リディの物語 -Ⅱ.成獣編-
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成獣期
卵期~幼獣期までのアンケート結果
卵期
- 品種:ロマンチック
- 体の灰色:薄め
- 模様のピンク色:薄め
- 羽の色:黄色
幼獣期
- 名前:リディ
- 体型:♀寄り
- 一人称:リディ
- 性格:おっとり照れ屋
- 胸:美乳
- 男性器:しょたちん
- 髪型:ふんわりボブ
- 仲良しのルクスリア:ナイト
- 角の形:カシミアモデル
旅立ちの崖
成獣となったリディは、生まれ育ったポルネリア島を出て人間界・アトランジュへ旅立とうとしていた。
……しかし、なかなか島の外へ出ようとしない。
きっと不安なのだろう。なんせ島の外へ出るのは今日が初めてなのだ。
ルクスリアは成獣になると人間の姿に変身する能力を身につけ、人間を誘惑し魔力を奪う。
しかしナイトから教わった話では、人間たちはなかなか賢く簡単に性交に応じない者も多いという。それに、人間界の森には恐ろしいユニコーンも棲んでいるらしい。
たった一匹で人間界へ行くなんて怖すぎる……。しかし幼獣期によく世話を焼いてくれたナイトたちはもう島を出てしまったし、リディには他に頼れる仲間もいなかった。
不安と焦りが募る中、目の前に一匹のルクスリアが現れた。それは――……、
旅立ちのパートナーとなる先輩ルクスリアを選ぶアンケート
もう一匹のロマンチック・ノエル
リディの目の前に現れたのは、くすんだ灰色の肌を持つルクスリアだった。
くすんだ肌とは対照的な鮮やかなセルリアンブルーの羽を広げ、紫がかった銀の長い髪をなびかせている。
初めて自分と同じ灰色の肌を見たリディはとても驚いたが、すぐナイトたちの話を思い出した。
人間界には、自分と同じ灰色の肌を持つロマンチックがいる。そのロマンチックはナイトたちと同じ時期に生まれた――……、
「のっ……のえる!!」
「リディ、しってる!キミ、のえる!」
名前を呼ばれたノエルはゆっくりと振り返った。
「……君か」
どうやらノエルの方もリディのことを知っているようだ。
しかしノエルは興味なさげに背を向けると、そのまま島の中へ入って行った。
「ま、まって!」
リディはノエルを追いかけた。
話しかける勇気はないので木の陰に隠れこっそり後をつけた。どうやら、ノエルは島に生えている植物を採集しているらしい。
「……君も何か持って行ったら」
「っ!!」
……リディが後をつけていたのはバレバレだったようだ。
「君はこれから人間界へ行くんだろう。この島の植物は人間にも使えるから、好きなのを持って行くといい」
「……!うん!リディ、植物もってく!」
ノエルに話しかけてもらえて嬉しくなったリディは、ノエルの隣にくっついてうきうきと植物を探しはじめた。
人間界へもっていく植物を選ぶアンケート
リディはリベラの実をとった!
リディはまだこの実を食べたことがないのでどんな味かは分からないが、とっても綺麗なので、人間にあげたらきっと喜んでくれることだろう。
植物を採り終えた二匹は再び崖へ出た。
「……行く場所は決めてるの?」
一度話しかけてしまってからというものずっと自分の後をついてくるリディを見かねて、ノエルがたずねた。
「が、学校っ!リディ、ナイトと約束したのっ!」
「ナイトと……?」
ナイトは一年前島を出たが、別れ際にリディにきつく言い残したことがある。
『娼館は行くな』と『とりあえず学園へ行け』だ。
「そう……ナイトは君が心配なんだね」
「ナイトやさしい!リディ、ナイトすき!」
「……君をこのまま置いて行ったら彼に叱られそうだな」
「……仕方ない。僕も学園に用があるし、学園まで一緒に行こうか。リディ」
「っ……!!!うん!! リディ、ノエルといっしょにいくっ!!」
旅立ちのパートナーができて、リディは心から喜んだ。
「確認だけど、変身はできるよね?僕たちルクスリアは人間の法律で禁止魔獣に指定されてる。その姿のまま人間界に降りたら警察に捕まって殺されるよ」
「だいじょうぶ!リディ、変身できる!」
元気よく答えたが、リディは変身が苦手で人間姿のレパートリーはまだ1つしかなかった。
人間界でのリディの姿を選ぶアンケート
「リディ、女の子なれる!」
「……男性器が隠れてないよ、リディ」
「あっ!」
「あと服も着た方がいい。別の意味で警察に捕まる」
「ふく?」
「……君は勉強すべきことがたくさんありそうだね」
ノエルは前途多難な旅立ちに深いため息を吐いた。
はじめての人間界
人間界に着いたリディは、ノエルが魔法で出した箒に乗って魔法学校・レヴィモワール学園に向かっていた。ノエルが言うに、ルクスリアは人間から奪った魔力を使うことで人間と同じように魔法を使えるらしい。
「僕が教えたことを忘れてはいけないよ、リディ 」
人間界への道中、ノエルは人間の生態や国の法律、学園内での行動の仕方など、人間界で生きる上で必要なことを全てリディに教え込んでいた。
おかげでリディのちっぽけな頭は破裂寸前で初めての人間界に感動している余裕もなかった。
「最後にもう一つ」
「り、りでぃ……!」
「学園には僕以外にもルクスリアが居着いてる。くれぐれも彼らのターゲットを横取りしないことだ。レオンは昔ヴェガのターゲットに手を出して怒った彼に殺されかけた」
「り…!?」
「言っておくけど僕は君が死にかけても助けないからね。人の物を取る方が悪いのだから」
言い終えると、ノエルは箒に呪文をかけた。
「先に行くよ。君はこのまま箒に乗って学園へお行き」
「ノエル、行っちゃうの!?」
「魔力を温存してるんだ。これはスペルヴィアからもらったものだから。
……今日は少し使いすぎた」
スペルヴィアとはノエルのターゲットの名だ。彼は学園で教鞭をとる植物学者で、ノエルは彼の研究を手伝うために島の植物を採集していたらしい。
「僕はいずれ彼の卵を産んで死ぬ。
……でも今はもう少し一緒に生きていたい。だから魔力は大事にしなくちゃ」
「君も、この人なら殺してもいいと思えるほど愛せる人を見つけるんだよ、リディ。
――さよなら」
次に目を開くと、もうノエルの姿はなかった。
リディはノエルがくれた学園行きの箒に乗って、一人レヴィモワール学園を目指したのだった。
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