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2023年 11月の記事 (4)

活動報告|2024年1月 第十七回ナナクリCREATORs!!

活動報告|2024年1月 第十七回ナナクリCREATORs!!

どうも、あなたが私のマスター、ルナトリアです。

という事で今回は連続してのCREATORs!!
お相手は音響でBGM制作をして頂いているナタデココ様です!
ナタデココ様は音楽配布もされてますので、是非お聞きください!!

ナタデココ Twitter
以下、インタビュー(記者はルナ)


「チャンスだ!」


ナタデココː
はじめまして、音響を担当していますバシンダンです、皆様宜しくお願い致します。

――宜しくお願い致します。
早速ですが、本サークルに参加された理由を教えてください。

ナタデココː
募集してるところをみつけ、自身の目標に近付くためや実績を重ねるチャンスだ!と思いました。

――有難う御座います。いい実績になる様、我々も頑張って参ります!



「ゲームの音楽等が大好きで」

――音楽を始めたきっかけなどはありますでしょうか?

ナタデココː
元々物事を考えたり作ることが、特にゲームの音楽等が大好きで、感銘を受けたり
いつかは、こんな感じの曲やBGMが作れたらなと思ったのがきっかけです。
その中でBGM制作に携われたり音源を使ってもらえたらなと。

――本作を盛り上げさせて頂きます!**


「達成感」

――制作して居る中で感じること等はあるんでしょうか?

ナタデココː
達成感や生き甲斐等を感じてます

――創作の醍醐味ですね!


「趣味とは違うな」

――ゲーム制作という状況で感じることはどうでしょうか?

ナタデココː
纏めると、とにかく多くの要望やイメージに合わせるのがとても難しかった。
と言うのが感じる所です。

終始ずっと難しい難しいと言っていた気がしますし、通ったのもあれば、妥協しあってて何とかというもの、やや技量不足を感じる部分もありました。

――リテイクに何度も答えて頂き有難う御座います!
私は妥協をしなかったので、その分苦労をおかけしました......

ナタデココː
ですが、言い換えればそれだけ、このゲームの制作に熱意もあるんだろうなというのはあったし
やはり趣味やいつも通り作るのと、お金をもらって作るのじゃだいぶ違うのかもなと感じました。

――熱意が多少なりとも伝わった様で嬉しい限りです!


「誰かに聴いてもらう[作品]」

――最後に今後の展望などありましたらお聞かせください。

ナタデココː
自身の活動域や制作幅を拡張し、BGM制作や音源配布などを続けて、いつかは自身の音源配布サイトを作ったりもしたいです。

そして、これからも誰かに聴いてもらう[作品]と誰かに使ってもらう[音源]を目指して制作していきたいところです。

――ありがとうございました。


あとがき

と言う事で今回はナタデココ様から色々なお話をお伺いできました。
創作の原点や、その苦悩などクリエイターならではのお話はどうでしょうか?期待に答えられると良いのですが。

今後も期待して頂ければと思います。
今月の活動報告/ナナクリCREATERs‼はここまでです。
それでは、ドロン!

[記事制作:ルナ] [編集:アベレイジ][協力:ナタデココ]

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活動報告|2023年12月 第十六回ナナクリCREATORs!!

活動報告|2024年1月 第十六回ナナクリCREATORs!!

前回は、音響さんのお話しを公開していきましたが、楽しんで頂けたでしょうか?
そんな訳で今回もナナクリCREATORs!!
お相手はロゴデザインをして頂いたBoo様です。
今月日に「君が溶ける温度」のロゴをリニューアルしましたが、そちらのロゴについてもお話をしていきます。

是非ご覧ください!

Boo様 サイト
以下、インタビュー(記者はルナ)

まずはリニューアルロゴの公開!

コンセプトは「哀愁」


廃れた田舎。内に思いを秘めた少女達。

氷は心の閉ざしと、人の温かさで内に秘めたものが溶け出していくイメージで制作して頂きました。
個人的にはこれ以上ないデザイとモチーフに仕上がったかと思います。


「引き出しが増えていく」

Booː
はじめまして、今回タイトルロゴの担当をさせて頂きました。
Booです。皆さん、よろしくお願い致します。

――宜しくお願い致します。
早速ですが、本件ロゴデザインの感想、や意識した点などはどうでしたか?

