「朝起きるとベランダにペンギンがいた」~10月の短編ファンタジー
1
一人暮らしの日曜日、朝起きてカーテンを開けると、ベランダにペンギンがいた。
ペンギンが、にやっと笑って言った。
「おはよう」
まだ夢の続きなのかと思ったけれど、妙にリアルだった。
思わず、
「おはよう」と返すと、
「開けて」と言ってきた。
サッシを開けると、ペンギンは後ろにちょっと下がって助走をつけると、ぴょんっと段差を飛び越えて中に入ってきた。
そうして、ぴょんっとテーブルの椅子に座ると、
「水をちょうだい」
え、ペンギンってこんなに器用だったっけ?
「えと、コップに入れていいの?」
「もちろん」
コップに水を入れて、
「どうぞ」とテーブルに出した。
ペンギンは両手(?)で器用にコップを抑えると、くちばしをつっこんで水を飲んだ。
私も水を飲みながら、聞いた。
「で、なんでペンギンが、日曜の朝にうちにやってきたの?」
「ぼくは、ペンギンじゃないよ」
「ペンギンじゃない? ペンギンにしか見えないけど」
「確かに君たちの地球のペンギンに似てるけど、ペンギンじゃないよ」
「『君たちの地球』? 違う地球もあるの?」
朝起きたばっかりで頭も回らないのに、ペンギンはおかしなことを言う。
いや、これは夢なのかな。
「もちろん、違う地球はあるさ。宇宙はいっぱいあるんだから」
ますますわからない。
ペンギンもどきが説明する。
「君たちは、宇宙が一つしかないと思ってるでしょ?」
「うん」
「宇宙はいっぱいあるよ。たとえばさ、マンションに部屋がいっぱいあるでしょ。あんな感じに、宇宙はたくさんあるんだ」
私は、マンションの中にたくさんの宇宙が入っているのを想像した。
「ぼくは、君たちの宇宙の隣の宇宙からやってきたんだよ」
「へえ。でも、どうして?」
「そこだよ、そこ」
ペンギンもどきは、手(?)をコップから離すと、偉そうに私に向けてぶんぶん振った。
「君たちがさ、がさがさ悪さをするから、ぼくらの宇宙にまで悪影響が出てるんだよ」
なんだかよくわからないけれど、ペンギンもどきは怒っていた。
「私たちが、何をしたの?」
「今までだって、さんざ原爆落としたり原爆実験したりしてきたでしょ?」
「ああ」
原爆実験は、隣の宇宙にまで迷惑をかけているんだ。
「それでもぼくらは、我慢してたんだよ。でもさ、今度ばかりは許せないよ」
なんだろう、どこかでまた大きな原爆実験でもやったんだろうか。
「だから君には、死んでもらう」
「は?」
私は口に含んだ水を噴き出した。
「ど、ど、どういうこと?」
逃げたくても、腰が抜けて動けなかった。
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