秀島キョウ 2024/07/12 22:27

【大会主催の助け】ノウハウ伝授!格闘ゲームの実況・解説のコツ【第3回】

-----はじめに-----

これにて最後の回です。
第1回の記事はこちら
第2回の記事はこちら


今回までの話を押さえて話せば貴方もゲーセン流実況解説、一人前です。

さて、第1回は大きな枠組みである『雰囲気作り』の話をしました。

第2回では枠組みの中身である『何について喋るか』の話をしました。

そして今回第3回では枠組みの中身を彩る『喋る際に気をつけること』です。見ていきましょう。


喋る際に気をつけるべき5つのポイント


①"無意識に出る繋ぎの言葉(「えー」「さぁ」など)を意識して減らす"


「えー」「さぁ」などは多くの人が話していると自然と入れてしまう無意識に出る繋ぎの言葉です。

これがあるのは別に悪いことではありません。大事なのは頻度です。

毎回息継ぎの度に言葉を発していると聞いている側は気になってきます。

そう、問題は「気になってしまうこと」です。気にならない喋りとは「違和感を覚えないこと」です。

繋ぎの言葉も頻度が低ければ気になりません。

意識して減らすことができると気になる癖からむしろ喋りのアクセントに変わります。

肝心の繋ぎの言葉の減らし方ですが、これです。

・「言葉と言葉の間は無言でいいと意識すること」
・「言わないようになるべく意識して心の中でブレーキをかけること」

このぐらいでいいです。段々減ってきます。

マイク役をやっていると「無言の時間は良くない」と半ば強迫観念的に思ってしまうものです。ですが、配信で聞き返してみると多少間があっても思った以上に気にならないものです

いいんです。既に挙げてきた「焦らず喋る」と共通する部分でもありますが、ちょっとの無言は恐れずに分かること・知っていることを話せば良いのです。

結果、口数が減ることでメリハリが生まれ、必要な要素ばかりの実況解説が勝手に生まれていきます。


②"言葉を選ぼう"


語彙力とは別です。

聞き手に通じる言葉かどうか
誰かを揶揄するような言葉になってないかどうか

これらをほんのちょっと意識しましょう、という話です。

第2回で触れましたが、喋る時は視聴者の層を意識します。

たとえば、視聴者層が新規勢なのにゲームの専門用語カタカナをばんばん使って説明一つなかったらどうでしょう。

人間、聞き慣れない単語ばかりの話を聞いていると「置いてけぼりにされている」と感じるものです。これはいけません。

視聴者を置いてけぼりにしない方法とは?

事象を簡単な言葉に置き換えることです。ワンポイント説明を挟むことです。

例)
○スト6
「バーンアウト!体力下のリソースがなくなると攻められた時に一定時間反撃が難しくなり不利な状況になってしまうピンチだ!どう凌ぐのか?!」

○メルブラ
「ここで開放!守っている時に相手を追い返すゲームシステムを使って攻めを凌いだ!ここからどうする?!」

○ギルティ
「鋭い奇襲技にロマンキャンセル!溜まった下のゲージを使うとあらゆる行動をなかったことにして即再行動が可能になる動きで攻めを華麗にフォローしていきました!」

○GBVSR
「ここでブレイブカウンター!使用回数は限られているものの、相手の攻めを追い返しつつこちらの攻めのターンを狙える方法を採っていきました!」

○UNI
「起き上がりにチェインシフト!体の周りにオーラのようなエフェクトを纏っている時に使える、時を止めて状況を確認できる恩恵を使って相手の攻めをさばいていきました!」

こんな感じで一言挟めると、親切さと状況説明&解説を一気に果たせます。

逆に、視聴者層が玄人揃いだったり中級者のスキルアップを狙えるなら単語の説明ではなく分かる範囲(※第2回⑤)での戦略の説明や読み合いの解説に切り替えると良いでしょう。


また、「誰かを揶揄するような言葉になっていないか」。これは意図していない言葉のトラブル防止にもなる気をつけたいポイントです。

と言っても、次の点を意識すれば大丈夫です。

誰かと比べない
ミスを煽らない

・○○さんなら倒し切ってたなー ナド
(誰も得しないし、試合相手その人を観ていない失礼なセリフに捉えられます。思い描く理想があることと、それを誰かに当て嵌めて勝手に期待して勝手に失望することは違います。その人のできていることを常に評価して言葉にしましょう)

・あそこで落とすかー? ナド
(誰でもミスはします。特に大会では緊張もあります。そんなことはゲームに限らず変なことではありません。そこは「気持ちは分かる!頑張れ!」と応援に変えましょう)

見ている人が聞いて不快になるような言葉や観返した人が意気消沈するような言葉を避ければOK。ちなみにこれは配信時にも無意識に出てくる意識なので大会に限らず誰かに見られながら話す機会がある人は気をつけると悪いことが起きにくくなります。


③"配信コメントを拾うか拾わないか"


ちょっと悩ましい部分です。

ワンオペ運営実況解説配信とかになると余裕がなくてコメント追えないというのはあります。それは「コメントを拾わない」を「選んでいるわけではない」ので気にしないでいいです。