Booː
引き受けた感想を一言に纏めるなら「やりがい」を感じました。
基本的に同人誌やvtuberなどのロゴデザインを担当することが多いので、ノベルゲームのロゴデザイは新しい引き出しが増えていく感じで、楽しく取り組むことができました。

Booː
その中で意識した所や感じた所もあり、特に提示されたコンセプトの「哀愁」を感じさせるようにトーンなどを統一させるように努めました。

――哀愁という表現が難しいコンセプトを確かに感じられる素敵なデザインをありがとうございます!


「バランスを取ること」

――難航した点や、逆に上手くいった点などはあったりするのでしょうか?

Booː
難航した点は、氷と桜の組み合わせバランスを取ることでした。
氷は物語の場面を繊細に表現し、同時に大きい桜が中央に配置されていることが難しく
桜のタッチが変わると、氷も変わるので試行錯誤しました。

Booː
逆に上手くいった点は、コンセプトを忠実にデザインで表現し、要望に合致する仕上がりになりました。

――氷の中にある桜という中々見ないモチーフも想像以上でした


「人生の一部」

――デザイを始めたきっかけなどもお聞きしたいです!

Booː
恥ずかしながら答えるかどうか迷いましたが、一言で言うと「自信」が欲しくて始めました。
私は会社を辞めてからは、自分に自信が持てず逃げていました。
そんな中、少しデザインを学んでいた事もあり、依頼をしてくれる方達がいて
こんな私でも制作していいんだと思い、デザイン業を始めました。
今では私の指標となり自信を持って、磨き上げていきたい!
そんな大切な人生の一部になりました。

――自信をつける為だったのが”自信”へと変化していったんですね


「形にしてくれる事」

――デザインで意識してる事や魅力などはあるのでしょうか?

Booː
デザインをする際に意識している点は「引き算」を意識しています。
私は盛り癖があって、制作中は自分の出来るスキルを試したくなるので出来上がった際は装飾で溢れて、肝心な部分が見えないようになります。
なので完成した後は、どこか引ける所は無いか、省略出来るかを検討しています。

Booː
魅力に関しては「デザインを始めたきっかけ」と同じ回答になりますが
何か自身に足りない物や分からない物を、形にしてくれる事が魅了なのかと思います。

――引き算はデザインを引き締めてくれる魔法ですね!


あとがき

と言う事で今回はBoo様からデザインに関するお話をお伺いしてきました。
創作の原点や、作る際の癖などクリエイターならではのお話はどうでしょうか? 

今後も期待して頂ければと思います。
今月の活動報告/ナナクリCREATERs‼はここまでです。
あでぃおすぐらっしゃ~

[記事制作:ルナ] [編集:アベレイジ][協力:Boo]

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活動報告|2023年11月 第十四回ナナクリCREATORs!!

活動報告|2023年11月 第十四回ナナクリCREATORs!!

ドーモ、ドクシャの皆=サン。ルナスレイヤーです。
今月もまたた、ナナクリCREATORs!!

今回は同人ゲームに興味がある方なら知っている方かもしれません。
みやこそふと代表のYoujyo様になります!!

実際彼は休学して「電子カルテと木曜日」を完成させた方です。
同ゲームではメインシナリオライターとして筆を握られた方にもなります。

そんなYoujyo様のお話や裏話を是非ご覧下さい!

Youjyo様   Twitter
みやこそふと  Twitter


「将来的に編集やディレクターの仕事を」


Youjyoː
みやこそふと代表兼ディレクター兼シナリオライター兼広報担当
京大美少女ゲーム同好会 会長のYoujyoと申します(長い)
本日はよろしくお願いします!

――宜しくお願い致します。
ナナクリでは僕のシナリオ補佐・広報・雑務にて関わって頂いております。
では、早速ですが、本サークルに参加された理由を教えてください。

Youjyoː
ルナさんが大変そうで助けになりたいと思ったから、が一番の理由です。
ゲーム制作の苦労は知っていますし。

――同じディスコード鯖にいたので、しつこく声をかけた甲斐がありました。
ありがとうございます。

Youjyoː
勿論他にも理由があり、プロット段階で自分が監修していない作品の校閲をして経験を積みたいという意図もあります。

自分の思い通りにできない環境で、作品をより良くしていくという挑戦をしたかったんです。
というのも将来的に編集やディレクターの仕事をしてみたいという漠然とした希望もあったりもします。


「ノリで作ったサークル」

――ゲームを一作完成させられてますが、創作のきっかけなどはあるのでしょうか?

