CANDY VOICE 2020/10/19 20:17

【ねこぐらし。2】チンチラ猫〜序章〜

【チンチラ猫〜序章〜】


“パパとママはね、イギリスの名門大学の同級生だったんだよ?”
“そんな話、初めて聞いたよね…。”


ある日大学の授業中に、教授がクラス中に聞いた質問に対して、誰も答えられない中すっと手を上げた黒髪の女子学生。
日本からの留学生だった彼女は、優秀なクラスメートを他所に正確な英語の発音と、教科書よりもさらに深い見識で教授に回答してね、それだけじゃなく当時のパパが疑問に思っていた事も全て答えてしまったみたいで…。
パパはその時まで誰にも恋したことなかったみたいなんだけど、その姿を見て、生まれて初めて一目惚れしたみたい。笑

その後、パパは何度もママに告白したらしいんだけど、貴族のパパとは釣り合わないって何度も丁重にお断りしたんだって。今からじゃ想像も出来ないよね…。
けど、パパは何度も何度もアタックして、そんな二人は結ばれ、結婚し、私は生まれた…。
やっぱり恋愛は、押しが大事ってことかしらね。笑


“ん?”
“そうだよね…”
“本当にごめんね…。”


パパはね、大学を卒業して日本の社家出身のママと結婚したことで、さらに宗教学に目覚めて、教授になってもずっと勉強してたのは知ってるよね?
だけど、私が生まれてからは仕事とうまく両立しながら、ママと一緒に愛情深く育ててもらった…。
本当に二人共いつもニコニコしててね、私が学校で一番になると誰よりも二人は喜んでくれて、私もどんどん勉強が好きになって…。


“そう…全ては私のせいなの…。”


パパの書斎は小さい頃から私にとってはおもちゃ箱みたいな場所だから、毎日お部屋に入っては文献を読み漁っててね、私が10歳になる頃にはパパの研究している、とある「儀式」の存在にも興味を持ってしまったの。パパの手助けになればと思って、一生懸命毎日そこで研究してた…。

今思うと、幼いが故に興味の衝動を抑えられなかった私は、後先考えずにそれを誰もいない書斎で試したの。結果、パパとママが物音に気づいて部屋に入ったときには、薄れゆく身体で「心配しないで…」っていうのが精一杯だった…。


“大丈夫よ…”
“私が必ずあなたを戻してあげるから…”



〜続く〜

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