葛城裸時 2023/04/03 21:59

黒田杏子句集「花下草上」を読む。

「一匹の蝉全島の石焼」黒田杏子
 蝉の震えを地震のように捉え石が焼ける災い。蝉の声はここでは自然災害を超える架空。



「秋声の壺ころがって山に満つ」黒田杏子
 壺には立派な秋がある。山に満つほど。山を越えた架空。作者の声は内側に進むフラグ。



「花の木の火柱となることごとく」黒田杏子
 この架空は全部という風呂敷。作者の風呂敷は広い。桜の燃え上がる色素の架空。 
 


「お遍路にふくろふの子落ちてくる」黒田杏子
 腐女子がお遍路でどんどん空から降ってくる架空。「ふ」の韻律が限りなく優しい架空。




作者は花を観て草を踏んづける句集として永遠の「生」を与えた。「句集」の逃れなき性(さが)






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