甘口文庫 2024/08/16 03:53

2作目の振り返り Part2

あとがきのようなもの

【クロネコの三角】ヘタレOLと同人音声オフ会帰りのほろ酔いがっかり初体験


の制作についてのお話、Part2です。

スタッフロール

1作目 のヒロインは、御子柴泉さんにご担当いただきました。



表紙イラストはAIを使用するなど、基本的に一人で制作していましたが、今作はより多くの方にご協力いただきましたので、改めてご紹介も兼ねて、制作について振り返りたいと思います。


●イラスト:yizumiさん

※yizumiさんのサークル「ネガティブギャング」はこちらから。


今作の企画の方向性を決定したとき、最初にご依頼したいと思ったのがyizumiさんでした。yizumiさんは長く漫画やADVゲームを制作されていて、私も「風雲相討学園フラット」の頃からのファンでした。

声優さんもそうですが、ずっと画面のこちら側から応援するだけだった存在の方にお仕事を依頼できるということは、やはり同人活動の醍醐味ですし、感慨深いですね。


人の造りしもの

さて、最初にヒロインのラフを3パターンいただいたのですが、ここで今更ながら、自分でキャラクターの容姿を決定する緊張感を味わうことになります。

AIで作る場合はいつでも何度でも作り直せる気楽さがありますが、半面、「これでいくんだ」「ヒロインはこういう顔をしているんだ」という重みが弱くなります。結果として、作り手の中でキャラクター像がはっきりせず、作りこみが甘くなり、「AIのキャラは深みがない」という感覚がユーザー側に起きやすくなる…のかもしれません(1作目のヒロインは外観が交換可能なアンドロイドという設定なのでセーフ)。


ヒロイン、賀藤ユキはどういう人間なのか……?
当初は、甘さや弱さを抱えた、ふつうの若者としてある程度の人物像をとらえていたつもりでしたが、いただいたラフにどのようなフィードバックを返すべきか散々に悩むうちに、どんな服を着て、どんな髪型をして、どんな部屋に住んでいるか、というキャラ造形の基本とも言うべき要素に思い至り、以下の点を意識することにしました。

  • 正統派ヒロインになり過ぎない。
  • 「良い女」「大人の女」になり過ぎない。
  • 子供っぽくなり過ぎない。
  • 高級感が出過ぎない。


脚ふっと…

ファストファッションである程度見られる服装をしているものの、中身はさほどアップデートされていない程度のおしゃれ感。ベタベタにダサいわけではないが、ちょっと芋っぽい……。キャラクターとしては、実にくっきりはっきりしたところのない、立たせるのが難しそうな人物像です。

農作業で鍛えられた下半身が太ましいという設定はあるものの、巨乳ではない、成人しているがお色気ムンムンではない、クール系でもキャピキャピ系でも真面目系でもない……、と特徴らしい特徴の無い、無い無い尽くしのようですが、逆に「紋切型ではない、現実にどこかにいて、なおかつ手の届きそうな親近感のある人物像」ともいえます。




テーブルを動かす音が下の階に響かないよう気を付けています。

メインイラストは当初、モチーフの類似した作品のジャケットをいくつか参考にして、胡坐をかいたポーズでご依頼していましたが、改めて彼女のパーソナリティを考えた際、やや攻めすぎた感があったため、ラフを丸ごと描き直していただくという蛮行を働いてしまいました。

最終的に、体全体をフレームに収めつつ、いじらしい表情と、夕陽の差し込む甘いムード漂う部屋の様子が合わさった、素敵なカットに仕上げていただきました。ユキはシナリオ上、ちょっとだけ可哀想な目に遭うのですが、あんまりかわいく出来上がってしまったので、妙に罪悪感を感じてしまいました。



