日本すらいむ昔話 つづき
お話の裏側?
さて、続きの方まで来ていただきありがとうございます。
こちらのお話、気が付かれた方もいますでしょうが、「裏」があります。
それでは答え合わせと行きましょう。
まず、老人。こちらなのですが、正体はよくわかりません。ただ、人に仇成すモノであることは確かでしょう。老人は、スライムが化け物であると言っています。そう、力が理から外れたモノは、人々にとってはどのような性格をしていようが化け物であると言外に行っているのです。
そしてそんな生き物を、わざわざ人間にすることで、人目の付く場所まで誘導しているのです。
次に、村外れの人間。簡単に言えば、村八分にされた一人っ子だ。この人間は、親を失った浮浪児です。
そんな人間を、村内部で養うことができなかった。だから、魔物がひしめくといわれている山の近くに家を建てて、そこに住まわせ、都度都度村に山の状態を報告させることで、村の恩恵を少しだけ受けられる、といったところでしょうか。
最後に、戦の戦果。これは実は大将首をとった……とかではなく、「スライム」を討伐したからです。
敵は全滅させました。「スライム」が。しかしこれをこちら側の大将が恐れたのです。
不意打ちなら殺せる。そう思った自陣大将が、ずっとそばにいた「人間」に、命じました。
「人間」は迷いました。迷って迷って迷った末に、「殺したことにして逃がそう」としたのです。「人間」はすべてを「スライム」に話しました。そしてふたり頷きあって、別れを告げようとしたのです。しかし、そんなちんけな考えは上に筒抜けでした。ふたりは縄で縛られることとなりました。
「この化け物を、おまえがその手で殺せば解放しよう。そして褒章もやろうではないか」
そう「人間」に問いかけます。
スライムは考えました。
(わしが逃げればこやつが死ぬ。ふたりにげてもこやつのいた村人が全員死ぬ。致し方ないか。)
「童、わしを殺せ。それが一番丸く収まる。」
「……ッ」
スライムはどうしようもなく優しかったのです。
その結果として、「人間」は「スライム」を殺し、そして副産物として「スライム」としての力を得ました。
そして、約束は守られました。
その後、「人間」は自身のことをスライムの亜種であると言い、かのスライムを敬い、名前を「すらいむ」と変え、スライムのいた森と、村を、永遠に守り続けました。
というのがあらましです。
さてさて昔話とは暗喩が多い物でありますが、どこまでが本当でどこまでが嘘なんでしょうね。
画面の向こう側のあなた方は、どう思います?