よしかずちゃん 2021/07/28 09:42

リディの物語 -Ⅰ.卵~幼獣編-

LINK: 目次>「Ⅰ.卵~幼獣編」>「Ⅱ.成獣編」>「Ⅲ.人間界編」



卵期


 二翼の羽が生えた薄い膜、その中で激しく脈打つ赤い心臓、貴婦人の香水のような強烈な甘い香り――最近闇市で不正に流通しているという、淫獣・ルクスリアの卵だ。
 ルクスリアは性交を通じて相手の魔力を奪い尽くす恐ろしい魔法生物で、主に4種の色を持ち、それぞれに特徴がある。
 今にも生まれそうなこの卵から孵るルクスリアは――……、

品種アンケート

ルクスリアの品種

ムーンナイト

 青い肌にドラゴンの尾を持つルクスリア。
 個体差に限らず、まったく乳房が発達しない品種。そのせいもあり雄に似た外見が多い。
 タフで性交のセンスが高い。絶倫すぎてうっかりターゲットを腹上死させることもしばしば。

ブラッドルージュ

 赤い肌に獅子の尾を持つルクスリア。
 誇り高く美に執着する者が多い。ターゲットの選り好みが激しく、たとえ魔力が十分でも外見が醜悪であったり内面が稚拙であれば見向きもしない。

ジョンブリアン

 黄色い肌に蠍の尾を持つルクスリア。
 無邪気でイタズラ好き。快楽を追求する性分で、ターゲットの魔力を吸い尽くす前に次のターゲットへ浮気したり、他のルクスリアのターゲットに手を出しトラブルメーカーになることも。

ロマンチック

 滅多に生まれない希少種のルクスリア。灰色の肌で体の模様は必ず桃色となる。尾は蛇。
 ルクスリアの中で最も人間に近い感情を持ち、ターゲットに対する愛情が深い。生涯たった一人のターゲットのみに取り憑くと言われている。




 卵から生まれるルクスリアは、灰色の肌に桃色の模様を持つロマンチック。
 ロマンチックは滅多に生まれない、珍しい品種だ。

 ルクスリアの肌の色のトーンや羽の色は個体によって千差万別で、幾万という配色パターンがある。
 この卵から生まれるロマンチックは――……、

体と模様の配色アンケート

羽の色アンケート




この卵から生まれるルクスリアは、全体的に薄めの配色らしい。
――卵の心臓はいっそう激しく脈打ち、いよいよ殻が破裂しようとしていた。



幼獣期


 ルクスリアの楽園・ポルネリア島でまた一つ卵が孵った。
 灰色の肌に淡紅色の模様……めったに生まれない、ロマンチックの幼獣だ。

 ルクスリアは生まれた瞬間から自分の名を知っている。彼らの名は卵の魔力、つまりこのルクスリアが生まれるために魔力を吸い尽くされた哀れな魔法使いの名であるからだ。
 この幼獣の名前は――……、

名前のアンケート

一人称のアンケート

性格のアンケート




 「リディ!」
 自分の名前を悟った幼獣は小さな羽をはばたかせた。自分がどんな生き物でなんのために生まれかは、本能的にうっすらと理解しているらしい。


 ポルネリア島は平和で美しい島だ。木々にはさまざまな色の木の実がなっている。特に目を引いたのは、ひときわ美しい真っ赤な木の実。
 ――『アプロディアの実よ』


 教えてくれたのは、ブラッドルージュのヴェガ。
 ブラッドルージュは赤い肌に獅子の尾を持つ、誇り高く美しいルクスリアだ。
 「その実を食べると乳房が美しくなるの。生まれたてならちょうどいいわ、一つ食べておきなさい」
 リディはアプロディアの実を――……、

胸の大きさアンケート




 リディはアプロディアの実を一つ食べた。甘くてやさしい味がするその実は、食べれば食べるほど心が豊かになってゆくようだった。
 『おっ、ロマンチックじゃん!めずらしー』
 夢中で食べていたそのとき、黄色い手がリディの羽をつかんだ。


