「時の交差点」~短編ファンタジー

お待たせしました。
短編ファンタジーです。
皆さんにチラ見せです。
今回もちょっと哲学的ファンタジー。


時の交差点






            


 私たちは、ここにある時間は、「今」しか存在しないと思っている。
 そんなことはない。
 過去も未来も、同時に存在している。


 私が生まれ育ったところは、標高1000メートルを超える自然豊かな観光地だった。
 というより、山の9合目に街があるようなもので、家の庭から山に登ることができた。

 遊ぶところなどは、校庭くらいしかない。
 私が子どもの頃は、コンビニもなかった。
 私は退屈した時に、庭から山を軽く登ることが好きだった。


 なぜって、私はそこに不思議な場所をみつけていたから。
 笹をかき分けて6,7分も登ったところに、空気が陽炎のようにゆらめく場所があった。

 大木の横。
 いつみつけたのか覚えていない。
 幼稚園の頃にはもうみつけていた。

 それは、私だけの秘密の場所だった。
 家の庭から6,7分登っただけのところなのに、両親も弟も気がついていなかった。


 秘密の場所に近づくと、体中の皮膚がちりちりとした。
 痛いとまではいかないけれど、まるで氷をあてられているような冷たいようなちりちりとする感じがした。

 怖くはなかった。
 その陽炎のようなゆらめきは、魅力的だった。

 そして、そのゆらめきの中に一歩踏みいれたあとの世界に、私は魅了されていた。


            


 スーパーに買い物に出かけると、日傘をさしていても暑かった。
 汗が目に入った。
「いたっ」
 あわててタオルで目をぬぐう。

 目を開けると、駐輪場の前の道路にあの子がいた。
 何かを探しているように、きょろきょろしている。

 私を見た。
 じっと顔をみつめてくる。
 ゆっくりとやってきて、
「お姉ちゃん?」 
 簡素なTシャツにズボンのあの子は、今日は小学3年生くらいだ。

「おなかすいてる?」
 聞いてみた。
「うん」
「じゃ、オムライス食べる?」
「食べる!」


 
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