投稿記事

ファンタジーものの記事 (44)

次元の穴~11月の短編ファンタジー

~~11月は連載はいったんお休みします。短編ファンタジーをどうぞ。


           




 世界は、私たちが思っている以上に複雑にできている。


 スマホの文字が、にじんできた。
 やっぱり今日もみつからない。
 もう会えないの?
 もう2度と。

 結羽(ゆう)は、スマホを胸にぎゅっと抱いた。
 悲しみをなんとかこらえるように。

 ラインが鳴った。
「結羽、また次元の穴、探してるの?」
 美沙だ。
「あれは、都市伝説の一つだから」

「でも、もしあったら?」
「結羽、もう1年だよ。
 新しい人生を考えないと。
 会社にいい人がいるんだけど、会ってみない?」

「ごめん、むり。
 これからお風呂入るから、お休み」

 結羽は、早々にラインを切り上げた。
 美沙が心配してくれているのはわかる。

 だけど無理。
 他の男性(ひと)だなんて。
 私には、類しかいない。

 大学で初めて類に出会って、ふしぎになつかしい感じがした。
 それからつきあいだして、たまにけんかもしたけれど、一緒にいて自然でいられる関係だった。

 大学を卒業してお互いに就職して3年、25歳の終わりに婚約した。
 式場や新婚旅行をあれこれ2人で相談していた。

 お互いの両親も賛成してくれていて、友人たちにも祝福されていた。
 本当だったら今頃、結婚して一緒にいるはずだった。

 それなのに、神様は残酷だった。
 1年前突然、私から類を取り上げてしまった。

 いつものようにラインで連絡しあって、それからまたラインをした。
「やっぱり式はあんまりお金かけないで、新婚旅行で楽しもう」

 なかなか既読にならなかった。
 仕事が忙しいんだな、と思っていた。
 そして、彼の両親から電話があった。

 営業で外まわりをしている時、車にはねられ病院に運ばれる途中で亡くなったと。

 結羽の時間は、その時から止まっている。
 現実感が失われてしまった。
 見る世界のすべてに、薄いベールがかかっているようだった。

 文字どおり、死んだように過ごした。
 そして半年後、ようやく希望の小さな光をみつけたのだ。

 それは、あるSNSで広まっていた。
 次元の穴というものがあって、そこを通れば、死んだ人に会える、と。

 体験談もちらほら出ていた。
 美沙は都市伝説だと言ったけれど、結羽は伝説だろうがなんだろうがよかった。
 ほんの10分の1ミリでも希望が持てるなら、それにすがりたかった。
 そうでなければ、結羽には絶望しかなかった。

「新しい恋人を作ったほうがいい。
 まだ若いんだから。
 人生はこれからよ」

 誰もがそう言ってなぐさめようとしたけれど、結羽をかたくなにさせるだけだった。
 新しい恋人ですって?
 私にとって、類がどんなに大切な人だったかわかりもしないで。

 類と私は1体だったのに。
 他の人なんて考えられない。


 結羽はあきらめなかった。
 そして秋の終わり、結羽はようやくみつけた。
 次元の穴を教えてくれるという女性を。



*続きはフォロー(無料)をどうぞ。
全部読むには、「無意識からの言葉」プラン以上にご入会してくださいね。
11月を過ぎてもずっと見られますので、途中入会は損ということはありません。
「無意識からの言葉」プランでは、個別のカード引きや一斉遠隔気功が受けられます。
フォローのしかた、ご入会のしかた、過去月購入のしかた、入会された皆さんへ

フォロワー以上限定無料

今すぐフォローをどうぞ! ①詩・エッセイ・雑感など。 ②上位プランの進歩状況などのお知らせ。

無料

【 1000円 】プラン以上限定 支援額:1,000円

このバックナンバーを購入すると、このプランの2020/11に投稿された限定特典を閲覧できます。 バックナンバーとは?

