そして世界が降りてくる

 

           
              

 あなたは、地球は丸いと思っているだろうか。それとも平らだと思っているだろうか。
現代の日本で育ったなら、おそらく100%丸いと思っているだろう。


 けれど飯島あゆり14歳は、地球が平らだと思って暮らしていた。
直径わずか100メートルの平らな円だと。
世界には、母親とあゆりしか存在していなかった。他の人間は一切いない。他の動物も他の生物も一切存在しなかった。
 あゆりに与えられたのは、母親以外には大きな家とそこにある品々だけだった。

「あら、窓があったら外が見えるわ。外には、他の家があって他の人たちが歩いているでしょう。猫だって歩いているわ」
 常識的なあなたは、きっとそんなふうに思うだろう。

 けれど残念ながら、あゆりの母親、飯島沙月は、常識のはるか1000光年先にいた。
1000光年先と言うのはオーバーだったかもしれない。けれど、あなたの常識をはるかに越えているのはまちがいなかった。

 まずその窓だ。
 その窓は、外の景色を映し出しているわけではない。母親沙月が用意した映像が常に流れているのだ。そう、家中にある何十個の窓すべてにおいて。
 防音設備も完璧で、家で聞こえる音もすべて沙月が管理して流している。

 あゆりはテレビを見ることができるが、もちろん一般に流れる放送ではない。沙月が用意した映像が流れる。沙月が作らせたものもあるし、沙月の検閲を通ったものもある。
 そしてそこに登場する人間たち動物たちは、「これはコンピューターが作り出したもので、実在するものではないわ」ということになっている。

 あゆりは、生まれた時から外に出たことがない。沙月が1人でこの家で産み育てた。
「でも、行政が黙っていないのでは? 1ヶ月検診とか、小学校入学とか、中学校入学とか」
 もちろん、出生届けを出していればそうだ。そう、お気づきだろう、沙月は常識のはるかかなたにいる。

 そんな沙月が普通に出生届けなど出すはずもない。防音設備の整った家でたった1人で生んだのだ、誰もあゆりの存在を知らない。知られていないのだから、出生届けを出さなくても誰にも何も言われない。


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