吾神発行所 2013/03/18 23:39

公開シナリオ:『友達だろ』

探索者一人用のミニシナリオ『友達だろ』を公開いたします。コピーしてお使いください。

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CoCシナリオ『友達だろ』
※この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件 その他とは一切関係ありません。
◇はじめに
これはCoC用のシナリオである。
人数は1~2人用でかつ短いシナリオとなっている。ただし、探索者は<オカルト>技能持ちにすることを推奨する。
時代設定は特にしていない。現代でも1920年代でも1890年代でもいずれでも使えるだろう。
[推奨スキル] <オカルト><図書館>

◇シナリオの概略
・友人から「最近、変な夢を見るんだ」と相談される。
・旅行に行ってからおかしい。
・お土産を調べると妙な像がある。
・図書館で調べることで、特殊な呪いの像であることがわかる。
・友人宅に行くと友人は既に化け物に。
・像に宿る悪霊を退散させ、友人を元に戻す。
◇シナリオの背景
鷹澤はとある南国へと旅行へ行った。その時、向こうでみすぼらしい乞食を蹴ってしまう。
激昂する乞食に、バツの悪い鷹澤は謝るタイミングを失い逆切れしてしまった。結果、言い合いから揉みあいになってしまった。その時に、髪の毛の一部を抜かれていたのである。
実は乞食は地元では有名な魔術師であった。鷹澤は、その魔術師の怒りを買い、呪いをかけられたのだ。
その触媒がいつの間にか鷹澤が持っていたという像である。(魔術師が指示して荷物に紛れ込ませた。)
呪いによって、鷹澤は徐々に化け物へと変貌していくのだ。

◇シナリオへの導入方法
どのような探索者でもよい。友人として相談される。私立探偵で依頼という風に改変してもよい。

◇シナリオ

◇導入[相談]
探索者(達)の元に電話が来る。出ると、それは男性の声であった。彼は君の友人で、名を鷹澤和滋という。
彼は言う。「なあ…ちょっと相談に乗ってほしいんだよ…。」
彼の家か君の家、もしくは外で待ち合わせして彼と出会う。

約束した場所に会いに行くと(もしくは待っていると)鷹澤がやってくる。彼は大きなサングラスをしている。
更に<心理学>をするまでもなく非常に疲れてやつれていることがわかる。
彼はサングラスを外すことなく話始める。(探索者が友人であれば、彼はサングラスをするような人間ではないことを知っている)
最初は「最近どうだ?」などの雑談から始まるが、少しするか君が「相談って?」って促すと彼は話し出す。
『実は、ここ最近、変な夢を見るんだ…。それは、俺が寝ていると誰かが俺の顔や体を触ってくるんだ。俺は寝てるから目を開けられないんだけど…。
その夢が、ここ最近ずっと続くんだよ。 それだけじゃないんだ。朝、目が覚めると、その夢の中で触れた部分が…。』
そう言って彼はサングラスを外す。そこには、瞼が大きく腫れており、蛇の紋様の様な痕がある。
『…体中こんな感じでさ、このままじゃ会社にはいけないし…どうしたら…。お前、なんかオカルトに詳しかったよな?誰か他に詳しい人でも良い、助けてくれないか…』と言いそのまま彼は涙ぐむ。
以下、質問によって以下の情報がわかる。
・お寺などに行ったがお祓いなどをしても効果が無いか、「うちではどうしようもない。あんた、誰かの恨みを買ったな?」と言われて手立てがない。

・恨みを買った記憶はないという。(<心理学>で嘘をついていることがわかる。)

・異変は、一週間前からだという。

・その前は、南国のとある国に旅行に行ってきたという。

・旅行先で何か変わったことはなかったか?と聞くと、『変な爺さんと揉めたよ。』と言う。

・その爺さんは乞食だったらしい。歩いていると足が当たったらしいが、謝る前に激昂された。そのためカチンと来て言い合い(お互い母国語だが)で最終的に揉みあいになったらしい。(ここで恨みを買った記憶が無いかについて質問していると、「ごめん、嘘をついた。多分、このことだ…」と言って泣き出す。)

・また、向こうから何か持ってきたか?と聞けば『色んな物を買ったから、その中に何か混じっているかもしれない』と言う。

◇探索
[お土産]
彼の家は都心部の賃貸マンションの一室で、そこそこ片付いている。
彼の買ってきたものを2時間かけて全て調べるか、<目星>に成功すれば以下のものが目につく。
・何かでできたナイフ状の物(切れ味は全くない。)
・素焼きの像
・網細工でできたブレスレット(ミサンガの様な物)
以下、それぞれ特定のロールで調べることができる

ナイフ状の物→<生物学>で『動物の骨でできていること』、<人類学>で『儀礼用のナイフであること』
<オカルト>なら『動物の骨でできた儀礼用のナイフであること』の両方がわかる。
また、<オカルト>か<アイデア>に成功すればこのままでは使用できずなんらかの処理が必要だと気付く

像→像に対して<目星>することで、何か毛の様なようなものが埋め込まれて燃え尽きた跡がわかる。
壊そうとすると、<アイデア>ロール。前準備も無く破壊すると嫌な予感がする。<アイデア>に失敗しても、鷹澤が「お、おい、壊すなよ。もし悪化したらどうすんだよ…」と止めに入る。
捨てたとしてもいつの間にか元に戻っている。