 ジョンブリアンのレオンだ。
 ジョンブリアンは黄色い肌に蠍の尾を持つ、無邪気でイタズラ好きなルクスリア。
 「こんな豊胸の実なんかよりこっちを食えよ、強くなるぞ」
 そう言って渡されたのは毒々しい色の木の根、”サテュロイの根”。
 リディはこの根を――……

股間の大きさアンケート



 サテュロイの根は臭くてかたくてとてもじゃないが口に含めるものではない。
 「遠慮しないで食えよ、ほれほれ」
 レオンがふざけておしつけてくるが、リディは必死に拒否した。その時――……、
 『新入りいじめはやめろよ、みっともない』


 助けてくれたのはムーンナイトのナイト。
 ムーンナイトは青い肌にドラゴンの尾を持つルクスリア。何を食べても乳房が発達せず、内面も雄に近いものが多いのが特徴だ。
 「こいつらに絡まれたら面倒だぞ。お前はあっち行って花でも食ってきな」


 ぽいっと投げられた先は、輝く花粉をまきちらす不思議な花・マーリヤの花畑。
 マーリヤの花は色によってさまざまな効果があり、蜜の味がする花粉はなめると鬣が艶やかになるという。


 マーリヤの花をむしゃむしゃ食べながら、リディはあることに気づいた。
 ポルネリア島にはたくさんのルクスリアたちが住んでいるが、なぜか自分と同じ肌の色が見当たらないのだ。


 赤でも青でも黄色でもない、くすんだ灰色の肌……。これはもしかしたら病気なのではないかと、リディはだんだん不安になってきた。
 「リディ……、リディ……リディ…………」
 リディは――……、

今後仲良くなる先輩ルクスリアを選ぶアンケート



 「リディ、しぬの、ヤッ!!!」
 「うわっ!?」
 「リディ、あおいのがいい!!」
 「なんだ、どうした?」
 「リディ、びょうき、ヤッ!はいいろ、キライッ!」
 「……もしかして、灰色の肌が病気だと思ってるのか?」


 「大丈夫だよ、お前の肌は病気じゃないから。ちょっと珍しいだけなんだ」
 「今いるロマンチックって、ノエルとこいつの二匹だけだもんなー」
 「のえりゅ……?」
 「あなたと同じ、ロマンチックのルクスリアよ」


 ノエルとは、ナイト、レオン、ヴェガの三匹と同じ時期に生まれたロマンチックのルクスリアだ。
 ロマンチックは他のルクスリアたちとは違い、生涯たった一人のターゲットを愛し貫く。ノエルも自分のターゲットを見つけてからというもの、一度も島に帰らず人間界にいるのだという。


 「せっかく人間界に降りたのに一人としかやらないなんて、あいつも頭おかしいよなぁ!」
 笑って茶化すレオンに、ヴェガが眉を吊り上げて反論した。
 「ノエルは一途なのよ!人のモノを横取りするお前のような外道には到底分からないだろうがな!」
 「おいおい根に持つなよ~」
 ……どうやら、この二人は昔何かあったらしい。


 ヴェガが怖いので、リディはナイトに聞いてみた。
 「にんげんかいって?」
 「アトランジュ。人間の住む国だよ。……お前も、成獣になったら行くんだよ」
 ナイトは、微笑みながらもどこかさびしそうだった。


 みんながいろんな顔をする、人間界・アトランジュ。
 一体、どんな場所なのだろう?人間とは、どんな生き物だろう?
 自分もノエルのように、誰かを好きになる日が来るのだろうか?

 そんなことを考えながら、リディは星雲のベッドで眠りについた。


一年経過


 リディが生まれて1年がたった。
 鬣ものび、翼も大きくなった。最近は角がズキズキと痛む。ナイトが言うには今がちょうど角の成長期なんだとか。

 ルクスリアの角は山羊角だと言われているが、山羊にもいろんな種類がある。
 リディの山羊角は――……、

角の形アンケート




3年経過



 リディが生まれて3年がたった。
 小さな角は立派に成長し、乳房は盛り上がり、性器も成獣のそれと変わらない大きさになっていた。
 成長したリディの体は常に何かを渇望し、日ごとに熱く疼く。

 ――成獣になるまで、あと少し。


(※成獣編のまとめは現在作成中です)

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