●デザイン:一色リオさん

※一色リオさんのXアカウントはこちら



1作目のジャケット、再度登場。

軌跡の価値は


1作目のジャケットは、フォントをやたら滅多にいじくり回して作っています。8パターンほどロゴ案を作った挙句、全体を文字で埋め尽くすデザインになりました。ゴチャゴチャやっているのはそれはそれで楽しいのですが、いかんせん素人仕事のため、時間がずいぶんかかってしまいました。



今作では、似たようなモチーフや雰囲気の音声作品のジャケットを探してクレジットを確認するうち、一色リオさんに辿り着いたのですが、やはり同様に、いったんは自分でデザインを試行して、ご依頼するための方向性を決めることにしました。


一応、パロディ元に寄せたミステリアスなロゴも作ってはみたものの……。


メインタイトルの「クロネコの三角」は、森博嗣さんの「黒猫の三角」をもじっています。シナリオを8割がた書いた段階で、ネコをモチーフにした小説や映画を探した時、登場人物の関係性やシナリオの展開なども含めて、ぴったりだと感じ、引用元とすることにしました。

もっとも、こうした小説や映画をモチーフにするという作り方も、あくまで自己満足でしかないため、かえって取っつきづらさを感じさせる要因にもなりえるでしょう。

前回の記事で「股間が反応する単語がタイトルに含まれていない」と書きましたが、「クロネコの三角」という謎の文字列もまた、独りよがりな、自分の世界に酔っている印象が感じられそうです。


ジャケットデザインをご依頼する際も、説明資料を作っていて思いました。
”クロネコの三角”って妙に意味ありげで、タイトルっていうよりサークル名に見えるな……?
ユーザーがじゃぶじゃぶ課金したくなるような射幸心を煽りまくる説明文章……ではなくとも購買意欲を掻き立てるキャッチコピーの方がいいんじゃないか……?













でもこういうのが好きなので入れました。




完成稿です。美しい……。

表紙をいただいた時は「ああ、こういう作品だったのか」と再発見する思いでした。やはり自分でさんざん試行錯誤した後なので、有難みもひとしおです



●賀藤ユキ役:乙倉ゅいさん

※乙倉ゅいさんのlist.linkはこちら


百人目の適格者


今回お仕事をご依頼する方を探す中で、最も難航したのがユキのキャスティングでした。通常、多くの声優さんはメ○ガキ、陰キャ、ロリ、ツンデレ、お姉さん、ダウナー……など、ある種典型的なキャラクターのサンプルを用意されています。

しかし、先述したように、ヒロインの賀藤ユキは一言では言い表しづらいキャラクターなので、丁度いいボイスサンプルが見つからない問題が発生してしまいます。そうかといって、声優さんに手当たり次第にサンプルの提出をご依頼するわけにはいきません。


ここでもデザインの時と同様、完成形を想像する力が弱いため、ある程度時間を使って、ユキはどういう声で、どんな風に話すのか、改めてイメージを固めることになりました。

ひとまず、100人ほどの声優さんのサンプルボイスを聴き比べます。さらに、イメージに近そうな声質で絞った中から、ユキに性格が近そうなキャラでの出演作品をチェックし……最終的に、乙倉さんにご依頼することになりました。


この流れで、何となく大手の声優事務所さんの場合はどのようなサンプルがあるのか調べてみたのですが、セリフのパターンやナレーションを置いている場合もあれば、全くサンプルが無いこともけっこうありました。
制作サイドがホームページを見て直接依頼するというより、オーディションや、事務所に選定を任せるケースが多いためかもしれません。
ちなみに、調べていた中で特に面白かったのが、幸田直子さんのボイスサンプルです(すでに退所済みのためアーカイブ)


乙倉さんに演じていただいたボイスには、ユキの弱さ、甘さ、愚かさ、そして愛らしさがたっぷり詰まっていました。シナリオを書いている段階では、こんなグズグズした会話ばかりしていて大丈夫かと心配になりましたが、「ああ、ちゃんとヒロインになってる……」とホッとしました。




