Muu Dogg Studio 2022/02/09 20:37

【無料公開】Steam版発売記念、Case-1の楽曲を語る

どうもMuu Doggです。

先程ようやく全年齢版白昼夢の青写真がSteamで販売開始されました。
元々の作品の販売は約一年半前。
最初の企画の段階から換算すると三年強かけて制作してきた思い入れの深い作品です。

そんな感謝を込めて、普段のコラムとは別で今日から四日間白昼夢のサウンドについての記事を更新していきたいと思います。
元となっている記事は2021年9月21日に公開した発売一周年の記事の改稿版です。
ネタバレも含む部分もありますが、楽しんでいただけると嬉しいです。


さて、一日目の今日はCase-1の音楽についてひたすら語っていきます。

Case-1は童貞会で「追楽園」として連載していたので、今となってはそのタイトルの方がしっくりきますね。

まずはOPソングである「クラムボン」
https://youtu.be/8pdEGmTA12A

とBGM
「穏やかに吹き抜ける風」35分22秒から
「No one knows」36分59秒から
「繋がれた記憶」51分59秒から
https://youtu.be/nBxSYC9DN04

実はこの四曲、momoちゃんとかしこくんにcase1のプロットを渡して、
「インストでも歌モノでもなんでもいいから、ここからイメージされる1分半の短い楽曲を作って欲しい」と伝えて上がってきた曲たち。

momoちゃんはこの時がラプラシアンとの最初の仕事ということもあって、一発入魂で仮歌詞とYukiさんの歌までしっかり入れて現在の「クラムボン」にほぼ近いものを上げてきました。
僕と緒乃はその姿勢に圧倒されて、かつ曲のクオリティも世界観も申し分なく、オープニングとして使用しました。
サウンドとしては追楽園というタイトルの通り、失楽園などの悲恋がテーマになっているのもあって、古臭くならないように現代的なシューゲイザーを目指してもらいました。

日本のバンドで言うならcruyff in the bedroomや羊文学のようなイメージです。

この手のジャンルには歌を楽器のひとつのように混ぜるという特徴があって、それが通常のJ-popとは最初に聴いた時の印象が大きく異なるため受け入れられるか不安でしたが、杞憂でした。
むしろその違和感こそがCase-1の不安定な世界観に綺麗にマッチしました。

サビの「揺らめく泡につつまれて」のハーフディミニッシュのコードが最高ですね。
momoちゃんの楽曲は、ベーシストということもあってルートの動かし方やディミニッシュコードの使い方が抜群に上手く、予定調和をしたたかに裏切ってくるのが素晴らしいです。まったくエロい男だぜ。

BGMの3曲はかしこくんとの2~3時間の通話で上がってきたいろんなパターンの中から精査して組み上げていったもの。
彼は通話を繋ぎながらその場でピアノをどんどん弾いていって作ってくれるスタイルが、僕との制作スタイル的に一番相性がよくて進むので、基本一度の通話で何曲か上げてくれることが多く助かっています。

この3曲と「クラムボン」が出来たことでCase-1の世界観が固まっていきました。

Case-1は1作目「キミトユメミシ」と世界観を同じくするため、キミユメのBGMも多く使用しています。

ただ、キミユメは全体的に明るい楽曲が大半を占めるため、先述した4曲との世界観につながりを持たせられないものが多く、
本来七ノ羽・真里奈・みことのテーマだった「心の声の聞こえる場所」「学園の隅で」「渡りに鍋」と、OP曲のオルゴールバージョンだった「かつて見た景色」の4曲のみ、作中の雰囲気に合うようにリバーブを深めて再編集して使用しました。
今、ゲーム中で聴き返すと日常曲として驚くほどCase-1の世界観にハマっていますね。

BGMの全体的な構成は基本、日常曲(通常)、日常曲(順調)、シリアス、悲しい、感動をベースに発注していって、スクリプトを組んでいくなかで「この流れでこういう曲がないと演出がもったいないな」と判断したものを追加で頼むことが多いです。
このあたりは、シナリオを初稿から読んで、スクリプトも自分で組んでいる人間だからこそ感じられる空気感だったりするので、かなり重要視しています。
今回はその工程をCase-1,2,3,0と4回繰り返したので、かなり鍛えられました。

さて、Case-1全体のBGMの構成が決まり、スクリプトを組み上げていくなかで
緒乃から上がってくるシナリオが段々暗くなっていき、主人公の有島が秋房の影に飲まれて堕ちていきます。
そうなってくると、この曲群では表現できない不穏な暗さが必要になってくるので、かしこくんにまた電話をかけて大至急作ってもらったのが
57:38~の「亡骸の崖」
になります。

現代音楽のような、12音全てつかった不安定さ、フリージャズまで行かないホラーぽさがあり、音楽としてぎりぎり成立するラインを狙ってもらいました。
ラプラシアンの音楽のなかでは最も不穏な一曲なので個人的にも印象的です。
遊馬の狂気が見えるシーンでも使っていますね。
これは海斗のトラウマがCase-1に大きく影響を与えていると言うことを示唆するのに大いに役立ちました。
各CaseとCase-0との楽曲のクロスオーバーが出来るのも、この作品の面白い点です。

最後はエンディングで使った、5:28~「ブルカニロ」
原曲はご存じ「キミトユメミシ」
https://www.youtube.com/watch?v=uzVMLDRYRJY

ギャルゲーらしいアレンジだった原曲に対して、
momoちゃん得意のクラムボンの延長線にあるような音質を維持しつつ、ナンバーガールのようなギターの疾走感を軸に組み上げた一曲で、メロの良さが一層際立っていますね。
しっかしmomoちゃんギター上手いな……。
momoちゃんによる魔改造と、Yukiちゃんの歌、そしてCase-1を書き終えた緒乃が凛の気持ちを歌詞に込めることで、原曲をも超えてしまったように思っています。

二日目の明日はCase-2の音楽、二作目である「ニュートンと林檎の樹」を経てさらに深まっていくケルトの世界観を語っていきたいと思います。


今日はこの辺で。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

記事を検索