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カウパー同盟の記事(14)

カウパー会 by Muu Dogg 2022年07月27日 18:27

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カウパー会 by Muu Dogg 2022年06月11日 22:16

6月11日のコラム:山下達郎のサブスク発言について思うこと

どうもMuu Doggです。


今日は、これまたみんなと議論したいお話だったので無料公開させていただきます。
結論は、何一つでていません。


今朝、山下達郎パイセンの新作のインタビューがヤフーニュースに出ていました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/be612cd888a261a17c38007d9f51406f35ddaade

パイセンと表記しているのは達郎さんがムサシの高校の30期以上先輩に当たるという一点のみの理由であり、決して山下達郎のモノマネをするのが好きだからとか、シティポップが好きだからとかではありません。政治思想に至ってはむしろ真反対であります。


内容はこれまでの活動の話、新作の話、制作哲学の話などかなり濃厚なインタビューとなっていますが、そのなかで「サブスクは恐らく死ぬまでやらない」と答えた部分がタイトルとなりパッキングされてTwitterのトレンドに「山下達郎 サブスク」「山下達郎 老害」がトレンドになっていました。

内容に関しては「表現に携わっていない人間が自由に曲をばらまいて、そのもうけを取ってるんだもの。それはマーケットとしての勝利で、音楽的な勝利と関係ない。本来、音楽はそういうことを考えないで作らなきゃいけないのに」
という作り手とリスナーの一対一の関係や、リスナーの音楽体験の重要性を50年近いキャリアの中で至上命題としてきた達郎さんらしい発言。

そして頭ごなしにサブスクそのものを否定しているというわけでもなくて(実際彼はSpotify利用者で常に新曲をチェックしていると公言している)、そのマーケットのシステムそのものに苦言を呈している。という形。

達郎さんはエンジニア並みに異常に耳が良いミュージシャンとしても知られているので、サブスク程度の音質で自分の曲が世に出るのも嫌なんじゃないかな。というのも少し思いました。
Spotifyの上限320kbpsは別としても、アップルミュージックのノーマライズやロスレス音源にも不満がある人は意外と存在します。

Twitterでのリアクションは大概がアホみたいにずれ倒していて、
肯定的な意見の「よく言った!タダで音楽聞くな!」というのは、達郎さんが言及しているのはリスナーへの不満ではなくて中間業者への話なのでそもそも違う。
あと、サブスクは定額なのでそもそもタダじゃない。

否定的な意見の「老害」とかはもっとしょうもなくて、そもそもアーティストとリスナーのことを考えての発言だし、みんなサブスクやめようとか言ってるわけでもないし、誰にも害を与えていないので的外れ。
(……話は反れるけど、ちゃんと文章を読まずに見出しだけみて大騒ぎしている知性のない人たちこそ、数十年後に老害のポジションに落ち着きそうですよね)


それで、この「サブスクは恐らく死ぬまでやらない」発言に対して考えなきゃいけない側面は2つあると思っています。

まず1つは商業音楽のグローバル化が究極形態にまで発達してしまって、達郎さんの音楽は今や彼のCDを簡単に買える日本人だけのものではなくなっているという点。

ここ10年足らずでシティポップが世界的な大ブームになったにも拘らず、世界のリスナーからすると彼のCDもレコードも気軽に手に入らない、サブスクにももちろんない。
そのため、違法アップロードで聴くか、わざわざ日本に来てCDとレコードを買い漁るしか選択肢がない。

YouTubeで違法に聴かれるくらいならサブスクで出したほうが建設的じゃない?というみのミュージックの意見も的を射ています。
実際達郎さん以外のシティポップとして人気の出つつある80年代の多くの日本人アーティストは、吉田美奈子、大貫妙子、杏里、大瀧詠一や竹内まりやに至るまで、ここ1~2年で軒並みサブスク解禁しています。

もう一つは、サブスクはその便利さのあまり、一部のマイノリティかつ偉大なアーティストの思想やクリエイティビティを完全に剥奪しているということ。
アーティストにとって、どう発信するかも表現の一部であり、ボタン一つで聴けることだけがすべてのアーティストの最高の環境かというと、それはそれで違和感がある。

