松(matsu358-books) 2026/06/21 21:30

体調が良くなる補聴器 ¥150

    体調が良くなる補聴器

          聞こえなかったのは
          音じゃなく心だった 
           ― ― ―
           褒められると
        その上を目指したくなる
           ― ― ―
        上を目指して見えた世界は…


 「さぁ、いらっしゃい」
今日も、お客さんが賑わっている。
僕は、補聴器屋の猿。
名前はライフ。
森に住む猿たちの心は繊細だ。

小さな言葉も、
刃物に聞こえて 自分を責め、自信喪失になる。
そんな猿たちが訪れるのが 補聴器屋だ。

なぜかって、
刃物のように聞こえた言葉を 
変換する補聴器なんだ。

優しく聴こえるように、
足りないものを補う器具だ。

ちゃんと、患者に合わせて、 
カウンセリングも行なう。 


例えば、
怒鳴り声に怯える猿には、 
その声は、さざ波のように変換される。

「早くしろ」といつも言われて 
自分のペースを見失ってしまう猿には 
「自分のペースで準備すればいいんだよ」
と優しい声に変換される。

「こんなこともできないのか!」 
という声に怯える猿には 
「これから覚えればいい、  
時間はまだまだあるんだから」
と優しい声に変換される。

だから、
この補聴器をつけた猿たちは 
みんな穏やかに過ごせるようになるんだ。

ある日、
不思議なお客さんが来た。
猿をいじめるのが楽しいのに 
何を言っても、
優しい表情をしてくるので 
つまらないそうだ。

今までにないカウンセリングで 
戸惑った僕は、
少し考えたあと、
補聴器を差し出した。

こちらの補聴器は相手の声が、 
「悲しい、困った、そんなにいじめないで…」
と聴こえる補聴器だ。
そのお客さんは、満足そうな顔で帰った。

そして次のお客さんは 
教師なのに、生徒の質問に 
緊張して、答えられないんだ。
家に帰れば、なんてことない質問なのに。

だから、生徒には、 
おバカ先生と呼ばれているそうだ。
自信を失くして、下ばかり見ている様子だ。

このお客には、特別に 
メガネと補聴器を勧めたんだ。
メガネをかけると、 
リラックスした自分の部屋が見えるんだ。
質問をされた時にかけるメガネだ。

補聴器は、リラックスBGMが流れ続けている。
その先生は、不信な様子だったけど 
購入して、帰って行った。

すると翌日、嬉しそうな表情で、
店に現れた。
生徒の質問に、
リラックスして、答えられたんだ。
そう言って、
僕の手を両手で包んで 
「ありがとう」と言って帰って行った。

僕は、感謝されるこの仕事が楽しくなって来て 
特上の補聴器を開発してみたんだ。

いつもは、心を平穏にする補聴器。
これは…

   この先、ライフは「さらに上」を目指し、
   人の心を動かす【特上の補聴器】を開発します。

   しかし、それがきっかけで、
   ライフ自身も想像しなかった「思わぬ展開」と、
   森の猿たちの「ある大事件」が待ち受けていました――。

   そしてライフが出した、究極な決断とは…

   ここから先は、
   有料(150円)の読切ストーリーになります。
   ライフと森の猿たちが迎える結末を、
   ぜひ見届けてください。

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