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

雲龍の守り人(まもりびと)②襲撃~10月の短編ファンタジー

お待たせしました。
10月の短編ファンタジーです。
9月の短編ファンタジーを連載にすることにしました。
連載に当たり、主人公のみやを16歳、高校1年生の設定に変更させていただきます。

★★あらすじ みやの前に突然、雲龍だというマリュとユトゥがあらわれる。
 古来、日本人は雲龍を守ってきた。現代では見えないものは忘れさられ、雲龍たちの力が弱っていた。そこで、黒い勢力と戦うために、雲龍にはそれぞれ守り人が必要なのだという。みやは、ユトゥの守り人になることを決めた。


第2話 襲撃




 みやは、本当のところをまるで理解していなかったのかもしれない。
 雲龍の守り人になるということが、どういうことなのかを。
 どこか、ファンタジー小説やマンガのように考えていた。
 現実的なことととらえていなかった。

 そして、ユトゥの守り人になると決めてから、たった3日後のことだった。
 みやはいつものように、高校で授業を受けていた。
 英語の授業は、50代の男性教師なのだが、もごもご口の中でしゃべっている感じでよく聞き取れない。

 つい、うとうとしていた。
 その時。

 ガシャーンッ!!

 はっとした時には、みやは空に浮いていた。
 隣の席の坂井さんと市川君もいた。

「なにこれ!?」
「なんだよ、これ!」
 2人が騒ぐ。
 ユトゥが私たち3人を背に乗せていたが、坂井さんも市川君もユトゥの姿は見えないようだった。

「あっ!」
 みやは、教室を見て驚いた。
 窓の近くにあった大きな木が、倒れて窓を突き破っていた。
 窓ぎわには、市川君、そしてみや、坂井さんの順に席が並んでいた。

 ユトゥが、私たちを助けだしたのだ。

 と、急に坂井さんと市川君がユトゥの背に倒れこんだ。
「坂井さん? 市川君? しっかりして!」
 すると、ユトゥが言った。
「だいじょうぶ、気を失ってもらっただけ。
 これから、2人を教室に届ける」

 ユトゥは割れた窓からすうっと教室の中に入り、2人をカーテンのすみに寝かせた。
 ユトゥとみやの姿は見えないらしい。
 みんな大騒ぎしていて、気がつかない。

 倒れた木の先は、市川君とみや、坂井さんの席を直撃していた。
 割れたガラスの破片が、あちこちに散らばっている。
 ガラスが刺さったのだろう、血が出ている子も何人かいた。

 先生がおろおろと、
「救急車を呼んでくる」
と血の気のない声を出して、教室を飛び出していった。

 ユトゥが、何かをつぶやいた。
「~~~」
 それは、知らない言葉だった。


 ユトゥとみやは、また空の上にいた。
 みやは今になって、からだが震えてきた。
 ユトゥが助けてくれなかったら、私も市川君も坂井さんも倒れた木に直撃されていた。
 大きなガラスも刺さったに違いない。

