シャープペン10本勝負!第2回 パイロット「S3」

シャープペン10本勝負!第2回はロングセラーのあのシャープペンです。学校、仕事、趣味といろんなところでお世話になってる人もきっと多いはず…。

スペックシート

  • 名前:S3(エススリー)
  • メーカー:パイロット
  • 価格:300円(税抜)
  • 芯径:0.5mm(0.3mm、0.4mm、0.7mm、0.9mmもあります)
  • 長さ:約14.5cm(普通)
  • 太さ:軸 約8.2mm~10.0mm(普通) / グリップ 約9.3mm~10.0mm(普通)
  • 重さ:クリップ付き 約10.8g(やや軽い) / クリップなし 約9.7g(軽い)
  • 重心:クリップ付き ほぼ中心、クリップなし やや前重心
  • 買える?:買えます!(2020/6/18)

店頭にて、電撃が走る

パイロットS3との出会いは学生の頃でした。いつものように行きつけの書店に行き、思う存分雑誌を立ち読みした後に文房具コーナーでシャープペンを見ていたら、そこにはできたてホヤホヤの新製品として色鮮やかなシャープペンが並んでいたのです。当時はiMacの大ヒットで何でもかんでもクリアカラー、何でもかんでも太軸ラバーグリップの時代。そんな中で濃いめのクリアカラーでラバーグリップですらない細軸のシャープペンですよ。見た目からしてすでにただものではない雰囲気が漂っていたのです。

当時のパイロットの低価格製図用シャープペンというといまいちパッとしない印象があり、買うべきか買わざるべきかを迷うくらいの存在でしたが、このS3は持った瞬間に「あっ…これは…」というインパクトがあり、書いてみてビビッと電撃が走るくらいの完成度。貧乏学生の財布の中には400円しかありませんでしたが、完敗です。もうこれは買うしかありませんでした。迷いに迷ってトウメイレッド、トウメイブルー、トウメイイエロー、トウメイグリーン、トウメイブラックという戦隊感漂うネーミングの5色の中から1本、トウメイブルー(青)の0.7mmをチョイスしたのです。

現在は戦隊感漂うネーミングはやめてしまい普通の名前になってしまいましたが、あくまで自分の愛機がトウメイブルーの0.7mmであることは変わりないのです。いつのまにかカラーラインナップも一気に増え、今回はパイロット伝統のノンカラー(透明)で写真を撮ってみた次第です。いやその、透明なら中身がよりわかりやすいような気がしてね。ノンカラーと言いつつほんの少しだけ紫が入っていてきれいなんですよ、この色。

ペン先、グリップ、書き味

製図用シャープペンということでペン先には円筒状で長さ約3.8mmのガイドパイプが付いていて、手元が見やすくなってます。DRAFIXと比べるとわずかに短めに見えますが、誤差程度と思っていいでしょう。先端部は直線的で、シンプルな製図用シャープペンです。

グリップは樹脂に20本の溝が刻まれていて、先端から上にいくほど溝の間隔が広くなっています。溝が入った部分の長さは約5.1cmと長く、持ち方の自由度が高いです。形としてはわずかな流線型になっていて、グリップの下部で約9.3mm、中心部で約9.6mm、上部で約10.0mmと、先端から上にいくほど少しずつ太くなっていきます。このほんのわずかのチューニングがこの上ない快適さを実現していると言ってもいいでしょう。溝にしても流線型にしても、飾りじゃないんです。長時間使い続けると少しベタ付く感じはありますが、それでもこの指に吸い付くような感触はただものではありません。

製図用シャープペンではありますが、濃さ表示部(インジケーター)は軸にもキャップにも付いてません。物足りない気はしますが、邪魔にならないので書き味に全力投球できるのもいいところではないでしょうか。グリップの上にあるおへそのようなポッチは転がり防止の役割を果たしていて、クリップを外す人にも優しい仕様です。

見通しの良いペン先、吸い付くようなグリップ感、約10.8gの程良い軽快さ。短時間でも長時間でも十分すぎるほどのパフォーマンスを発揮します。書き味については言うことなしで、店頭にこんなに書きやすいシャープペンがあるのに下手なレアものをオークションで買う必要性があるのか?とまで思ってしまうくらいです。