実況中、コメントを拾うと対戦画面への実況はおろそかになります。

かと言ってコメントを拾わないとわざわざコメントしてくれた人をスルーしてしまう形になってしまいます。

そういう時は以下の指針のどれかを大会ごとの自分の余裕で選択するといいです。

【A案】
頑張って拾えるだけ拾う。合間に実況をする

【B案】
「がんばれー!」「うおおお!!」みたいな応援やつい出た声のリアクションは読み上げず、それ以外の気になるコメントや質疑は拾っていく

【C案】
コメントは拾わない。その代わりコメント内容を意識した上で実況解説をする(こういうことが気になる人が観ているんだな、という指針にはする)

【D案(ABC案と複合可)】
合間や待ち時間にコメントを拾うが、準決勝・決勝などクライマックス場面では実況解説に専念してコメントを拾わない(流石に大事な決まり手をスルーして別方向の話をしてたら締まらない)

どっちつかずになるより、パターンを決めて臨みましょう。


④"オフラインと遅延の少ない設定のオンライン配信で気をつけたい、残り時間とリソースについて"


機会は少ないけれどオフラインの際と、遅延の少ない配信設定をしている場合に気をつけたいことがあります。

YoutubeやTwitchの配信では遅延でコメント欄とのズレも起きますが、適切な設定等で遅延が数秒程度で済むこともあります。こうなると特定の話題は対戦に影響が出る可能性があります。

それは、「残り時間とリソースについて」です。ここに関しては「ラウンド間や1戦が終わったあと以外では極力触れない」方針をオススメします。

対戦中、画面の一部にあまりに集中している、「リソース未確認による判断ミス」「残り時間に気づかず負けてるのに攻め損ねてタイムアップ」みたいなことは起きます。

これ、リアルタイムでマイク音が聞こえると片方に利する行為になりかねません。マイク役という第三者からの助言になりますから。

以下が起きうる事態です。

・自他で使えるリソースに気づいて戦略を見直して結果に影響が出てしまった。

・残り時間に気づいてなかったのに気づいて結果に影響が出てしまった。

実況のせいでゲーム結果に変化が起きることは避けたいですね。

これらを避けるために、「残り時間とリソースに対する過度な言及」は決着前はしない方が良いです。もちろん、決着後は解説ポイントに早変わりするので使い分けていきましょう。

ちょっとしたことですが、この辺無頓着でいるよりは頭の片隅に置いて喋れるとトラブル回避に繋がります。


⑤"水分補給・音量設定・音響設定"


番外編的な内容。

普通、1〜2時間喋りっぱなしだと喉にダメージが来ます。水分補給できるようにペットボトル飲料など用意しておくといいでしょう。

また、音量設定も大事です。

ゲーム音が大きくて実況の声が聞こえない。実況の声が小さすぎて聞こえない。ゲーム音と実況の声のバランスが悪くて聞いていられない。

配信に関してはこの辺が悪いと即ブラウザバックの対象です

・配信最初の方で別端末(PC配信してたら手元のスマホで小音でいいから再生して耳に当てたり)で確認する。

・事前に仮配信をURL限定で行い音量調整を済ませておく。

・上記のことをやった上で視聴者に音に関して要望あれば言ってくださいとお願いする。

この辺り、やる癖をつけるといいです。スマホで自分で音量確認してもPCからの聞こえ方は違ったりするのでやはり視聴者の方にチェックを呼びかけるのが良いです。

「音量オッケーです」みたいな何てことのないコメントも増えますから他の方も書き込みしやすくなる副次効果もあります。

併せて、音響関係、ノイズキャンセルやマイクの向きなども少し気にしてみるといいです。

おそらく皆さん使っているであろう配信ソフトOBSには簡単ノイズ抑制設定があるのでとりあえずコレをやっておきましょう。

音声のところ右クリックで出てくる「フィルタ」→「ノイズ抑制」→「RNNoise」など、何かしら設定してみましょう。この辺はGoogle検索でたくさん出てきます。

また、単純にマイク(性能差もあり)の位置によって拾う声の範囲や大きさも変わります。DiscordのマイクチェックやOBSでの録画機能を使ったりして普通に聞こえるかどうか一度は確認してみると良いかもしれません。

あとこれはレアケースかもですが、音は物がないと反響します。配信部屋に物が少ない人の声は反射してマイクが拾うこともあります。これも調べると出てきますが場合によっては音反射防止に安価な部屋アイテムを増やすのも手です。


-----おわりに-----


これにて全3回の【実況解説のコツ、ノウハウ伝授】についての話を終わります。

最後の回をまとめてみると、

水分用意して音チェックしたらコメント拾う頻度ざっくり決めて、話す際の切れ目では意識して口を噤むようにして時に分かりやすい言葉での状況説明をまぜよう

となります。

全3回を通すと説明量は多くなりましたが、気をつけるべきことの1つ1つは決して難しいことではありません

喋る機会が既にある人、喋れれば大会開きたいと思っていた人・マイク役を募集していたから喋れればチャレンジしてみたいと思っていた人。そういう方は是非「意識して」試してみてください。

プロのノウハウではありませんが、独特の積み重ねでもあるゲーセン流実況術。何かしらの形で残す機会はあっても良いのかなと書いてみました。

誰かに何かしらの形で役に立てば幸いです。

ご覧いただきありがとうございました。

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