 ガラスがささって血が出ていた子も何人かいた。
 私のせいだ。
 私がユトゥの守り人になると決めたから。
 平和な学校が、一瞬にして事故現場になってしまった。

 空は秋晴れで、いつのも空だった。
 下に見える町も、いつもの町だった。
 さっきの騒ぎが、うそのようだ。
 みやの心臓だけが、騒がしかった。

 すると、ユトゥが言った。
「中学校に行くよ」
「え?」
「しっかりつかまって」

 ユトゥは、山のほうにある中学校に向かっていた。
 どうして、中学校?
 みやは、はっとした。
 中学校に、3つ下の弟がいる。

「もしかして、太一に何かあるの!?」
 ユトゥは否定しない。
 みやの背筋が、すっと冷えた。

 そんな。
 嫌だ。太一!
「ユトゥ! 太一を助けて!」
「わかってる」
 その声は、緊迫していた。
 ユトゥは空を駆けていった。

「あれは!」
 中学校の校庭を、大きなブルドーザーが走っていた。
 生徒たちが、窓を開けて見ていた。

「あ! 太一!」
 2階の真ん中の窓から、太一が見えた。
 ブルドーザーは、ゴオオッとすごいスピードでそこに向かっていた。

「太一! 逃げて!」
 太一がみやのほうを見上げてきょろきょろした。
 姿は見えなくても、声は聞こえるようだ。

 教師も、窓からブルドーザーを見ていた。
 まさか、自分たちをねらってくるとは思いもしないだろう。

 ブルドーザーが、太一の教室の直前で止まった。
 アームを上に上げる。

「窓から離れろ!」
 ようやく教師が気がついて、近くの生徒たちを内側にひっぱる。
 他の子たちは、かたまったように動けない。
 太一も。

 アームが、太一に向かって振り下ろされる。
「太一!」


続きはフォロー(無料)をどうぞ。
全部読むには、「無意識からの言葉」プラン以上にご入会してくださいね。
10月を過ぎてもずっと見られますので、途中入会は損ということはありません。
「無意識からの言葉」プランでは、個別のカード引きや一斉遠隔気功が受けられます。
フォローのしかた、ご入会のしかた、過去月購入のしかた、入会された皆さんへ

 

フォロワー以上限定無料

今すぐフォローをどうぞ! ①詩・エッセイ・雑感など。 ②上位プランの進歩状況などのお知らせ。

無料

【 1000円 】プラン以上限定 支援額:1,000円

このバックナンバーを購入すると、このプランの2020/10に投稿された限定特典を閲覧できます。 バックナンバーとは?

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

雲龍の守り人~9月の短編ファンタジー



        


 誰かが名前を呼んでいる。
 眠いのに。
 ねっとりした沼の底にいるように眠い。
 まただ、また誰かが私の名前を呼んでいる。
 眠すぎて、まぶたが開かない。

「みや」
 しつこい。いったい誰だろう。
「みや。
 みや」

 重たいまぶたをやっとのことで開けると、白く透き通った人が空に浮かんでいた。
「え!!」

 いっぺんに目が覚めた。
「ゆ、幽霊!」
 すると、幽霊が言った。
「幽霊は、みやだよ」

「は?」
 思わずすっとんきょうな声が出た。
 何を言ってるんだろう、この幽霊は。

「何言って・・」
 すると幽霊が、下を指さした。

 私は、空に浮かんでいた。
 マンションの屋上がはるか下に見える。

「え? 何これ、どういうこと?」
 幽霊が答える。
「正確に言うと、まだ正式な幽霊じゃない。
 幽体離脱状態ってことだね」

「な、なんでそんなことに?」
「覚えてない?
 バイクにはねられたでしょ?」
「え?」

 記憶をたどる。
 ゆっくりと、記憶が戻ってくる。
 そういえば、スーパーからの帰り、突然背中に激痛が走った。
 キキーっという音。
 それから記憶がない。
 あれは、バイクにはねられたのか。

「じゃ私、死んじゃったってこと?」
「まだ確定してない」
「死にかけてるってこと?」
「そういうことだね」

 ああそうなのか。
 病気もなく健康でまだ21歳なのに、人はこんなふうに死んでしまうんだな。
 両親が悲しむだろうな。

 すると、幽霊が言った。
「助かる道はある」
「え? そうなの?」
「この子の命をみやにあげれば、みやは助かる」

「この子?」
 すると、幽霊の隣にすうっと小学生くらいの男の子が姿をあらわした。
 ぐあいが悪いのだろうか、横たわって目を閉じている。
 白い着物を着ている。
 なんだろう、どこかなつかしい気がする。