Youjyoː
「電子カルテと木曜日」の企画段階で、シナリオライターがネタを思いつかないということで、自分でプロットを考えたのが創作を始めたきっかけです。
元々は創作経験もなく、チームリーダー(外向きの代表)になる予定が、なんやかんやでディレクターとメインシナリオライターも兼任することになってしまいました。

――あるあるですね、お疲れ様です.....
同人経験もいきなりだったのでしょうか?

Youjyoː
同人活動は京大美少女ゲーム同好会(以下 京美同)で始めました。
同い年(現4回生)の京大生ノベルゲーマーのノリで作ったサークルです。

発足直後の対面例会で発案者から会長職を譲り受け、会誌制作を始めましたが、
まさかこんなに大規模になるとは思いませんでした......。

――そこからゲームを作る事になるとは

Youjyoː
そうですね。
色々と急展開ですが、京美同内で同人ゲームを作りたい!という声があり、発足3か月後(2022年5月)にみやこそふとを設立しました。
ノベルゲームという媒体なのは、母体の京美同が美少女ゲームサークルだったからです。(ぶっちゃけると、アクションゲームは技術的に難しいというのも......)


「創作をやめられなくなりますね」

――創作に対して思う事などはあるのでしょうか?

Youjyoː
シナリオを書いていて一番思うのは、鬱展開を書くのが辛いということです(笑)
過去のトラウマを掘り返しながら書くので、自分に一番効くし、苦しいし、眠れなくなります……(でも書いてしまうんですよね)

Youjyoː
私は万人受けするシナリオを書けるわけではありませんが、偶然私の文章が刺さった読者から長文感想をもらってしまうと、創作をやめられなくなりますね。


――そんな中、電カル完成した感想をお願いします!


Youjyoː
「電子カルテと木曜日」は、他のみやこそふとメンバーと応援してくださった方々の力なしには完成しなかったと思うので、まずは感謝を伝えたいです!

制作の感想ですが 「大変でした!!」 これに尽きます。


「創作を通した真理の探究」

――創作の際に意識している事などはあるのでしょうか?

Youjyoː私は伝えたいテーマありきで題材とストーリーを考え、ストーリーありきでキャラ設定を考えるようにしています。
根幹のテーマですが、人間や世界の本質を描きつつ、読者に問いを投げかけるものであってほしいです。
その問いに私自身で答え、更なる問いを繰り返すことで、創作を通した真理の探究が可能になると考えています。

――私も同じタイプです!やっぱテーマ性を大事にしたい

Youjyoːプロットは結末から組んでます。
(「電カル」はコンピュータに話しかける少女の夢を見たところから構想しました)
あとは、一文一文が美しくなるように漢語と和語・外来語を混ぜ音の響きを調整していますね。
例えば実際に口に出してみたりです。


英語版を出したいなぁ~と

――今後の展望などありましたら

Youjyoː
「電子カルテと木曜日」を翻訳して英語版を出したいなぁ~と。
"海外展開して儲けたい!"というよりは"海外の友達(特定個人)にプレイしてほしい!"というのがモチベーションです。
あと当然ですが、みやこそふと次回作(2作目)のクオリティを1作目より高めたいと思います。
私Youjyoがシナリオにどの程度関与するかは未定ですが……

明るい魔法少女モノ

――最後になりますが、宣伝などをお願いします!

Youjyoː宣伝する場をいただけたので遠慮なく……(笑)

みやこそふとデビュー作「電子カルテと木曜日」は、近未来の病院を舞台にした全年齢対象のビジュアルノベルです。
「絶対に出られない病院」から退院することを目指す少年と少女。
二人の結末はいかに――というお話です。

詳しくは公式サイトをご覧ください。
現在ダウンロード版をBOOTHショップで、パッケージ版をコミックマーケット等のイベントとBOOTHショップ(イベント後の期間のみ)で取り扱っています。

Twitterや批評空間で作品の感想を書いていただけると、大変励みになります!
また、次回作は「数学×魔法少女」と銘打って、明るい魔法少女モノをやる予定ですので、こちらもよろしくお願いします。
https://twitter.com/MiyakoSoft/status/1723309813046956393?t=V0jpdmtZM_9PI6Ei9ONgWg&s=19

トークイベント


12月28日22時~X(旧Twitter)のスペースにて、
同人ノベルゲーム制作者たちが集まり、制作の裏話やここでしか聞けない話をしたいと思います。
題してGame Circles Talk #GC談です!

