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お笑いの記事 (22)

わたわた 2021/07/11 13:37

コント「牛」

久々の新作コントです。
丑年になってからの構想→執筆でまるまる7か月。

執筆のスピードも、牛歩並み。
と言うのも、編集するたびに新しいネタが湧いてくるので、ネタの順序がコロコロ変わり、大変でした。ようやくオチに辿り着いたので公開できる運びとなりました。

遅くなりましたが、丑年ならではの牛コント、ぜひご堪能ください。


コント「牛」

 出演 母、娘、(あと、牛)


 夕方、母が帰宅してくる。

母「ただいま……って何これ、玄関どろだらけじゃない。ちょっと、どうなっ……」

 母が玄関から部屋に入ると牛がいる。

母「……いやぁああああああ!」

 娘が奥から鍋をゆっくり持って出てくる。

娘「あ、お母さん、お帰り~」

母「いや、ちょっとあんた、なに、うちに、なんで牛がいるの!」

娘「わたしも分からないけど、多分、手ちがいだと思う」

母「手ちがいのレベルじゃないでしょ。どこをどうなって牛が家の中に来るの!」

娘「んーとね、わたしが学校から帰ってきたら不在票入っててさ。電話したら、宅配の人が届けてくれたの」

母「宅配で来たの、これ」

娘「ドア開けたら家の前に牛車が止まっててさ」

母「はぁ?」

娘「宅配のお兄さんが、あ、牛の方ですって、つないでた車を外して、はい、って」

母「断りなさいよ」

娘「それがさ、意味不明すぎて呆然としてた。お兄さんがえっちらおっちら車を引いていくのを、ただ見送るしかなかったというか」

母「……あんた、その鍋どうするの?」

娘「ミルク飲むかなと思って」

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わたわた 2021/06/17 19:56

コント「オ〇ンピック」

オリンピック開催は目前、せっかくなのでコントにしました。まぁ、オリンピックそのものではないんですけども。

おっちゃんコントは、久しぶり。コントにも、新時代を。そんなコンセプトで取り組むのもいいなー。いや、笑えなきゃ意味ないんですけどね。

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わたわた 2020/11/07 12:35

コント「もみじ狩り」

久しぶりの新作です。
寒くなったら色づくもみじ。もみじ観に行きたいなあ。でも「もみじ狩り」って表現、変じゃないですか。潮干狩りやキノコ狩りは報酬をゲットできるのに、もみじ狩りは、絶対、ちぎったら怒られるじゃないですか。今回はそんな疑問からできたコント。でも、思考とは全然ちがう方向に行ってしまったコント。どうぞ~。


コント「もみじ狩り」

出演 三郎 恒子

恒子「ちょっと、どこまで行くの」
三郎「あ?」
恒子「こんな人気(ひとけ)のない山の中、どんどん先に進んで。帰れなくなるよ」
三郎「帰る?何で」
恒子「だって、暗くなったら、道に迷っちゃうかもしれないし」
三郎「馬鹿だな、恒子は。山の中で遭難しても、北極星があるから、迷わないの」
恒子「遭難しないこと考えようよ」
三郎「大丈夫だ。任せとけ。ぜったいに、でっかいもみじ見つけてやるから」
恒子「誰も、こんなもみじ狩りやってないよ。ただ、もみじ見て、楽しむだけでいいじゃない」
三郎「それはちっぽけなもみじで我慢せざるを得ない、臆病者の妥協策ってとこだな」
恒子「どうでもいいけど。第一、こんな杉山の中に、もみじなんてあるはずないよ」
三郎「諦めるな。諦めたものには、絶望という道しかない」
恒子「道すらないよ。草の根かきわけて、こんなところ・・・」
三郎「草の根をかきわける?草の根は土に埋まってるだろ」
恒子「そういう話じゃないの。あ~あ、もみじ狩りなんて来るんじゃなかった。三郎、もどろうよ」
三郎「分かってないな、恒子は。ゴールドラッシュも、ツチノコ探しも出会う確率は万が一、しかし見つけたときの幸福のために、みんな必死になる」
恒子「みんなじゃなくて、一部の変人だけだよ」
三郎「変人でけっこう。世界の偉人の多くは、昔から変人と呼ばれてたんだ」
恒子「偉人になればね。変人で終わる人も多いんじゃない」
三郎「一理ある。確かに、見つけないうちはそうだ。しかし、誰も発見したことのない、でっかいもみじを見つけたら、おれたちは最高の幸福を手に入れることができる」
恒子「幸福ランキングでは最低の部類だと思うけど」
三郎「見つけないうちから、値踏みするな。ほら、探せ」
恒子「探してるよ。てか探し疲れたよ。三郎、もどろうよ」
三郎「だめだ」
恒子「わたしがこんなに言ってるのに?」
三郎「だめ」
恒子「三郎、もどろうよ、三郎、もどろうよ、三郎、もどろうよ」
三郎「何回、言っても無駄だから」
恒子「三郎、もどろうよ、三郎、もどろうよ、もどろう、さぶろうよ」
三郎「おかしくなかったか、今」
恒子「え」

