「夏の終わりに誰かが見る夢」〜8月の短編ファンタジー
序
あなたは、今の現実を本当のことだと思っているだろう。
だからこそ希望を抱き落胆し、さまざまなことに執着しながら生きている。
けれどもしあなたが現実だと思っているあなたの人生が、夏の終わりに誰かが見る夢のようなものだとしたらどうだろう。
かきむしるような後悔や憎しみ、嫉妬、いらだち、劣等感。
あなたが抱えてきたいろんなものが、シャボン玉のようにはかない夢にしかすぎなかったら。
1
8月下旬の朝、28歳の夏乃はベッドの中で目を覚ました。
カーテン越しの朝日のなか、自分の両手を見つめる。
肩、胸、お腹、脚。
生きている。
怪我もしていない。どこも痛くない。
ああ、まただ。
私はまた生き返っている。
昨日、夏乃はバイクにはねられその後トラックにひかれたはずだった。
会社からの帰り道、とまっているワゴンを避け道路中央側に出たところを直進してきたバイクにはねられた。
そこを運悪くやってきたトラックにひかれてしまったのだ。
遠のく意識の中で、まわりが騒ぐ声が聞こえた。
「かわいそうに。あれじゃ助からない」
どんな姿になっていたのか自分では見えなかったが、ああ死ぬんだなと覚悟した。
死ぬまぎわなのに、今日どんな下着をつけていたっけ。部屋、散らかってた。そんなことを思ったのだった。
なのに夏乃は病院でもなく自宅のベッドでいつものように目覚めていた。怪我一つなく。
昨日のことは、夢だったのだろうか。
いやそんなはずはない。確かに現実のことだった。
夏乃は、ため息をついた。
誰かに言えば、夢だったんだよと笑われて終わる。
そう、夏乃はこんな経験をもう5回もしてきていた。
脳の病気かもしれないとMRI検査を受けたり、心の問題ではと言われ心療内科にかかったこともある。
特に問題は見当たらず、この程度の頻度では日常にさわりもなくそのままになっていた。
他人からみれば、夢を見たことで終わってしまう問題だ。
けれど当の夏乃にしてみれば、あまりにもリアルなのだ。夢と現実の区別くらいつく。
あれが夢だというのなら、今この現実も夢だとしかいえない。
どこまでが夢で、どこまでが現実なのだろう。
「わ、いけない。遅刻しちゃう」
あわてて飛び起きた。
お湯をわかし、タイマーで炊けていたご飯に生卵を落とした。
「ご飯、炊いた覚えもないんだけどな」
この不思議な現象のなぞは、いつかわかるんだろうか。
知りたいような怖いような気がする夏乃だったが、まもなく夏乃はそのなぞを知ることになるのだった。
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