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2020年 08月の記事 (28)

宮波笹 2020/08/31 16:41

【小説】だって俺殺し屋だもん

「遊園地に行く準備をしているのよ」

荷造りをしている母親に何をしているのかと尋ねると、女はそう答えた。
当時まだガキんちょだった俺は、明日は遊園地に行くものだと思い込み大いにはしゃいだ。
お気に入りのヒーローもののリュックに、これまたお気に入りのキャップとフィギュア、そしてたくさんのお菓子を詰め込んで。

その夜は当然眠れなかった。
兄貴に「早く寝ないと寝坊するぞ」と言われても、眼が冴えて仕方なかった。

翌日、母親が出て行った。
俺も兄貴もそして父親も、意味が分からなかった。
朝早く玄関で会った兄貴が言うには、大きなトランクを片手に、買い物にでも行くように出て行ったと。

ガキんちょだった俺は、遊園地が中止になったとがっかりした。
母親が帰ってきたら、すぐにでも連れて行ってもらおうと思っていた。

だけど、3日たっても一週間たっても、母親は返ってこなかった。
元々旅行好きで、1人でふらっとどこかへ行くことはあった。
今思うと、「そういう」ことだったのだろうと思う。

それからは最悪だった。これ以上は何も語りたくない。
一つ言えることは、俺はあの女を母親とは思ってないし、父親のことも大嫌いだ。


「アンタも多分に漏れず苦労してきたってわけかいケヴィン。ま、ここの連中は大抵ワケアリだけどね」

バーのカウンターで、俺は頭を痛めていた。
目の前には普段は飲まない酒。兄貴と違い俺はあまり酒に強くない。
どうしてこんな事になったかは覚えてないが、幸か不幸か今日の客は俺しかいなかった。

「へー、酔わせてはかせようって魂胆? 情報屋にしては手段が手荒くない?」
「勘違いすんじゃないよ、飲めない酒を要求してきたのはそっちの方さ。アンタがはくのは別のモノだろ?」

店を汚したら弁償だよ、と水を出される。
この女の施しなんか受けたくないが、水はありがたい。

「で、どうすんだい?」
「何がさ」
「生き別れた母親に再会したら、どうするんだい?」

そんなの、ずっと昔から決まりきってる。

「殺すかな、だって俺殺し屋だもん」

宮波笹 2020/08/30 16:00

【小説】昨日書いた小説のあれこれ

800字小説って書くのめんどくさいので小説タグつけました
いつまで続くのかは不明です

毎日絶対やる!って追い込むと何も書けなくなるのでゆる~くやってます。
でも一度続けようと思ったからにはやっぱり続けたいので昨日やらなかった分今日はやるぞ!と思ってなんとか書きました。

前々回(そういえばタイトルつけてなかった)出て来た殺し屋イアンの日常編。
ゲーム上でも語られる(予定の)、カフェの世話焼きお姉さんケイシーが、イアンへの印象を改めるシーンです。

もうちょっと彼の不気味さ(不気味って…)を表現できたらなぁと思ったけど。
カフェが舞台で、バイト君がいて、語り手はケイシーっていう女の人で~と説明してるとホント隙間がない。

あと5回は「泣く泣く削った~」って言うんでしょうね。言わせて。
ゲームってあまりそういう制限ないので新鮮オブ難しい。
たぶんそれはこの謎の解説・語り日記がなくなる時だなぁ。

ただ語りたいだけ。

宮波笹 2020/08/29 22:00

【小説】いつもと違う時間、同じ席で同じメニューを

朝の6時50分。
カフェ・スワンを開けるため、1階の店に降りる。

「おはようございます、ケイシーさん」
「おはよう」

律儀な彼はここのバイト君。働き者で朝の準備や玄関の掃除も彼に任せている。


「今日もあの人来ますかね」
「そうね」

あの人というのは、最近上のアパートに引っ越してきたイアンという男。
開店時間の朝7時きっかりに来て、同じ席で同じメニューを頼む。
店の売り上げ的には大変ありがたい人だ、今日も来るだろう。

といいつつ、正直私はあの人が苦手だった。
嫌な人という意味ではない。そんなのは裁きなれている。
同じ時間に同じ席で同じメニューを頼む、それだけ。
でもどこか近づきがたい、人を遠ざける雰囲気が彼にはあった。
だから私も、彼の事は時間に律儀な人ということ以外何も知らなかった。


「……遅いわね」

朝7時5分。
彼がこんなに遅かったことがあっただろうか。いやない。
昨日の夕方に帰宅したのを見かけた。なら今日はくるはず……

「ケイシーさんあれ」

バイト君に促されて玄関を見る。
噂の彼はすでに店の前に来ていた……けど入ってくる様子がない。
あ、目があった。
すると、彼は何かを諦めたように店に入ってきた。

「すまない」

来店のベルと当時に謝罪。もちろん、こんな彼は初めてだ。

「え?」
「落ちていたから直そうと思ったが……無理だった。」

彼が指さす先には、片方だけぶら下がった不格好な掛け看板があった。
昨日の夜は風が強かった、その時はずれてしまったのだろう。

「一言言ってくれればよかったのに」

ううん無視してもいいぐらいだ。
それを、この人は……。

「後はうちの子に任せて。さ、入って」

いつもと違う時間、でも同じ席で同じメニュー。

「今日もなのね」
「うちでは毎朝そうだった」
「そう」

あとはいつも通り。支払いを済ませて帰っていく。

「バイト君」
「すみません……」
「罰として、明日から1つ仕事を増やしてあげるわ」

あの人は明日も来るはず。同じメニューを用意して待っていよう。
朝7時きっかりにね。

宮波笹 2020/08/28 20:02

公開に向けてやったことアレコレ

「宝石ドール~柘榴石~」が無事公開開始されました~!

▼プレイはこちら▼
https://www.freem.ne.jp/win/game/23681


以下、公開に向けてやってみたことをつらつらと書こうかと。
作品とは別の所で、より多くの人に見てもらうにはどうすればいいか?という作品自体とはあまり関係ない話なのでフォロワーさん向けに書きますね。

フォロワー以上限定無料

不定期更新の制作日誌です。

無料

宮波笹 2020/08/28 16:50

昨日出した小説を書いた感想

熱しやすく冷めやすいタイプなんで、続ける保証はないっす。
とりあえずせっかく始めたんだから、ネタとやる気が継続するうちは書こうかなと。

ーーー

今回は製作中ゲーム「シアワセの引き金」の過去の話。

殺しの仕事を終えたブライト(白スーツ)が返り血を付けたまま「今日は家族の記念日だから失礼するよ」と言い出して、相棒のイアンが「その恰好で?」と突っ込むところが浮かんだのでそこから発想を膨らませました。

本当は別の対比をやろうと思ったけど、やるには文字数的に無理だった。
書きたいことを1つに絞るって難しい。
そしてそのために他を削りに削るのも難しい(そして削りすぎる)

とりあえず導入と山場とオチを決めないとどうしようもないところは同じなので、その訓練にはなりそう。

シアワセの引き金はちらほら名前出してるけど俺以外は誰も知らないに等しいので
「誰に向けて説明すればいいのか?」はあまり悩まなくてすんだり。

誰がしゃべってるとかどこまで明確にするか経験がないから勝手がわからないんですけど、まぁそれは後々見返して「わっからーん!」となったときでいいかなぁ。

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