Snowy 2023/09/20 01:12

森の国の姫

百年前、霊界の森の国の姫は、成人の儀式を終えてすぐ、隣国の王子に求婚された。
自分で判断すればいい、断っても構わない、と姫の父は言った。
彼女は本が好きだった。特に、隣国のあるベストセラー作家の本が好きだった。
隣国には男女の直接的な交流を避ける伝統があったが、それでも彼女は友人の手を借り、その作家と秘密裏に面会することができた。
彼女は、自分が求婚されていることを隠し、作家に思いを告げた。作家もその思いに応えた。
彼女は王子の求婚を断り、ほどなく作家と結婚した。
しかし、物語はこれで終わらない。
数年後、彼女は作家とともに人間の世界に人間として生まれ、人間の世界で結婚した。
ところが、妊娠して4か月後、彼女は自宅で流産してしまった。
次の転生時もやはり流産。彼女は霊界の親族や友人に相談し、妊娠できない体質を授かった。これで、二度と流産することはない。
数百年後の現在、彼女と作家は依然として夫婦である。しかし、彼女が母になったことはない。

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