クリップ、キャップ、消しゴム

クリップは見たまんまのシンプルなもので、DRAFIXよりもさらに短めなものとなっています。ほとんど邪魔にならない上に、簡単に外すことができるのもいいところ。クリップの付け外しで軸に傷が付くようなこともほとんどないでしょう。クリップを付けた状態でも外した状態でも楽しめる、まさに一粒で二度おいしいシャープペンというところ。ただでさえおいしいのに~。個人的にはクリップを外した状態で使うのが好きです。

キャップは特に芯径がプリントされているわけではなく、金属キャップに樹脂がかぶさったシンプルなものです。パイロットは金属キャップにかぶせるのが好きな印象があるのですが、どうなのでしょう~。ノック感は重すぎず軽すぎず、いい感触です。繰り出し量としてはDRAFIXよりわずかに短めというところでしょうか。気にするようなものではないと思います。

キャップの中には白い消しゴムが入ってました。十分に消える消しゴムで非常用として使うのがいいでしょう。よく使う人のために別売でも用意されているようです。300円(税抜)にも関わらずクリーナーピン付きなのはお得感高く、素直にうれしいところですね。軸の内側が芯の粉で汚れると掃除するにも掃除できないのが泣きどころだったりしますが、最近は汚れが気になる人のために不透明モデルも発売されています。0.5mmだけとは言わず、全ての芯径で不透明モデルがあるといいんですけどね…。

チャック、安定感、そしてかる~く分解

先端部はくるっと回すと外れるようになってます。新品は少しきつめにはまっていて、外れない場合は輪ゴムを巻き付けてから回すと楽に外すことができると思います。この手のシャープペンでは一般的な3分割の金属チャックですね。例によってごくまれに短い芯がチャックに引っかかってしまい誤作動を起こしますが、どうも少し荒っぽいところがあって、特に0.3mmは誤作動を起こしやすいようです。先端部を外すことができるので比較的修理しやすい部類にはなりますが、分解が苦手な人は0.5mmより太い芯が無難かもしれません。消しゴムにクリーナーピンが付いているのでまず先端部を外す前に突っついてみることもできます。

分解すると本体、先端部、クリップ、消しゴム、キャップと分かれます。チャックや内側の芯が入るパイプ部分をはさむように上下から軸がはめ込まれているというおなじみの構造ですね。本当はもう少し分解できたらなぁと思うのですが、これでもかというくらいバーゲンプライスなシャープペンです。わがままは言わないことにしましょう。

バリエーション

0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.7mm、0.9mmと芯径違いで5種類のバリエーションが充実しているのはありがたいことでしょう。しかし5種類のバリエーションがそろうのは透明ブラックのみで、他の色に関しては0.5mm、0.3mmを中心に一部の芯径しか用意されていないのがやや中途半端なところ。忘れてしまいそうになりますが、ガイドパイプ1.5mmの筆記用タイプが発売されていた時期がありました。ちょっとだけ新感覚な使い心地が好きだったのに、いつのまにかいなくなっちゃいましたね…。

まとめ

うれしい!

  • 見通しの良いペン先、自由度が高く吸い付くようなグリップ感と安定感。
  • クリップの着脱が容易で、クリップを外しても軸が転がりにくい。
  • 先端部が分解できるため比較的修理しやすい。

物足りない!

  • やや荒っぽい構造で、0.3mmに関しては詰まりやすさが気になる。
  • 内側から軸が汚れると掃除が極めて困難。
  • 濃さ表示部(インジケーター)がない。バリエーションが中途半端でわかりにくい。

評価

  • 作りの良さ:★★★★ 20/25
  • 感触の良さ:★★★★★ 25/25
  • お買い得感:★★★★★ 25/25
  • 書きやすさ:★★★★☆ 22/25
  • 合計 92点

太軸ラバーグリップ全盛期から文房具ブームの今までをずっと一線級で戦い続けているロングセラー。これはもう、強いとしか言えないです。300円(税抜)にも関わらず筆記、製図、描画、どんなジャンルでも戦えるオールマイティーな1本。はたして生きてるうちにこのシャープペンを超える完成度のものが出てくるのでしょうか…。

次回予告

次回は飛び道具です。男子はこういうの好きなんだよなぁ~。

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