達郎さんにとってサブスクは低音質であり、サブスクに楽曲を上げることは、高音質で音楽を聴いてもらう機会を剥奪しているとも言えるし、
耳のいいリスナーにとってもその機会を奪われているとも言える。

パッケージを店頭で買って帰って、封を切って再生する。その瞬間が最高にワクワクする。というリスナーの感情も、それはそれで尊重されるべきだし、エロゲをプレイする人々は特にその感覚がわかると思います。
(ちなみにムサシはもうプリンスの豪華特典付きCD以外のパッケージは買わなくなってしまったし、そのCDも肝心の曲は機器で再生することなく、サブスクで聴いていますが……)

ニールヤングやジョニミッチェルが、ワクチンに対するSpotifyの発言をきっかけにSpotifyから撤退したのも記憶に新しいですが、単純に「インターフェースがダサいから」とか「アプリが使いづらいから」とかその他凡人には理解できないような理由でそこに曲を上げないアーティストがいてもいいし、アーティストの志向する理想に口出しする権限は他人にはないわけです。

ちょうど昨日ぺれっとと話していて、ぺれっとの昔通っていた学校には職業クリエイター志望の学科とアーティスト志望の学科があったが、アーティストの人たちは課題でどんなものを上げてこようと、それは自己表現のすべてなので、先生たちは評価したり口出しすることができず、職業クリエイターの専攻として先生たちからボロクソ指摘される側だったぺれっと達にはそれが羨ましくもあり、何とも言えない複雑な感情を抱いた。といっていましたが、これはすごくわかりやすい例で、
アーティストに対してはその作品に向き合う純度の高さ以外、口出しすることにあまり意味がないんですよね。

サブスクもいずれ、各アーティストに応じたベストなコンテンツに分岐していく気もするし、10~20年のうちにレコードやCDのように一過性のメディアとしていつか新しい何かに取って代わられる未来が訪れる気がします。

達郎さんのサブスク発言から抱いた2つのことは、今後考え続けないといけない問題だと思います。

今日はこの辺で。

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カウパー会 by Muu Dogg 2022年05月26日 20:09

5月26日のコラム:倫子vol3発売&ニューリン5周年記念!(前半無料)

どうもMuu Doggです。
昨日はシンウルトラマンを見てきたのですが、その感想は明日にしようと思います。

今日は工口倫子vol.3「人類最強性欲の嫁の姉」発売と、「ニュートンと林檎の樹」発売5周年。
狙ったわけではないのですが、2年連続で旧作品の5周年に作品が販売されました。

こうなってくると来年の8月31日は未来ラジオ5周年だから何か出さなきゃと言う謎の義務感が首をもたげてきます。

せっかくなので今日は、前半は無料公開で工口倫子Vol3テーマソング「愛のズポズポ」と「ニュートンと林檎の樹」の作中挿入ムービーについて語っていき、後半の有料部分ではMuu Doggが手がけた楽曲「Miss You Apple」について話していこうと思います。

それでは、ゆっくりしていってねー。


「愛のズポズポ」
https://youtu.be/uXtWICqrb3Q

作詞は緒乃ワサビ。
作曲はkikyow、Muu Dogg
編曲はkikyow、Xelfery
ボーカルとギターとベースはkikyow

相変わらずの安定の座組でございます。
kikyowくんはいつも通り素晴らしい歌唱力と演奏力だし、Xelferyくんはシンセの音作りやミックスの上手さは申し分なく、一作目を作り始めていた頃はここまで相性のいいチームになっていくとは思っていませんでした。

倫子シリーズは終わってしまいますが、この座組でまた曲を作りたいですね。

制作し始めたのは倫子Vol2の「産卵・TAMAGO・ガトリング」が完成した直後から作り始めていた記憶があるので、ちょうど1年前になります。

今回の参考曲はマキシマムザホルモンの「愛のメガラバ」
最終作にふさわしい忘れらないものにしようと緒乃と話していて、「愛のメガラバ」路線に落ち着くまでに、戦隊ものみたいな曲やオルタナ、ミクスチャー、パンクなどかなり探し回った記憶があります。
散々迷った挙句、一作目に原点回帰してホルモンのミクスチャーでポップな方向に全振りしてみようか。というところにまとまりました。

