雲龍の守り人(まもりびと)②襲撃~10月の短編ファンタジー

お待たせしました。
10月の短編ファンタジーです。
9月の短編ファンタジーを連載にすることにしました。
連載に当たり、主人公のみやを16歳、高校1年生の設定に変更させていただきます。

★★あらすじ みやの前に突然、雲龍だというマリュとユトゥがあらわれる。
 古来、日本人は雲龍を守ってきた。現代では見えないものは忘れさられ、雲龍たちの力が弱っていた。そこで、黒い勢力と戦うために、雲龍にはそれぞれ守り人が必要なのだという。みやは、ユトゥの守り人になることを決めた。


第2話 襲撃




 みやは、本当のところをまるで理解していなかったのかもしれない。
 雲龍の守り人になるということが、どういうことなのかを。
 どこか、ファンタジー小説やマンガのように考えていた。
 現実的なことととらえていなかった。

 そして、ユトゥの守り人になると決めてから、たった3日後のことだった。
 みやはいつものように、高校で授業を受けていた。
 英語の授業は、50代の男性教師なのだが、もごもご口の中でしゃべっている感じでよく聞き取れない。

 つい、うとうとしていた。
 その時。

 ガシャーンッ!!

 はっとした時には、みやは空に浮いていた。
 隣の席の坂井さんと市川君もいた。

「なにこれ!?」
「なんだよ、これ!」
 2人が騒ぐ。
 ユトゥが私たち3人を背に乗せていたが、坂井さんも市川君もユトゥの姿は見えないようだった。

「あっ!」
 みやは、教室を見て驚いた。
 窓の近くにあった大きな木が、倒れて窓を突き破っていた。
 窓ぎわには、市川君、そしてみや、坂井さんの順に席が並んでいた。

 ユトゥが、私たちを助けだしたのだ。

 と、急に坂井さんと市川君がユトゥの背に倒れこんだ。
「坂井さん? 市川君? しっかりして!」
 すると、ユトゥが言った。
「だいじょうぶ、気を失ってもらっただけ。
 これから、2人を教室に届ける」

 ユトゥは割れた窓からすうっと教室の中に入り、2人をカーテンのすみに寝かせた。
 ユトゥとみやの姿は見えないらしい。
 みんな大騒ぎしていて、気がつかない。

 倒れた木の先は、市川君とみや、坂井さんの席を直撃していた。
 割れたガラスの破片が、あちこちに散らばっている。
 ガラスが刺さったのだろう、血が出ている子も何人かいた。

 先生がおろおろと、
「救急車を呼んでくる」
と血の気のない声を出して、教室を飛び出していった。

 ユトゥが、何かをつぶやいた。
「~~~」
 それは、知らない言葉だった。


 ユトゥとみやは、また空の上にいた。
 みやは今になって、からだが震えてきた。
 ユトゥが助けてくれなかったら、私も市川君も坂井さんも倒れた木に直撃されていた。
 大きなガラスも刺さったに違いない。

 ガラスがささって血が出ていた子も何人かいた。
 私のせいだ。
 私がユトゥの守り人になると決めたから。
 平和な学校が、一瞬にして事故現場になってしまった。

 空は秋晴れで、いつのも空だった。
 下に見える町も、いつもの町だった。
 さっきの騒ぎが、うそのようだ。
 みやの心臓だけが、騒がしかった。

 すると、ユトゥが言った。
「中学校に行くよ」
「え?」
「しっかりつかまって」

 ユトゥは、山のほうにある中学校に向かっていた。
 どうして、中学校?
 みやは、はっとした。
 中学校に、3つ下の弟がいる。

「もしかして、太一に何かあるの!?」
 ユトゥは否定しない。
 みやの背筋が、すっと冷えた。

 そんな。
 嫌だ。太一!
「ユトゥ! 太一を助けて!」
「わかってる」
 その声は、緊迫していた。
 ユトゥは空を駆けていった。

「あれは!」
 中学校の校庭を、大きなブルドーザーが走っていた。
 生徒たちが、窓を開けて見ていた。

「あ! 太一!」
 2階の真ん中の窓から、太一が見えた。
 ブルドーザーは、ゴオオッとすごいスピードでそこに向かっていた。

「太一! 逃げて!」
 太一がみやのほうを見上げてきょろきょろした。
 姿は見えなくても、声は聞こえるようだ。

 教師も、窓からブルドーザーを見ていた。
 まさか、自分たちをねらってくるとは思いもしないだろう。

 ブルドーザーが、太一の教室の直前で止まった。
 アームを上に上げる。

「窓から離れろ!」
 ようやく教師が気がついて、近くの生徒たちを内側にひっぱる。
 他の子たちは、かたまったように動けない。
 太一も。

 アームが、太一に向かって振り下ろされる。
「太一!」


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