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わたわた 2020/10/03 02:46

脚本『願いの果実』エピローグ

脚本『願いの果実』エピローグ

邦洋(くにひろ 20男)
良平(りょうへい 20男)
浩太(こうた 20男)
香南(かな 19女)

 明かりがつく。良平が酔いつぶれて、川辺でぐったりと座りこんでいる。そこに香南が水を持ってやってくる。

香南「あれ、一人にされてるじゃないですか。はい、水ですよ」

 良平、水を無造作に取り、飲む。

良平「モー飲めんわい」

香南「牛になってんじゃん。良平!文化祭はもう終わりましたけど!」

良平「終~わった?」

香南「そう。打ち上げも終わったし、終電もなくなったし、みんなタクシーで帰るみたいですよ。良平も、タクシー乗って帰りましょう」

良平「今夜は~月が~きれいでござる……そういうことならバンテリン!」

香南「だめだこりゃ、もはや何の役だか」

 浩太が現れる。

浩太「あ、カナ」

香南「もう浩太、良平を一人にしちゃだめじゃないですか。十歩進んだら川の中ですよ」

浩太「ごめん、トイレ行きたくなって、コンビニ探してたんだ。良平は、水飲んだ?」

香南「ちょっと飲んだだけ、モ~飲めないって」

浩太「最後にワインなんか飲むからこうなるんだよ」

香南「わたし、まだ19ですけど、こんなの見たら、20歳になってもお酒飲みたくないです」

浩太「カナが退部した晩に比べれば、マシだけどな。あのときは邦洋が号泣しててさ」

邦洋「おい、浩太。それは言わない約束だろ」

 邦洋が現れる。

浩太「あ~、酔った勢いで、つい」

邦洋「じゃあ、こっちも酔った勢いで殴っていいんだな」

 邦洋、浩太の胸倉をつかむ。

浩太「どうせなら、酔った勢いで告っちゃえよ」

邦洋「てめえ……」

香南「ちょっと、二人ともやめてよ。これだから酔っ払いはきらい!」

 邦洋、手を浩太から離す。

邦洋「よ、酔っぱらってなんかねえよ」

浩太「他のみんなは?」

邦洋「スタッフはみんな、タクシー乗り合わせて帰った。おれも帰りたかったけど、こいつの介抱が必要だからな」

浩太「とか言って。カナがいるからだろ」

邦洋「なるほどな、浩太。鼻の穴から手つっこんで奥歯ガタガタにされたいってか」

 邦洋が浩太につっかかろうとしたとたん、良平が口をおさえて去る。

良平(声)「ゲロゲロ~」

浩太「あいつの奥歯ガタガタにしてこいよ」

邦洋「やだよ、気持ち悪い。あいつは蛙か」

良平(声)「ゲロゲロ~」

香南「蛙というか、ウシガエルですよ」

浩太「いいね、カナ、乗ってんじゃん」

邦洋「ウシガエルは、まあ、放っておいてだ。カナは今後、どうするんだ?」

香南「私の今後?」

邦洋「ほら、おれたちのせいで、プロデューサーと、あんなことになったからさ」

香南「岩上のことですか?あいつとは絶交です。金輪際、会わないつもりですから」

浩太「会いたくても、今は会えないところにいるけどな」

香南「え。捕まったんですか、あいつ」

浩太「探偵部の情報筋では、一時的に拘留されてるみたいだ」

香南「あの一件でですか」

邦洋「いや、あいつ、実はDVで訴えられていたらしいんだ。しかし、確たる証拠が無くて、検挙できず。結局、奥さんは子どもを連れて離婚。ところが、岩上は親権を取り戻そうとしてきた」

香南「そんなところまで調査したんですか、探偵部は」

浩太「カナが探偵部に乗り込んでわめき散らしただろ。あれで探偵部のやつら、我が部の威信に関わるって本気になってさ、岩上亮の身元をしらみつぶしに調査したらしい。やつらの推理では、岩上は文化祭に来たアキラを誘拐し、自宅アパートに監禁するつもりだったのではないかということだ」

