れてくる画像をぱっとみて2秒で面白そうか否か。
そんなところじゃないでしょうか。

無論、興味のあるジャンルじゃないとか、
好きな世界観じゃないみたいな趣味が合わないというのもあります。

ただ、その辺りは一致して良そうなのに尚取らない理由。
現代人は時間が足りない。それもそう。
だけど、時間足りなくても本当にやりたければ作ってでもやるんですよね。

んじゃ本当にやりたいと思わせるにはどうすればいいかってなった時、
上述したように多くは画像で判断されるという事になる訳です。

画像全体からくる訴求力。

キャラクターが可愛い。かっこいい。
マップがめっちゃきれい。
ぱっと見、没個性的でない。
ちらっと見えるシステムが面白そう。
表示されている会話に引き込まれた。

などなど。
悲しいかなゲーム画面を1枚の絵として、
クオリティを評価し、各々の時間と天秤にかけ、
結果序盤すらプレイする事無く足切りをされてしまうのはきっと事実なんですよね。


無論、AIのポン出しだけで戦えるとも思ってはいません。
『人間が多めに手を加えたりワンランク上の物を目指さないとダメ』

という意見もありましたし、自分もそう思います。
ポン出し……なんですかね?

どうも、それそのものをそのまま使おうとも思わないんですよね。
やっぱちょっと理想とはズレてんのかなあ。
理想の絵を出せる程、AIへの理解が無いとも言えそうです。

……ともあれ。
chatGPT然り、AIがツールとして優秀である事は自明の話で。
生成AIはその来歴から否定的意見が特に強く、
今も物議を醸しているのは知っていますが、
体のライン・構図・影の位置・輪郭なんかをだしてくれるだけでクッソ優秀で、
絵の学習としても得るものが多いので、
はいもう禁止でーす!

となるのは、個人的には残念だなと感じます。


投票の結果をどう見るかは各々次第です。
4割も否定的なら使うのはヤバいと見るも良し、
4割を捨てて、より効率的にクオリティアップを図り、
AIに好意的プレイヤーを2倍集めればいい。
とかいうのも戦略として成り立つでしょう。

各々にとって、最大公約数が何処になるのかをよく考える必要がありそうですが、
AIが敵とは全然思わないんですよね。

敵が多いだけの味方です。

結局どうすんの?

どうしましょうね?
という辺りでめっちゃ久しぶりにお絵かきしてたんすよ。
気が向いたから。


これは自作のドット絵に情報を付加していった、
全く生成AIの手を借りていないもの。

あれ? ギリいけんじゃね? とちょっと思いました。
メイン採用でなくても、シーンによってワイプ的に出す用途なら、
数が多ければ、もしかして嬉しい……かも? みたいな。


んで、こっちはそれをAIに読み込ませて、
良い感じの構図になったものからラフ(……線画?)を起こして、
自分で着色までやったものです。

総合的なクオリティとしては生成されたものと比べて
低下している可能性は大いにあるんですが、解釈一致度が高いのか、
自分の絵の方が良く見えますね。(認識にバイアス掛かってるかも)

ダッフルコートなんかは割と変な出力がされるので、
ライン取りして概ね描きなおしという感じ。

それにあたってダッフルコートを調べたり、瞳の書き方を調べたり、
クリスタの3Dモデルに手の形を作らせたり、
魔法のエフェクトをゲーム中に使っているものから取って来て、
そこから線画を起こしたりと。

なんやかんや3~4時間かけて完成しました。
AIの力は勿論ありますが。

着色が上手くなってるなぁと実感がありました。
ドット絵の方の知識が活きてますね。


前も書いたことありますが、パワーレベリングされてる感じはあるんですよね。
AIを参考にしながら絵を描くっていうの。
ゲームに使う使わないは別として、
練習という意味合いでもモチベがある時に回数重ねておくのは悪くないです。


クオリティ的には遠くから見れば、かなり良い感じに見える程度。
近く?粗はあるよね。

ただ、自分でも意外な程上手に描けているので、
なんとか描けんじゃねえか?と思い始めました。

まあこれは使わないんですけど。
使おうか一瞬迷ってゲーム内に実装してみましたが、
頭身が低すぎました。ポップ味が強すぎる。

そういう意味じゃ会話をドット絵でやるのもそうなんですよね。
ちょっとシリアス不足。

7頭身とかで描けるかなぁ?
うー……ん?

描けるなら描くかぁ……?
いや労力的にはどうなんよ?
でも自分にとっての神ゲー目指すという目標を考えたらやるべきなんだよなぁ、ここ。

とりあえず、使うとしてもポン出しは使わず、
一部利用の方向性になると思います。

それすら嫌って人も居るでしょうが、そこはもう仕方ないですね。
受け入れて進むとしましょう。

記事のタグから探す

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索