掛け声の「はいはい!」と「Our B」などのコーラスはもちろん、倫子役・御苑生メイさん、メコ役・恋羽もこさん、倫理役・葵時緒さん。
曲の冒頭では元気が良かったものの、フル尺の曲後半に行くにしたがって段々感じる演技をしてもらっています。

実はマシマロの杉崎亮さんにも声を録ってもらったのですが、面白過ぎて逆に一番キャラが立ってしまったため「何かの機会に使おう」ということで今回は見送りました。


「ニュートンと林檎の樹」作中挿入ムービー
https://youtu.be/64IVZ-rUc_s

……懐かしいですね。
当時はとある作家さんを旗手として、僕とXelferyくんとかしこくんの4人で「Rhythm Ninja」という音楽チームを組んで1年に満たない期間ですが活動していました。

この楽曲群はそのチームの活動期間中に制作された貴重な数曲であります。

5曲のうち「ラビリコ・ピリララ・ラビラボラトリー」「万有引力を失った場合の考察」はベースとなるトラックはXelferyくん。
どちらも彼らしい本格的なエレクトロサウンドの凝った作り込みで、音色のこだわりの深さに圧倒されます。

「やまと・ナ・Disco」「ディグ・ダグ・男爵」のベーストラックはもう1人の作家さん。
ポップン的な音ゲーっぽい印象。
「ディグ・ダグ・男爵」はTomosukeぽくて、今聴いても面白いですね。

「アップルパイでティータイム」はMuuDogg。
最初はエミーさんの挿入ムービーとしてジャズポップを目指して作っていましたが、次第にこれはアリスとの最後のデートシーンのほうが良いね。ということになり、ストリングスが入り、より切ないアレンジになりました。

という感じで5種類のトラックを用意した上で緒乃がそこに歌詞(というかセリフ?)を書き、必要になればその他各メンバーが楽器を乗せるなどして仕上げていきました。

というわけで前半はここまで。

後半の有料部分ではティザー曲「Miss You Apple」のデモをまじえた完成秘話と「せっかくだからMiss You Apple自分で歌い直してみた」バージョンの公開など、いろいろとやっています。

ではでは。

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カウパー会 by Muu Dogg 2022年05月13日 23:46

5月13日のコラム:歌唱力の民主化と、それについていけない最後の世代【無料公開】

どうもMuu Doggです。

友人の作家さんのやっている音楽ユニットのプリプロに行ってきました。
……まあ、音楽ユニットをやっている友人の作家自体そんなにいないので、誰だかすぐバレそうですが。
あ、僕はその曲には一ミリも関わっていません。本当にただ友達というだけです。

歌詞もメロもアレンジもしっかり固まる前の段階の状態から、じっくり曲を組み上げていく作業をみるのは未だに勉強になります。
ちょうど今月の作家事務所に出す曲のアイデアを探し回っていたので、いい刺激になりそうです。

さて、その作家さんも最近、ポップよりもテクノやオルタナ的な、よりサウンドもマニアックでコアな方へ向かっていますが、僕もマスロックやフューチャーベース的な曲をもっと作れないものかと模索しています。
おそらく僕らのこの興味の変遷は偶然ではなくて、世の中のポップスそのものがここ数年目まぐるしく多様化しつつあって、無意識下でそれに順応していっているのが原因の一つだと推測できます。

音楽の多様化が許される状況。とは音楽がマニアックだろうが洋楽と同じような曲調だろうが、それを許容できるユーザー層が形成されてきた。ということ。

わかりやすく日本のR&Bなんかを例に話してみると、2000〜2010年代は日本人の理解できるグルーヴの限界のなかで音楽が作られていました。
MisiaとかUAとかCHARAなんかが顕著で、歌唱レベルは本場のブラックミュージックと変わらないにも関わらず、サウンドやリズム、ミックスがどうしても昔ながらのJpopから抜け出せていませんでした。

僕らはこれを敬意を込めて「J-R&B」とか「醤油感」と呼んで、この本場のR&Bとは何かが違う独特なサウンドを味として楽しんで、需要して来ました。
しかし、たった10年足らずでそれも大きく変わってきました。

昨今、藤井風だったり、VaundyとかWONKとかeill、向井太一など、グルーヴもサウンドも洋楽顔負けのクオリティがありながら、Jpopとしても成立させるという、本来ありえなかったことが起き始めています。

