夢見る2倍マクロ

文房具撮影用マクロレンズとして長いこと使ってきたtouit 50mm F2.8の入院と入れ替わるようにしてやってきたのが、老蛙ことLaowaの65mm F2.8 2x Ultra Macroでした。

細くて長い

またの名をCF 65mm F2.8 CA-Dreamer Macro 2Xと言うそうです。何が違うのかはよくわかりませんが、夢見る2倍マクロ。その気持ちは伝わりました。

細くて長いレンズで、オートフォーカスはありません。手でリングを回して絞りダイヤルを回して良さげなところに合わせるという昔ながらのマニュアルレンズです。インナーフォーカスになっていて、リングを回しても筒がびょーんと飛び出すことはなく、マクロ撮影時にはとても楽です。回転の感触は少し重めですが、マクロレンズのピント合わせはシビアなのでこのくらいがちょうどいいでしょう。

ところで2倍って何?

今のデジタルカメラの中には昔で言うフイルムの役割を果たすセンサーというものが入っていて、カメラの世界ではセンサーのサイズと同じ大きさの被写体がすっぽり収まるのが等倍(1倍)ということになってます。センサーサイズが横1cmなら等倍(1倍)は現実の横1cmがすっぽりと収まる範囲と…。投げやりな話ですが、フイルム時代を引きずってそういうことになっているので仕方がないのです。

センサーにもいろんな大きさがあって、そこそこいいカメラの場合でざっくり言うと横36mmのフルサイズ、横23.4mmのAPS-Cサイズ、横13.2mmの1インチサイズが主流で、各社微妙にサイズが違ってたりもします。それはいいとして、同じ等倍(1倍)でもセンサーの大きさによって等倍が示すサイズがバラバラというのがめんどくさい話でね…。

めんどくさいのでマクロ写真を撮る人の中には何倍という表現を使わず、FoV(Field of view:視野、画界)として画面の中にスケールを入れてサイズを表現している人もいるくらいです。頭の中にはなつかしの曲が流れてしまうんですけどね。

https://www.youtube.com/watch?v=mCiOuqZIiPg


うちのX-T2はAPS-Cサイズで横23.6mm、今回のLaowa 65mmもAPS-C専用設計ということで、等倍(1倍)の場合はうちの机にあるシャープペンを横23.6mm…約2.4cmまで拡大して撮影することができます。ところがLaowa 65mmは等倍を超えて2倍まで拡大することができるのです。2倍ということは横11.8mm…約1cmの大きさまでガツーンと。ニコンの人にとっても名実ともにマクロレンズ(※)。小さいようでドーンと大きい2倍の世界をじっくりお楽しみいただけるのではないかと思います。

横1cmの世界をパソコンやタブレット、スマートフォンの画面で見たり、テレビやプロジェクターに写したり、思い切って大きく印刷して額に入れてみたり…それぞれ好きな鑑賞方法で楽しむのがいいと思います。自分が撮ったマクロ写真、ちゃんと印刷したことないんだよなぁ~。



ニコン的には原寸大(等倍)以上を撮影できるレンズをマクロレンズと呼び、原寸大(等倍)を超えることができないレンズをマイクロレンズと呼び明確に区別しています。Laowa 65mmは2倍まで撮影が可能なことにより、このニコン的な厳しい定義においてもマイクロレンズではなくマクロレンズに該当します。やったね。

色、解像力、ボケ味

もうこれはいろいろ言うよりも見ていただいた方がいいでしょう。シャープペン10本勝負!でも第0回の途中からずっとこのレンズで撮ってます。

「10」と書いてある写真は金属定規で、2倍で撮った後に切り抜いて拡大したものになります。等倍にしても2倍にしてもこの解像力はそうそう出せるようなものではなく、マクロ域優先設計とAPS-C専用設計が効いているのかなと思ってます。解像力としてはF4がピークで、以降は絞るほど落ちているように見えますね…。色収差はかなり少ないと言っていいでしょう。F2.8(開放)とF4では少し周辺光量落ちが気になるので、総合的に安定した描写が欲しい場合はF5.6が良さげです。

被写体から2~3m前後できれいに撮れるように調整されたポートレート用のマクロレンズとは異なり、あくまで等倍や2倍のマクロ撮影に最適化されたレンズです。遠くの景色はやや弱い印象ですが、付属のレンズフードを使うともう少し良くなるのかな…。

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