●シロネコ屋役:まさきふぁんさん

※まさきふぁんさんのHPはこちら


見知った、天丼



黒猫堂(ユーザー)とシロネコ屋。

ユキがわかりづらいキャラなら、シロネコ屋はもう少しわかりやすい、いわゆる「エッチなお姉さん」です。

オフ会をネタにするなら、やっぱりこういう出会いを期待しちゃうよね、ということで、音声作品らしい、テキパキと色っぽい流れに持っていってくれるありがたい美女とのやり取りののち、妙にたどたどしく喋るイケてない女(ユキ)とのグダグダな会話の落差を作るため、企画されました。

と言いつつも、誰彼構わず発情しているわけではなく、オフ会会場でそれなりに適当な相手を見定めつつ、不意にボロンと色気を出してくるタイプのため、あくまでもベースは常識的で社交的な女性です。


簡単なプロットとキャラ設定ができあがったところで、このヒロインはまさきふぁんさんにお願いしたいと決めていました。「サークル主で声優としても活動している」という設定で妙に生々しさが出てしまうのですが、それとは関係なく、単に昔から作品やボイスブログを聴いていたため、ナチュラルなお喋りからお色気ムードに転じる様子が容易にイメージできたので、真っ先に思い浮かびました。

珍しく完成形が想像しやすいキャラとなりましたが、どうせならもう少し動いてほしい、出番が作りたい、と思って改稿しているうち、シナリオをきな臭い方向に狂わせるキーパーソンになっていました。


ところで、前作から購入していただいた方はお気づきかもしれませんが、私はMGS、メタルギアソリッドが好きです。中でも「ストーリーの最後の無線会話で軽くどんでん返しをする」演出にはいつも痺れていました。

せっかく自分でシナリオを書くのならと、前作・今作にも、それに類する演出を行っていますが、自己満足の感が強いなぁと思っています。というのも、音声作品は映画やマンガと違い、部分的な鑑賞が可能だからです。


耳かき作品はもちろん、プレイ中心のR18作品でも、ある程度ストーリーが存在する上で、メインのプレイを行うトラックがあるはずです。しかし、実際に最初から最後まで順番にトラックを聴く人は、作り手が期待するほど多くないのでは、と思います。

1日のうちで限られた時間、タイミングで音声作品を聴くとき、初めて聴く作品であっても、その作品を買う「主目的のトラック」を真っ先に聴く。翌日はその続きを聴くのではなく、別の作品の「主目的のトラック」を聴く……。そんなスタイルが想像されます。


エピローグを膨らませている間も、やはり悩みました。
最後まで聴いてもらえるかどうかもわからないのに、エピローグにストーリーの比重を置くのはまずいんじゃないか……?
トラックを細かく分けなければ無理やり全部聞かせられるんじゃ……導入部分を飛ばした人には話が伝わらないんじゃないか……?













でもこういうのが好きなので入れました。




というわけでまさきふぁんさんには、うっかり鼻の下を伸ばしてついて行ったらスパイシーな展開になってしまいそうな、むしろわかっていてもやっぱりついて行きたくなるような、危険なムードをまとうお姉さんを演じていただきました。

制作の裏テーマとして、これまであまり聴いたことがないような作品にしたかったのですが、そのためのキーポイントとなるキャラがしっかり存在感を放っていて、「良かった、ちゃんとエッチだ……」と謎の感動がありました。




終わりに

振り返り記事とはいっても、発売から1か月以上経っていていつまで振り返ってるんだという気もしますし、ましてやPart2ですから何回振り返れば気が済むんだという感じですが、これにて完結です。







……と思いましたが、サムネイルの画像について触れ忘れていました。



お気づきの方もいるかもしれませんが、CLASSY.さんの誌面のパロディです。

最初は単なるパロディだったのですが、最近板タブを買ったので、何となくユキの寝姿を書き足してみました。オフ会前夜の彼女は、甘い展開を夢見ていたのかもしれません。甘いですね。

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