次にミックスの変化について考えてみると、これは若い人たちの歌唱力の向上も大いに関係があります。
Adoや花譜、Da-iCE、優里、YOASOBIなど、昔から数十年に一人の逸材!と持て囃されていたであろうレベルのボーカリストが同時多発的に増えてきました。
(いや、歌唱力がある。というわかりやすい言い方をしたけど、英語の発音のように日本語を歌える人たちが増えた。という方が正確かもしれない。)
ミックスバランスをどこまで洋楽的に詰められるかどうか、というのはイコール、その人の声のバランスや倍音がどれだけ英語に近いかという部分と直結しています。

この歌い方の英語化は、言うなれば「宇多田ヒカル歌唱法の民主化」と言っても差し支えないくらい、もはや宇多田ヒカルクラスの天才ボーカリストだけの独占物ではなくなり、多くの若いシンガーにとって日常的に手の届くものになりつつあります。

リズムと歌唱力の大幅な向上の理由は、義務教育でダンスが必修になったことや、YouTubeやTiktokで個人で歌を上げる人が増えたことが根本的な原因と思って間違いないとは思うのですが、このあたりはまだ研究の余地はありそうです。

ダンスをやったり日々触れる音楽が変わるだけで、そんなに変わるのかよと言われそうですが、変わるんだな、これが……。

人間が音楽のどの部分を聴くのか。というのは幼少期の原体験でほぼ決まってしまうんですよね。
ミュージシャンや作曲家のように、ひたすら鍛錬を積み重ねて、表拍でとってしまうのを裏拍でとるように矯正したり、発声の仕方もマイクに乗りやすいように矯正したりしていたのが、若い世代にはそれが初めから当然のように出来てしまうわけです。

なので我々20代後半から30代の世代は、リズム感が昔の日本人的な表拍でとりがちで、歌い回しも演歌や民謡に源流を持つ最後の世代だと思う。

僕ら作曲家の曲調がマニアックでコアになっていくのは、今ならこの音楽オタク具合を発揮しても受け入れてもらえるんじゃないか?という期待と、恐るべき若い世代のミュージシャンたちとこれから先、共存していくには早めに舵を切らないと駆逐されてしまうのでは?という焦りもあると思います。

……長くなってしまった。

今日のお話は多くの人に読んでもらって議論したいので、無料で公開してみようと思います。

今日はこの辺で。

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カウパー会 by Muu Dogg 2022年02月12日 12:00

【無料公開】Steam版発売記念、Case-0の楽曲を語る

どうもMuu Doggです。

全年齢版白昼夢の青写真がSteamで販売開始しましたので、感謝を込めて普段のコラムとは別に4日間連続で白昼夢のサウンドについての改稿記事を更新していきます。

今回元となっている記事は2021年9月25日に公開した発売一周年の記事の改稿版です。


4日目の今日はCase-0の音楽について話していきます。

Case-0は最も制作に時間をかけたCaseで、シナリオ構想は2019年の頭から、キャラクターデザインやイラストは2019年4月頃から上がっており、楽曲群は2019年の夏頃からスタートし、2020年の9月頭まで作っておりました。
2度延期したとはいえ、一年半に渡って作り続ける超持久走のプロジェクトになるとは当初誰も予想していなかったと思います。

一番最初に同時に作りはじめた楽曲は8曲あります。

・まず一曲目は当初Case-0のOPとして想定していたXelferyくんの曲。
これは体験版のエンディングという形でのみ「To Be Continued.」というタイトルで聴くことができます。
参考曲はこれ。
https://youtu.be/ZcC3vVh3cOE

・二曲目は
いつかの白昼夢(0:00:00)
https://youtu.be/nBxSYC9DN04

こちらもXelferyくん。
「キミトユメミシ」「風の唄」「Wish You were There」の三曲と、
OP想定だった「To Be Continued.」のリフ、計4曲のメドレーとなります。

とにかく斬新で衝撃的なものを作りたかったので、サウンドも可能な限り洋楽のEDMサウンドに近づけてもらいました。

・3曲目が西村さんによる
Coversion One(2:22:27)
https://youtu.be/nBxSYC9DN04

(説明がごちゃごちゃしそうなのでここからURLの動画の並び順で楽曲を紹介していきます)