参加サークル様はなんと20サークル様、23名の登壇になります!!
フリートーク形式で行い、マイクも基本全部許可しますので、是非遊びに来てください。
以下サイト内にチャット欄もありますので、一緒に楽しみましょう!!

参加者様は下記からご確認頂けます!
特設サイト

あとがき

という事で今回はYoujyo様から、同人サークル代表・シナリオライターの立場から色々なお話を頂きました。

これまで、イラストレータ様や、音響様、プログラム様など色々の記事を公開してきましたが、皆様如何でしたでしょうか?
形は違えど、クリエイターとして通ずるものもあったかと思います。


今後も「君が溶ける温度」並びに「みやこそふと」にもご期待ください!
ハイクもこのくらいに、サヨナラ!!

[記事制作:ルナ] [編集:アベレイジ][協力:Youjyo]

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活動報告|2023年10月 前日譚『ストロビレーション』

活動報告|2023年10月

今月も[前回]の続き、完全新規書き下ろしの前日譚となります!

今回で、詩織はとうとう澄園町へと。
彼女には澄園町がどう映るのか。再開発か、現状維持か。
そして、メインキャラと交差し始める。

それでは、是非ご一読下さい!!

ナナシクリエイティブTwitter
君が溶ける温度ホームページ



君が溶ける温度 前日譚『ストロビーション』

自然、のどか、田畑。

この町をPRをするならそう打ち出す。と言うよりも他にないと言った方がいいだろう。

澄園家に来てまだ数日と経たない私でもそう感じる。

それは一見すると負の面の様に感じるかも知れないし、人によってはまたその逆に感じるかも知れない。発展するにつれて利便性と共にそれら田舎の特徴はすべからく排他されるのだから言い方次第、というよりも極端な言い方しかできない。

けれども、今の雑多で煩雑な世の中ではその不便性に根付く『田舎』と言うキーワードに心の平穏や余生を求めて移住するのも最近の流行りになろうとしているし、そういった運動も最近では活発だ。

実際に私もそうなのだから、需要があるのは間違いない。
もっとも時計を早回しする様に、そんな需要からこの町は段々と離別をしようとこの新棚学園が語っている。

そんな事を何語で語ろうと目の前の知人には話は通じず、何知らぬ顔でまるで何も考えてないように気持ち良さげにその、マシュマロの様に柔らかいお腹を太陽へと差し出している。
その毛むくじゃらな三色のお腹をもふもふ撫で回すのが二人の挨拶となっていた。
最近になって出来た知人。猫なのだから人ではないのだけれど、知人猫と言うべきか。
人とも猫ともついていて何だか矛盾しているが、その語呂の良さに一人勝手に納得する。

三毛猫もとい知人猫は退屈したのかゆっくりと立ち上がると、足元へとすり寄ってくる。
マーキングだ。私はいつの間にか三毛猫のテリトリーも一部になっていた。
洗剤やシャンプーのほんのり甘い香りを満足に上書き出来たのか、納得をした顔でポムポムと柔らかい音がしそうな可愛らしい肉球を校門の外へと向けて体を揺す。途中何か忘れ物を思い出したかの如くふと立ち止まると尻尾をメトロノームの様にしながらこちらを振り向いてニャーと何事かを伝えてくる。
何を言っているのかは分からないが、その鳴き声を無下にするほどの忙しさは持ち合わせてはいない。まだ荷解きを終え切っていない中途半端に開けたダンボール達が俺たちを忘れるなと面倒くさい事この上ない自己主張をしてくるが、猫の気まぐれの前では粗末な事でしかない。
校門の前で一人の男子生徒らしき人物とすれ違うが、その疲れ切った表情すら我感ぜずと無遠慮に彼を横切る。彼もそんな猫に無関心にすれ違うが、さり気なく道を譲ってくれる。根はいい人なのだろう。
当たり前に世界の中心にいて、何の疑問も頂かずに体を揺らす可愛らしい姿にひっそりと羨ましい気持が沸く。そんな気持ちを隠しつつ、知人猫の分も勝手に預かり彼に会釈を返す。

