Muu Dogg Studio 2022/02/10 18:18

【無料公開】Steam版発売記念、Case-2の楽曲を語る

どうもMuu Doggです。

昨日ようやく全年齢版白昼夢の青写真がSteamで販売開始されました。
感謝を込めて、普段のコラムとは別に4日間連続で白昼夢のサウンドについての記事を更新していきます。
元となっている記事は2021年9月23日に公開した発売一周年の記事の改稿版です。


さて、四日連続白昼夢の青写真の音楽を語り尽くす会です。

二日目の今日はCase-2について語っていきます。

舞台は1500年代のイギリス。
二作目の「ニュートンと林檎の樹」の世界より100年以上前の世界です。

ニューリン制作時にも、BGMを作曲してくれた上原一之龍さんと緒乃の間でケルト音楽の研究がなされていたようでしたが、そうはいっても「難しいことは考えないケミカルタイムトラベルアドベンチャー」
ムサシ、かしこ、Xelferyが作った挿入曲も含め、楽曲はジャンルもバラバラでなんでもありでした。
当時は結果的にそれが正解だったと思っています。

Case-2の楽曲制作に着手するにあたって、各Caseとの差別化を明確にするためにケルトらしさをニューリン以上に探究して深めようというのがサウンドチームの指標のひとつでもありました。

そんな中で最初に出来たのが、初回限定版のサントラにのみ入っている「The Grove Theatre」
Xelferyくんの手によるものですが、もともとはEDMなアレンジ。
momoちゃんによるティザー曲「冷たい壁のむこうに」が爆誕したことで使いどころをなくしてしまったため、Muu Doggのリアレンジで「高鳴る鼓動」として民族楽器マシマシサウンドで劇中で復活させました。(URL、1:21:15)
https://youtu.be/nBxSYC9DN04


「冷たい壁のむこうに」は「風の唄」よりもケルティックに美しいグルーヴをmomoちゃんが突き詰めた楽曲。
https://youtu.be/VTkzKmiPKDc

実は、僕個人としては「風の唄」以上に気に入っています。

もう2年前なので朧げですが、クラムボンのティザーを公開した後で間髪入れず他の新人ボーカリストさんを起用してみようとなってお願いした結果、yukiさんの元の仮歌のほうが遥かに素晴らしかったためそのままお願いしたような記憶があります。
今作のyukiさんの存在は、何か運命的なものを感じます。

次いで着手したのはラムシーニさんの弟、西村拓真さんによる「贅沢な日々」の三拍子バージョン、「もっと贅沢な日々」(URL、1:1:44)
原曲はニューリンのときに作られたものですが、ケルトらしさの一つに奇数拍子というのがありまして、Case-2の冒頭でニューリンとはまた時代が違うよということを提示するために三拍子にしてもらいました。
エゴサしていて、原曲との違いに気付いている人はほぼいなかったけど……。

ここからはまたしても、かしこくんのゾーン。
1:11:47「執筆中はお静かに」は、Case-1の執筆のテーマとして使われていた「No one knows」(36:59)と同じモチーフで、「書き続ける日々」(1:8:38)のサウンドの延長線にあるような楽曲を作ってもらったもの。

そして1:25:9からの2曲「誰がためにYouは鳴く」「歴史の一片」は貴族シリーズ。
これは貴族のテーマが必要だなと思って、チェンバロの音色を全面におした「誰がためにYouは鳴く」を書いてもらったのですが、前半部分に出てくる貴族なんてスペンサーしかいないし、スペンサーのテーマとして完全に機能してしまっていました。

さすがにエリザベス女王の前で全く同じ曲を使用するわけにはいかないと思ったので、同じモチーフからパイプオルガンの音色で荘厳なバージョンを制作してもらったのが「歴史の一片」

1:38:44からの「きっと朝日が」はニューリン唯一のエンディング楽曲「空の約束」をℊ今回のBGM用にリアレンジしてくれたもの。

原曲と違ってあくまで歌に耳がいかないようフルートの主旋律に変えてもらったのですが、ここまで感動的なバラードに仕上がってしまうとは……こんなん泣いちゃう。

1:41:12からの「涙の行方」「逃れられない運命」はmomoちゃんによる「冷たい壁のむこうに」ピアノバージョン。
特に「逃れられない運命」がピンポイントで使用されるクライマックスの獄中のシーンは、プロットの段階から決まっていた「冷たい壁」というタイトルそのものの伏線回収というCase-2のゴールともいえる重要シーンであったため、momoちゃんに完成したシナリオを再度読んでもらって、「涙の行方」を焼き直してもらいました。

ワンシーンのためだけのピンポイントの追加発注は、そのシーンの重要性を最も理解しているライターの緒乃が最終意思決定者であることと、
スクリプトを打っているムサシがサウンドディレクターであるからこそスムーズにいくものなので、こういう凝ったところの判断がバシッと決まるとすごく気持ちいいですね。

最後はかしこくんによるエンディング楽曲で「風の唄」のリアレンジ。
「夜明けの片隅で」(13:43)
これは「もっと贅沢な日々」とは全く逆で、3拍子でケルト色が強かった原曲をしっとりと聴いてもらうためにあえて4拍子に直してもらっています。

かしこくんはストリングスとピアノ、効果音が絡み合うアレンジが本当に上手い。
テンポを落として4拍子に変えたことで、サウンドにパワーが必要になったため、ムサシのエレキギターが両サイドで鳴っています。

昨年買ったメインギター「ハムロ京介」の初舞台だったのでとても思い出深い。
目立たないけどオケに厚みを与えるこういうバッキングギターはアレンジャー冥利に尽きます。

生楽器のダイナミクスで印象が大きく変わる楽曲だと思っているので、こういう曲はライブの生演奏で聴いた時に真価が肌で伝わるんだよな……。

実はこの曲の前にかしこくんはCase-2のエンディング用に1曲フルでオリジナルの美しいデモをあげてくれていたのですが、苦渋の決断でボツにしました。
美しい曲が多すぎて選べないなんて、なんて贅沢なんだ。

Case-2の指標であったように、今回ノベルゲー×ケルト音楽でやれることが全部できたという満足感をもっております。

ラプラシアン作品でまた中世イギリスが舞台になることは多分ないと思うので(いや未来のことはなにもわからんが……)やりきった感があってよかった。
その充実感を堪能してもらえると嬉しいです。

さてさて、三日目の明日は、Case-3の音楽。
新規で作ったBGMが意外に一番少ないので、何を書こうかな。


今日はこの辺で。

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