ブレスレット→<オカルト>なら護符のようなものであることがわかる。

いずれも、彼はどうやって手に入ったか覚えていないらしい。向こうでは酒をガンガン飲んで酔っ払っていたようだ。

[図書館]
図書館に行ってそれぞれ上記の3品を調べるためには2時間かけて<図書館>ロールに成功する必要がある。成功すると、以下の事がわかる。
ナイフ状の物→儀礼用の動物の骨でできたナイフ。「ナイフを清める」ことで特定の悪霊に傷をつけることができるらしい。ただし、清め方はわからない。
像→呪いに使う触媒である。呪いたい相手の毛など体の一部を埋め込んで素焼きにして作る。高位の呪術師が作ることができるらしい。
ブレスレット→護符。悪霊の呪いに対抗することができるらしい。
また、彼が旅行に行った国についてなど調べれば情報[××国の呪術師]を入手

[呪いを解く方法]
呪いについて深く調べるためには、図書館(やインターネットなど)で<オカルト>ロールに成功する必要がある。成功すれば、情報[呪い][清めの儀]について知ることができる。

◇終盤[友達だろ]
刀身を清める必要がある。ナイフで自分に1D3のダメージを与えた血でもよい。
準備を終え、像を破壊すると、中から黒い風が巻き起こる。そして黒い風は鷹澤の方に飛んでいき、彼に纏わりつく。
次の瞬間、鷹澤の体の表面が泡立ち膿があふれてくる。彼は「お、おい、助けてくれよお…友達だろ…おい…おい…」とすがってくる。その光景をみた探索者は0/1D6の正気度を喪失する。
そして、像から悪霊が飛び出し戦闘。
悪霊を退散させるとエピローグAへ。もし逃げ出したりするとBへ。

◇エピローグ[その後]
A.呪いを解いた:悪霊の姿は霧の様に散っていった。途端、鷹澤の体の異変も止まり、腫れが引いていく。
こうして呪いは解かれた。鷹澤の皮膚も日毎に回復し、1週間後には注意してよく見ると切り傷の痕が見える程度になった。鷹澤は今回のことで大分懲りたようで自己に非があればすぐに謝る性格となった。
だが、君たちはこのようなおぞましい呪術が現代社会でもなお連綿と生き残っていることに戦慄を覚えた…。

B.逃げ出した
君たちは逃げ出した。それ以降、鷹澤は行方不明者となっているらしい。
君たちの電話には、時折、誰かから電話がかかる。それには「助けてくれよお… なんで逃げたんだよお……俺たち……友達だろ………」という声が聞こえてくるのだ…。

◇クリーチャーデータ
異国の悪霊【呪い】
INT=15 POW=10 DEX=7 移動=6 耐久力=8
ダメージボーナス:0
武器
物をぶつける 25% ダメージ 1D3
呪い 50% ダメ―ジ 1+CONを1減少する。減少したCONは眠ることで一晩で全快する。また、対象がブレスレットをつけていればこの技能の成功率は半減する。
装甲 なし ただし、魔術を付与された武器でしかダメージを与えることはできない。
呪文 ・破壊
正気度喪失 1/1D3
描写文
『あふれ出た黒い風は、様々な動物の姿であった。ある部分は蛇であり、またある部分は狐であり、違う部分は狗であった。その蠢く邪悪な悪霊は、君たちに襲い掛かってきた!』



◇情報
【××国の呪術師】
『…××国にはとある呪術師がいる。彼らは、高位になればなるほど人間としての生活を捨て、あたかも乞食のような振る舞いになる。ただし、彼らは非常にプライドが高い。彼らの怒りを買えば、呪われてしまうだろう…』

【呪い】
『××国の呪術師は、相手の体の一部の埋め込んだ素焼きの像を使い、呪文を唱えることで呪いをかけることができる。呪いをかけられると、像に悪霊が乗り移り対象を苦しめる。最初は体などを触られる悪夢を見る。これは実は悪霊が体を触り、呪いをかけているのだ。触られた部分は大きく腫れ、蛇の紋様の様な痕ができる。
更に悪化していくと、体中が腫れて膿の様なものがあふれ出す。最後には、全身が生きたまま腐ってしまい死に至る…』
『呪いを解く方法は二つ。一つは呪術師に謝罪して呪いを解いてもらう事。だが、一度怒りを買った呪術師の許しを請うのは非常に困難だろう。
もう一つは像を破壊すること。ただし、破壊すると悪霊が解放されて像を解放した人間に襲いかかるだろう…』
このおぞましい儀式を知った探索者は1%の<クトゥルフ神話技能>と1/1D3の正気度を喪失する。

【清めの儀】
『酒と動物の血を捧げ、刃状にした動物の骨に塗る。そして呪文を唱えることで悪霊に対して傷をつけることができるようになるだろう…』
この儀式を行うには一晩かけてPOW3を消費し、1D3の正気度を喪失する。また、動物の血や酒は少量でよい。
清めた骨のナイフは、このシナリオの悪霊に対してのみ 50%で1D3+ダメージボーナスの効果を与えることができる。ナイフ技能があればそちらでもよい。

◇クリアボーナス
以下の通り正気度を獲得する。
A.逃げ出した なし
B.像を破壊した + 1D6+1
C.ナイフを清めた探索者 +1D6

改変は自由ですが著作権放棄はしていませんのであしからず。万一、改変して二次配布等する時はどこかに著作権表記お願いします。

例: この作品は吾神発行所様の「友達だろ」を改変したものです
吾神発行所の電子書籍
URL http://b.dlsite.net/RG21607/

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余談。あまりクトゥルフっぽくないシナリオでしたね。「異国の呪術が今なお現代でも残っている」辺りはクトゥルフらしいでしょうか?
NPCデータは特に用意していません。戦闘では膿まみれで行動できません。必要に応じて各自で用意お願いします。

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