「この子の命をみやにあげれば、みやは助かる」
 幽霊はもう一度言った。

「21歳で死にたくはないだろう?」
「そうだけど。
 でも、この子はもっと若いわ。
 9歳くらい?」

「この子は人じゃない」
「人じゃない?」
「そう。雲龍だ」
「うんりゅう?」

「雲に住む龍だ。
 この子は雲龍の子どもだ。
 弱っていて、どちらにせよこのままだと危ない」
 幽霊が、みやの顔をのぞきこむように見る。

「どうだ?
 この子の命をもらって、生きながらえるか?」
 雲龍の子の命をもらえば、私はまだ生きられるの?
 この子は人じゃない。

 雲龍の子の小さな肩が、息に合わせて小さく動く。
 人じゃなくても、生きている。

「逆はあるの?」 
 みやは聞いた。
「私の命で、この子は助かるの?」
「助かる」
 幽霊が言った。

 みやは、ふうっと息をはいた。
「じゃあ、この子を助けて。
 私はここで死ぬことになっていたんでしょ?
 この子の命をうばってまで、生きようと思わない」

 そもそも、私はこの世界にそんなに執着がない。
 小さな頃から、まわりと合わなかった。
 自分がどこか異人のようにいつも感じていた。
 それは母親と合わなかったからかもしれないし、母親だけではなく性質が他のみんなと違っていたからかもしれない。

 もうずっと、この世界で深い孤独を抱えていた。
 この世界に執着はない。

 幽霊が、みやをじっと見た。
 怖いくらいに。
「本当に、それでいいんだな?」
「うん」

 すると、幽霊の姿がみるみると大きくなった。
 はっきりとあらわれた姿は、白い大きな龍だった。

「あっ!」
 雲龍の子も、白い龍の姿になっていた。

 大きな龍の顔がみやに近づいた。
 食べられる!
 目をぎゅっとつぶると、ふうっと吹き飛ばされた。

 声が聞こえてきた。
「おまえはこれから、この子を守っていくんだ。
 この子がおまえを守ってきたように」


            


 気がつくと、道路わきに倒れていた。
 大勢の人が、みやを取り囲んでいる。

「あ、目を覚ました!」
「だいじょうぶか? 救急車呼んでるからしっかりしろ」

 どこも痛くなかった。
 血も出ていない。
 私、助かってる?
 どうして?

 結局みやは救急車で病院に運ばれたものの、どこもけがをしていなかった。
「奇跡ですね」
 医者も看護師もそう言った。


続きはフォロー(無料)をどうぞ。
全部読むには、「無意識からの言葉」プラン以上にご入会してくださいね。
9月を過ぎてもずっと見られますので、途中入会は損ということはありません。
「無意識からの言葉」プランでは、個別のカード引きや一斉遠隔気功が受けられます。
フォローのしかた、ご入会のしかた、過去月購入のしかた、入会された皆さんへ
 

フォロワー以上限定無料

今すぐフォローをどうぞ! ①詩・エッセイ・雑感など。 ②上位プランの進歩状況などのお知らせ。

無料

【 1000円 】プラン以上限定 支援額:1,000円

このバックナンバーを購入すると、このプランの2020/09に投稿された限定特典を閲覧できます。 バックナンバーとは?

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

「ジグゾーパズル」~8月の短編ファンタジー

おまたせしました、8月の短編ファンタジーです。
出だし、皆さんにチラ見せです。

ジグゾーパズル




            

 美沙は、目をこすった。
 これまで一生懸命作りあげてきた現実が、まるでジグゾーパズルであったかのようにぽろぽろと崩れおちていく。

「こんなはずない」
 もう一度つぶやいた。
「こんなはずない」

 コツコツ貯めていたはずの通帳には、16,700円しか残っていなかった。
 もしやと思って確認した定期も、すべて解約されていた。

 こんなことができるのは、夫しかいない。
 一部上場企業の主任とはいえ、給料の手取りはそう高くなかった。
 美沙はまだ幼い2人の子どもたちを保育園に入れ、共働きしてきた。

 いずれ家を買うためにと、ぜいたくもしなかった。
「どうして?」
 夫はまじめだったはずだ。
 まさか、浮気? ギャンブル?