水渡
「......」

詩織
「......」

校門を出ると、まるで小学生が横断歩道を渡る様にきょろきょろと左右に首を振り、やがて今日の散歩コースを決めたのかクリームパンの様なモチモチした手足を動かし始める。
目的地など私は知らないが、その道すがらにあるのは代わり映えのしない何を育ててるのかも判らぬ田園。その澄んだ水路の水底に映る自分の顔に誰だこいつと友達と戯れる様にちょっかいを出すと波紋が広がる。
すると、ゴロンと横になって草花の匂いを確認したり、遊んだりと気持ち良さそうだった。
微笑ましかった。何だか温かい気持ちになる。
小刻みに上下するそのお腹を撫でようと手を伸ばすが、やめろと言わんばかりやんわりと私の手に肉球を乗せ、くりくりとした目を向けてくる。
目線を逸らすとこの町には歪な真新しい建造物が目に入る。学園周辺の立地を覚えておきたかったがこれなら何処でも目印として非常に役立つ。
ニャーと声を掛けてみるとニャーと、町が変わっていく事も将来も微塵も想像していないであろう炭酸が抜けていくみたいに喉を震わせて何処かへ向けて体を揺らし始める。
疎らに咲く桜。蝶が舞う黄色いタンポポ。錆びついたポスト。廃れた公衆電話。

きっとプロが撮ったら絵になるだろう光景。
きっと色んな想いがそこにはあったのだろう光景。
因果交流の光景。

鬱陶しくもある山道とも獣道とも呼べる先の廃れた神社。狙いを定めてぴょんと縁側に飛び乗ると、席が決まっているみたいに尻尾を巻いて毛繕いを始める。
お前はこっちに来ないのかと当たり前の疑問みたいに、夕日に照らされた前足をペロペロと舐めながらこちらを見上げてくるもので、何だか申し訳ない気さえしてくる。
隣で毛繕いをしながら欠伸をしているのが分かった。短くひりだしたニャとも言えぬ声がしたからだ。それにつられて雲が流れていくみたいなほんのりとした眠気が襲ってくる。

縁側から澄園町を眺める。
澄んだ空に流れる夕雲。田園に反射するオレンジ。少し涼しいぐらいの風。
この町にきて良かったと思う。純粋に気持ち良かったからだ。何が、と言われれば直ぐには答えられないけれど、とにかく気持ち良い。タンポポなんて久しぶりに見たし。
少し珍しかった。いや、実家でも咲いていたのだろうけれど、こうして幼子の様に見たのはいつぶりだろうか。

やがて毛繕いに満足したのか、伸びをすると青いスカートが四色に彩られるのも知らないみたいにピンと伸びた尻尾と共に無遠慮に登ってくる。
体制を決めると丸まって涼しげな表情で気持ちよく眠りはじめる。
どうせスカートはもう毛まみれなのだからと、その毛並みを堪能する事にした。

のどかでゆっくりと流れる因果交流の風景。
ビリヤードの玉みたいに、一つの玉が他の玉に当たって、あちこちを無住に駆け回る。 玉は一つまた一つとぶつかり玉突き方式に相互に影響しあって、一見別々に見える斯道を描き始める。それが幾つも重なっていく。
特に今は色んな角度からキューを構えている人達がいて、加速度的に盤面を変えていっている。
今の時代、不便と言ってもネットがあるから欲しいものは直ぐに届くし、コミュニケーションだって取れる。仕事だってどこにいても出来るものもある。
だから私は再開発に関しては賛成とも反対とも言わないし、どうせここにずっと居る訳でも、この町に縁がある訳でもないのだから無責任に口にするべきではないのだろうとも思う。

ただ、どっちが正しいなんてこともないけれど、ここに来る人達は何を見て、どう感じて、どちらを選ぶのだろうか。
呆然とそんな疑問に駆られる。

詩織
「君はどっちを選ぶのかにゃー?」

[了]
執 ルナ 監修 アベレイジ

[記事制作:ルナ] [編集:アベレイジ]

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