香南「でも、アキラくんが文化祭に来るって、どうやって分かったんでしょうね」

浩太「何でも、岩上は盗聴器をつけて家の中の会話を聞いてたらしいぜ。その電波をジャックしたのが、無線同好会のやつらだ。探偵部の配下には無数の同好会がいるからな」

邦洋「おい、浩太。その辺にしとけ」

香南「今、思ったんですけど。その情報、文化祭前に仕入れてますよね」

浩太「え」

良平(声)「ゲロゲロ~」

邦洋「さ、蛙も鳴いたことだし、そろそろ帰るとするか」

香南「おかしいと思ったんですよ。どうして、アキラくんが迷子になって、どうしてあいつがアキラくんに会いに来て、どうして演劇部の舞台にいたわたしと会話できたのか」

浩太「やば、リーチ」

香南「もしかして、全部、仕組んでたんですか。あいつとわたしを別れさせるために、何から何まで、あなたたちの脚本だったんじゃないですか」

浩太「ビ、ビンゴォオオオオオオ!」

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わたわた 2020/10/01 18:00

脚本『願いの果実』第3章「アドリブ オン パレード」その4

脚本『願いの果実』第3章「アドリプ オン パレード」その4

邦洋(くにひろ 20男):【配役】長者・若者
良平(りょうへい 20男):【配役】願いの木・老いた牛
浩太(こうた 20男):【配役】従者
香南(かな 19女):客として観ている。
斎藤(さいとうまじめ 20男):声のみ。アナウンス部員。
迷子(えぐちあきら 5男):声のみ。文化祭の途中、迷子になった。
岩上(いわがみりょう 42男):声のみ。迷子の父親。

 暗転中、ピンポンパンポーンと学内放送が鳴る。

斎藤(声)「迷子のお知らせです。5歳の、エグチアキラくんという男の子をお預かりしています。保護者の方は、A棟2階アナウンス部室までお越しください」

 照明がつく。
 木は無い。浩太(従者)が倒れている。
 浩太が起き上がると、手に、桃をにぎりしめている。

浩太(従者)「あれ、この桃は・・・長者様、長者様!」

良平(牛)「ンモ~」

 良平が現れる。

斎藤(ナレ)「牛は、長者の車をひいてきた牛でした。車は雷が落ちて真っ黒に焼け焦げています」

浩太(従者)「なんてことだ、長者様の車がこんなことに。しかし、牛が無事とは、何たる奇跡!どこにも、傷を負っていないようだが」

良平(牛)「ンモ~、こそばゆい」

浩太(従者)「え」

良平(牛)「あんまり体を撫でまわさんでくれんか。こそばゆくなるからモ~」

浩太(従者)「牛が話した?まさか、さっきの雷で」

良平(牛)「あ~のどがかわいた。水を飲みたい。これ、あんた。水くれんかモ~」

浩太(従者)「信じられないが、本当らしい。待て、今、川に連れていってやろう」

 浩太(従者)、良平(牛)を連れて歩く。

斎藤(ナレ)「従者は、牛を近くの川に連れていき、水を飲ませようとかがみました」

迷子(声)「ね~。ママ、まだ来ないよ。もう一回、放送してよ」

良平(牛)「虫がうるさいモ~」

邦洋(長者)「や~ボク、拙者と遊ぶでありんすよ」

 邦洋の声が響き渡る。

迷子(声)「わーい、おもしろいお兄ちゃんだ。ピエロみたーい」

邦洋(長者)「ほうれ、ほれほれ」

浩太(従者)「長者様の声。もしや近くに」

邦洋(長者)「ママが来るまで、近くで遊ぶでありんす。来たら連絡を」

迷子(声)「ね~もう一回、やって~」

邦洋(長者)「ほうれ、ほれほれ」

 迷子の笑い声が遠ざかる。

浩太(従者)「長者様!長者様~!」

良平(牛)「あ~、川の水はうまいモ~」

浩太(従者)「やはり長者様だ。飲み終えたら長者様を探しに行きましょう」

斎藤(ナレ)「そのとき、従者の手から、桃が落ちてしまいました」

浩太(従者)「あ、しまった。おいしそうな桃だったのに」

良平(牛)「モ~ったいない、どんぶらこと流れていったモ~」

浩太(従者)「この川を下ると、わたしの故郷があるんです」

良平(牛)「故郷?あんたはよそで育ったのかい」

浩太(従者)「はい。わたしはみなしごでしてね。おばあさんに拾われたんです」

良平(牛)「ほお。ええ話の予感がするの」

浩太(従者)「おばあさんは悪い人ではありませんでしたが、料理の腕がひどくて。きび団子なんて、食えたもんじゃありませんでした」

良平(牛)「きび団子とな」

浩太(従者)「ああ、あのきび団子。においはいいが、食べたら最後、三日三晩苦しむことになるんです。犬と猿ときじに食わせたことがありましたが、もう、のたうち回って、犬はそこらじゅうに噛みつくわ、猿は苦しみ悶えて引っかくわ、きじはつっぷして倒れる始末」

良平(牛)「おかしいモ~。黍で作った団子なのにモ~」

浩太(従者)「いや、おばあさん、何を思ってか、団子にシキミをすりつぶして入れていたらしいんです。シキミは猛毒。初めはシキミ団子と言っていましたが、みんな食べるのが厳しいんで、キビシイ団子、キビ団子になったんです」

良平(牛)「それでキビ団子とは。しかし、おばあさんは自分で食べて何とも無いのかモ~」

浩太(従者)「おばあさんは頑丈でしたから。村では、正体は鬼じゃないかと怖れられていたんですよ」

良平(牛)「鬼とな」

浩太(従者)「ほがらかな笑顔で毒の団子を作るものですから、みんな参っていましたよ」

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