 ラインを何度も送るも、夫から返事はなかった。
 会社に電話してみると、
「木下さんは、一週間前に退職されています」

 美沙は、何がなんだからわからなかった。
 その日まんじりともせず待った夫は、帰ってこなかった。
 

           
 

 夫の実家に電話すると、夕方、姑がやってきた。
「夫の管理ができないなんて、妻失格よ!」
 来る早々、姑は美沙をなじるように言った。

 貯金を勝手におろし、退職金も持っていなくなった息子について、親なら謝ってもいいのではないだろうか。

「まさしは、だいじょうぶかしら?
 まさか自殺なんてことはないでしょうね」
「自殺する人間が、お金を持ち逃げしない」
 そう言うと、姑がかっと目を見開いた。

「なによ、その言い方は!
 夫の心配もせずにお金のことが心配なの?
 なんてお金に汚いのよ!」

 お金に汚いのは、お金を持ち逃げしたあなたの息子でしょう、
と言いたかったが、美沙は言わなかった。
 隣の部屋にいる子どもたちは、ただでさえ不穏な様子におびえている。

 姑は、息子を心配したり美沙をののしったりと忙しかった。
 息子に何度も電話をしては、
「なんで私の電話にもでないのよ。
 警察に言ったほうがいいのかしら」

「警察に電話しましょうか?」
 美沙がそう言うと、
 姑はしばらく考えて、
「まだ早いわ」

 この人は、ずっとこうだった。
 美沙をののしりながらも、息子がお金を持ち出したことが問題になるのではないかと考えているのだ。

 結婚前から、姑は美沙のことが気にいらなかった。
「まさしは大卒なのに。
 何もわざわざ短大卒じゃなくても」
 一流大学卒でもなかったけれど、大卒ということに重きをおいていた。

 わかっていたことだけれど、美沙は目をつぶったのだ。
 完璧な結婚なんてないわ。
 同居じゃないんだし、まさしさんはいい人だし、私は幸せだわ。

 けれど実際は、別居であっても姑はあれこれ口を出してきた。
 まさしはそれに、いつまでも影響され続けた。

 共働きなんだから家事や育児を手伝ってほしいとお願いしても、
「おふくろが、そんなのみっともないって言ってる。
 家事、育児をやれないなら、仕事なんかするなって」

「何言っているの?
 あなた1人のお給料じゃ、家を買うことができないわよ」

 そんな時まさしは、
「悪かったな、少ない給料で」
と機嫌を悪くした。

 美沙はそれを、見ないようにしてきた。
「ちゃんと働いてくれているから」と。
「まじめだから」と。

 確かにまさしは、まじめに働いてくれていた。
 けれど今、まじめに働いて貯めたお金をすべて持ち逃げしていた。
 美沙が働いた分も。


            
 


 とにかく美沙は、働かなければならなかった。
 夫はお金を持って行ったのだ、帰ってこないと考えていいだろう。
 とすれば、もっと稼ぐか家賃の安いところへ移るしかない。
 引っ越し代もいる。

 舅に、お金を請求しようか。
 きっと姑が文句を言ってくるだろう。
 
 働き終わってため息をつきながら保育園に向かっていると、歩道のわきに段ボールがあった。
『黒猫屋、閉店しました。
 よかったら、お持ちください』

 段ボールの中には、ジグゾーパズルがいくつか入っていた。
「へえ」

 タダだったらもらって、気晴らしにジグゾーパズルでもやろうか。
 1つを手にとって見ると、
「あ!」
 どういうことだろう。
 完成画像は、美沙とまさしと子どもたちだった。

「驚いた?」
 振り返ると、髪の長い黒いワンピースを着たきれいな女性が立っていた。


続きはフォロー(無料)をどうぞ。
全部読むには、「無意識からの言葉」プラン以上にご入会してくださいね。
8月を過ぎてもずっと見られますので、途中入会は損ということはありません。
フォローのしかた、ご入会のしかた、過去月購入のしかた、入会された皆さんへ
 

フォロワー以上限定無料

今すぐフォローをどうぞ! ①詩・エッセイ・雑感など。 ②上位プランの進歩状況などのお知らせ。

無料

【 1000円 】プラン以上限定 支援額:1,000円

このバックナンバーを購入すると、このプランの2020/08に投稿された限定特典を閲覧できます。 バックナンバーとは?