未来ラジオのときの起動曲に近い、しっとりして洗練された楽曲です。

・4曲目がmomoちゃんの日常曲
Narrative Town (2:24:32)
今聴くとInto Grayと同じモチーフですね。

・5曲目がXelferyくんの出雲のテーマ。
何度でもこの応酬を (2:26:59)
出雲の無機質さを忠実に音にしてもらったような曲。

・6曲目がmomoちゃんのコメディ曲。
ニッコリ・トルティーヤ (2:28:56)

・7曲目がかしこくんの幼年期のテーマ。
私の思い出(2:31:18)

・そして8曲目がMuu Doggによる世凪を救うテーマ。
WORLD AROUND (2:33:41)

元々は日常曲のつもりだったが、美しさを求めて作り込んだ結果、なかなかの重要曲になりました。

ここまでの8曲が、今作のメインで活躍した作曲家5人の手によってCase-0のシナリオすらまだ完成していなかったプロットのみの状態から固めたサウンドイメージです。

この8曲があったおかげでその後のBGM制作はほとんど迷わなかったといえます。(このあとInto Grayという最大の難所にぶち当たるわけだけど……)

いずれもCase-1,2,3の夢の間に差し込まれる幕間シーンで体験版のときから使用されており、Case-0の全貌が明らかになる前から少しずつ世凪・海斗・出雲の心象風景が漏れて見えてくるサブリミナルな効果も狙っています。

さて、体験版が解禁されてCase-0の制作が本格的に始まってくるにつれて、緒乃や霜降ぺれっとの筆も乗ってきます。

当初予定していた規模感より遥かに壮大で綿密な世界観が構築されるにつれ、追いつくためには倍の量のBGMを作る必要があることに気づきます。

そこで大活躍してくれたのが、かしこくん、Xelferyくん、西村さん。

まずはかしこくんの三曲
「雨の降らない街 」(2:35:52)
「Imitation Night 」(2:38:08)
「静かな夜に 」(2:41:18)

それまでジャズピアノの演奏が超絶上手い男という印象だった彼が、作曲家としてアレンジスキルの成長を大いに感じさせてくれた3曲。
静かな日常曲、静かな夜の楽曲、そして夜の延長、情事のシーンで使用されるしっとりとした美しい楽曲。
どれも世凪と海斗の静かな日常のなかの微妙な起伏であり、ともすれば1曲で済まされてしまいそうな楽曲群にしっかりと濃淡をつけ、見事に表現しています。

次にXelferyくんの3曲。
「Technical Argument」(2:43:40)
「Quicksilver 」(2:45:14)
「REMINISCENCE」(2:47:02)

忘れてしまいそうではあるが、Case-0の舞台は2200年くらいの近未来。

餅は餅屋、Xelferyくんはシンセのサウンドイメージ能力に誰よりも特化しており、そこにディレクションでローファイなアナログサウンドを混ぜてもらうことで、
ディストピアなハイファイさ、資源の枯渇したローファイさの両立に成功してくれています。
とりわけ秀逸なのは世凪の思考空間にダイブする時のテーマ「Technical Argument」

初稿で上げてくれたデモをタイムストレッチであえて音質劣化させて混ぜることで、ローファイ感を出している。
余談だけどレミニセンスってジョナサン・ノーランの昨年公開した映画のタイトルと一緒じゃないか。

そして西村さんの2曲。
ニセリープくんのテーマ「天敵のいない生命体」 (2:48:46)
と、2曲飛ばして
今作唯一のオーケストラ楽曲「涯際」 (2:57:50)

いまだから言えるけど「涯際」は、クリストファーノーラン監督作品「インターステラー」のハンスジマー楽曲をがっつり意識しています。

幼年期、青年期、壮年期、最終章、各タームのラストに流れるテーマみたいなのが世界観の格式を高めるためにどうしても欲しくて、かなりぎりぎりでお願いした楽曲。
本家のハンスジマーは「インターステラー」を完成させるために教会を何ヶ月も貸し切って、パイプオルガンの音色でこの世ならざる音を表現していて、さすがにそこまでは出来ないけど西村さんならそのサウンドに肉薄できるのでは……と思いお願いしたもの。
ラストで遊馬と海斗が会話する時にこの曲が流れるシーンは本当に神がかっているし、何度見ても鳥肌が立ちます。

