上顎 2023/08/19 18:00

ロボット少女は夢を見る - 制作記その28- 専用の翻訳用のソフトを作った話

以前の記事で多言語対応の話をしました。

その時にお話しましたが、
Steamなどのゲーム販売サイトでは海外の市場がとても大きいです。

そこで日本語以外の言語にも対応したいのですが、
私が作っているゲームはテキストノベルな部分が多いため翻訳する量がとても多いです。

しかも中身は以下の画像みたいな形で
知らない人からしたら何の文章なのかまったくわかりません。

自分で翻訳するのなら何とかなりますが、
翻訳サイトで雑に翻訳すると訳の分からない文章になり魅力が半減します。

そこで専門の翻訳業者に依頼する予定なのですが、
そのために上の画像から
会話文を抽出して翻訳するためのツールを作成したのでそのお話をします。


まずはそのツールの動作を動画にてお見せします。

基本の機能としては以下の感じです。
・翻訳したいファイルを指定して翻訳できる。
・翻訳元or翻訳後の文章が実際のゲームでどう表示されるか確認できる。
・翻訳が終わった文章の色を変えたり、メモを入力できる。
・翻訳が必要な日本語の文字を計算できる。

最低限、翻訳さえできればよいのですが
せっかくなので使いやすいように
こだわったポイントがいくつかあるのでお話します。


こだわりポイント1つ目が
翻訳時に余計な情報が見えないことです。

開発者の私が会話スクリプトを組む際は以下の画像のようなエディタを使います。

その際には上記の画像の緑色の部分のように
ゲーム会話中にフラグを立てる処理があったりします。

他にもお金やパーツを付与したり、背景をアニメーションさせる情報も
会話スクリプトには仕込まれているのですが、
この翻訳ツールではそれらの情報は必要がないため表示していません。

翻訳するのは会話の話者名+本文と選択肢で選ぶ文章の3つだけなので
それらと分岐時の移動先などの情報しか表示されません。

これによって通常の会話スクリプト作成エディタよりも情報が減り、
翻訳しやすくなります。


こだわりポイント2つ目が
翻訳した文章がゲーム中でどのように表示されるかすぐに確認できることです。

日本語だけを見てそれを外国語に翻訳することは可能ですが、
実際にその会話が再生される状況によって
同じ言葉でも違った意味合いを持つことは多いです。

翻訳者の方が少しでも翻訳を正確にできるように、
より良いものを仕上げていただけるようにこの機能は絶対に入れたかったです。


…ちなみにゲーム中ではパラメータなどによって会話が分岐するのですが、
この翻訳ツールを使用する場合はゲーム内で勝手に分岐する場所が

上記の画像のように自分で選択できるようになります。

他にも選択肢がパラメータによって選択できないことがあると
以前の記事で書きましたがこれも翻訳ツールではすべて選べるようになります。


こだわりポイント3つ目が文字数の計算です。

実際に翻訳してくれるサービスを探していると
翻訳に必要な金額が「○○文字につき○○円」みたいなことが多いです。

この記事を書いた段階ではまだ実際に翻訳を発注していないので
実際にはどのように金額を決めるのかは分からないのですが、
翻訳してもらう際は文字数が分かっていた方が話がスムーズに進むのでしょう。

そこで先ほどの私の会話スクリプト

ここから翻訳してもらう文字数を数えるのは絶対にやりたくありません。
絶対に数え間違えます。

そこで文字数を数えてくれるボタンを作っておきました。
これで翻訳してくれる会社とのやり取りがスムーズになりそうです。


翻訳ツールを作ったお話、いかがでしたでしょうか?

このツールはゲームを遊ぶユーザーからは見えないものですし、
ゲームを作らない人にはよく分からない話だったかもしれません。

ですのでゲーム制作者はこんな苦労もしているんだなぁ…と
ゲーム制作の裏側の与太話程度に読んでいただけたら幸いです。

それでは、また次回!

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