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

たくさんの私がいる~短編ファンタジー7月

         





「亜紀ちゃん、今、実家にいるの?」
 夜、夕飯を食べようとすると、従姉妹の夏美からライン電話があった。
 従姉妹の声を聴くのは、3,4年ぶりだ。

「ううん、東京だよ」
 実家には、1年くらい帰っていない。
「え、ほんと?
 亜紀ちゃんそっくりな人、今日見たよ。
 バスが止まってる時でね、そうだ、写メしたのよ。
 ラインで送るね」

 送られてきた写真を見て、亜紀は目をしばたたいた。
「私だ」
「やっぱり」
「あ、違う違う、私じゃないよ。
 でも、私そっくり」
「でしょ?
 ほんとに亜紀ちゃんじゃないの?」

 夏美はまだ疑っている。
 それもそうだ、これだけうり二つなのだから。

「違うよ。
 東京にいた」
「へえ。
 世界にそっくりな人は3人いるって言うけど、こんなそっくりな人いるんだね」

 その後お互いに近況を言い合って、電話を切った。
 夏美がDVの夫に苦労していることは母親から聞いていたが、お互いそんなことは一言も言わなかった。


 夏美は子どもの頃、かなりわがままだった。
 亜紀はそのわがままに、嫌な思いもしたものだった。
 それが大人になると、夏美はすっかり良い人になっていた。
 良い人になりすぎて、DVの人に見初められてしまったのだろう。

 結婚したからと言って、幸せになれるわけじゃない。
 けれど、独身女性は東京でもまだまだ肩身がせまい。
 ついこの前までちやほやされていたのに、33歳の亜紀はもうお局扱いだ。

 田舎に行けばなおさらのことで、何か言われるのが嫌で、夏休みにもお正月にも帰らなかった。
 今度の夏休みも、友だちと旅行に行く予定だった。

「いただきます」
 冷めてしまった夕飯を、亜紀は一人食べ始めた。
 水気のとんだおかゆは、おいしくなかった。


 そっくりさんのことは、仕事の忙しさのなかで忘れていくはずだった。
 ところが次の日、今度は中学時代の友人からラインがあった。
「今日、T市にいた?」
 そして、写真が送られてきた。

 なにこれ。
 どういうこと?

 写真は、亜紀そのものだった。
 けれど、亜紀じゃない。

 亜紀は、ラインを返した。
「私じゃないよ」
 
 亜紀は、首をかしげた。
 実家とT市は離れている。
 そっくりさんは、2人いるのだろうか。
 それとも、そっくりさんが移動しているのだろうか。
 同じ県内だから、移動していても不思議ではないが。
 

 そしてその次の日、今度は高校時代の友人からラインがあった。
 
「今日、W市にいた?」

 どういうこと?
 亜紀は、背筋が冷たくなった。

 実家とT市は同じ県内だからいい。
 けれど、W市は違う県だ。
 同じ人が移動しているとは考えづらい。
 そもそも私そっくりな人が、こうも私の知り合いに立て続けに目撃されるって、どういうことなんだろう?

 このことを友人にラインで送ると、
「なにそれ、気持ち悪い」
 少し相手をしてくれたが、
「子どもを寝かしつけないといけないから、またね」

 その夜、亜紀はなかなか寝つけなかった。
 身体のふしぶしが痛かった。


 そして、亜紀のそっくりさんが知り合いに目撃される状況は、6日間続いた。


 続きはフォロワーさん限定記事へ、フォローは無料です↓
 全部読むには、「無意識からの言葉」プラン以上にご入会をどうぞ。
フォローのしかた、ご入会のしかた、過去月購入のしかた、入会された皆さんへ
 

フォロワー以上限定無料

今すぐフォローをどうぞ! ①詩・エッセイ・雑感など。 ②上位プランの進歩状況などのお知らせ。

無料

【 1000円 】プラン以上限定 支援額:1,000円

このバックナンバーを購入すると、このプランの2020/07に投稿された限定特典を閲覧できます。 バックナンバーとは?

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

3 4 5 6 7 8 9

月別アーカイブ

記事を検索