からの、またかしこ無双シリーズ。
momoちゃん作曲「Into Gray」のピアノバージョン
「遠い日に想いを馳せて」(2:59:47)

キースジャレットが弾いているのかと思うほどの豊かな表現力。

そしてこれまたmomoちゃん作曲「凪いだ海のように」のピアノバージョン
「海が凪ぐまでは」(3:02:04)

これは発売前コラムでも書きましたが、昨年9月頭、マスターアップの3日前、深夜3時にさめもと・緒乃・上都と連日泊まり込みで仕上げている際に、世凪が世界そのものになることを海斗が受け入れるシーンに絶対にもう1曲必要だよね。という話になり、すぐさま電話して仕上げてもらったもの。
信じられないことに深夜4時半にはもう完成して納品していました。
かしこくん、とんでもないスキルだ。

これはあとで聞いた話ですが、昨年8月末に「凪いだ海のように」をなんとか納品し終えたmomoちゃんが、マスターアップ後にゲームをやっていたら自分の曲がピアノバージョンになって収録されていて「誰がいつ書いたの!!??」と仰天したらしいです。

続いて先でも触れたmomoちゃんによるオープニング楽曲
「Into Gray」
https://www.youtube.com/watch?v=ytKJN6myP4U&ab_channel=LaplacianOfficial

はい神曲。

実はCase-0のオープニングは「恋するキリギリス」「冷たい壁のむこうに」と同じタイミングで書いてくれていて、それもかなりのクオリティまできていたのですが、体験版をプレイしたmomoちゃんが「こ、こんな、すごいもの見せられて……このままじゃ……だめだ……!!」と、全てまっさらにして一から作り直して誕生しました。

ドラムとストリングスの質感はとにかく迫力を出してもらうために納期のギリギリまでかなり調整してもらった記憶があります。

一同業者の率直な感想として、ここまでプレイヤー冥利に尽きる楽曲は無いと言えます。
オンコードやアドナインス、サスフォーのコードの差し込み方はアンニュイで耳心地がいいし、彼のトレードマークであるハーフディミニッシュ盛り沢山のコードプログレッションも完璧。

ベースはこれでもかというほど暴れ回るし、今回初登場のギタリスト東山瞭太さんのプレイはザクザクと心をえぐるし(演奏が上手すぎて危うく弟子入りを志願するところだった)
Yukiさんの張り裂けそうなボーカルは涙を誘うし、これを名曲と言わずしてなんというか……これが僕の第一印象です。

続いてエンディングにいきましょう。
「凪いだ海のように」(31:07)
momoちゃん作編曲。

「Into Gray」をここまで語っておいてなんですが、今作で僕が最も愛しているのはこの1曲。
どんなに評価してもしたりない。

抑圧の効いたシンセとエフェクト、消え入る一歩手前の神々しさすら感じるYukiさんの歌声、無駄な音が一音足りともないのです。

AメロとBメロの間奏はポップスの定石ではあまりやらないのですが、フィルターのかかりかたや音のダイナミクスが美しく、これが楽曲の完成度を決定づけたポイントだと思っています。

実はフル尺制作のとき、緒乃とmomoちゃんの喧々囂々な議論が最も白熱したのがこの曲。
作編曲家としては、音を減らしていくというのは編曲の粗が見えやすくなることを意味しているため、かなり慎重になる怖い試みではあるのですが、緒乃の大胆なディレクションに僕は息を呑んで完成を見守っていました。

超余談ですが、一番と二番の間に静かに入ってくる波の音は僕が選定したもの。
名曲の誕生に関われて幸せですありがとうございます。


さてさて、Case-0もついに語り終えてしまった。
忘れていた当時の記憶や感情がまるで世凪にとっての各Caseのように鮮やかに思い出されますね。

こうして思い返すと次回作への糧になる経験ばかり。

企画会議もますます活発になり、やりたいものもどんどん増えてきているので、今後のラプラシアン(もといプリンキピア)作品も楽しみにお待ちください。
四日間お付き合いいただき、ありがとうございました。

月並みではございますが、Steam版白昼夢の青写真を購入いただいたみなさん。本当にありがとうございます。
2回目以降の方も、初体験の方も、作品を楽しんでいただけると嬉しいです。

今日はこの辺で。

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