藤島 港/猫と心中 2023/12/28 23:53

ゲ制JAMに挑戦しました!&『捻くれ神の神託所』制作よもやま話

2023年10月28日~11月5日にかけて開催されたゲーム制作企画「ゲ制JAM」にて、掌編ノベルゲーム『捻くれ神の神託所』を制作&リリースしました! その振り返り記事です。

「ゲ制JAM」とは、ふりーむ!さんによるゲームジャムの簡易版のような企画です。
詳細はこちらのTwitter(X)のポストをご覧下さい。
https://twitter.com/FreemGames/status/1717919096023441447?s=20

※「そもそもゲームジャムとは何ぞや」という方はこちらのウィキペディアの記事をどうぞ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ゲームジャム

ということで、今回はゲームの中身の話より、ゲームジャムという「限られた時間の中で制作すること」に関する話が多いです。
ネタバレと言うほどのこともありませんが、今後『捻くれ神の神託所』をプレイ予定の方は一応お気をつけあれ!

「最初からクライマックス」感が思った以上に楽しかった話

ゲームジャム最大の特徴、制限時間! これが自分は思った以上に楽しめました。今回のゲ制JAMでは9日間と設定されていたので、シナリオに1日、キャラデザと立ち絵に2日、タイトル画面絵に2日……と何となくの予定を立てていましたが、まあ全然予定通りにいきませんでしたね。予定通りにいかないことがある意味予定通りですが……(笑)
時間をかけられないことは最初からわかっているので、細かい作り込みや調整は後回しにしてまず最低限プレイできる形に持っていくことを優先すべし、と思っていたのですが、いざやり始めたら結局一つ一つのことを納得いくまでやってしまっていました。以前から自覚はありましたが、自分は「ざっくり全体像を作る」類のことが苦手なようです。苦手というか、これだけ時間の制限があり予め心構えをしていてもこの結果ということは、苦手を通り越してもはやできないんだなと。なら、自分の納得のいくところになるべく早くたどり着けるようになるしかない! とある意味踏ん切りがつきました。こういう気づきを得られたのも収穫だったなと思います。
ただ、楽しめたとは言えやはり時間との戦いでだいぶ睡眠時間を犠牲にして完成までこぎつけたので、しょっちゅうこんなことをしていたら体を壊すな……とも思いました。前回の記事で少し触れましたが、6月に心身の調子を崩して数ヶ月創作活動に手をつけられないという経験をしたあとだったので、尚更それを強く感じました。
やっている最中は眠いとは思えどしんどいとはあまり思わないというかむしろ楽しいくらいなのが厄介なんですが……デスマーチは短期間かつたまーにであればこそ許される行いだと肝に銘じたいと思います。健康を損なったらできるはずのこともできなくなるのだ……!

スクリプト面でやり残したこと・次作以降へ持ち越したことが多かった話

「ここはもっとこうすべきだったかな」「こうしたかったけど今の自分のスキルでは無理だった」と思うことは毎回ありますが、今回は初めてのRen'Pyでの制作&時間の制約が大きかったため、心残りに思うことが多々あります。一応この記事を書いている2023年12月28日時点で不具合の報告はないので大きな問題なく遊べるものになっていると思いますが、細かい挙動など「こうしたいけどそれを実現するにはどうしたらいいか」を時間をかけて調べたり試行錯誤することができませんでした。使い慣れたツールならまた話は違ったかもしれませんが、今回はRen'Pyの使用感を掴みたいという目的もあったので、本格的に『マスキングフラワー』のスクリプト作業に入る前に何が課題かを認識できたのは大きな収穫です。
あとは「なんかいろいろやってたらできたけど何故できたのかはわかってない」現象もちらほらあるのでそれも今後どうにかしないと……Ren'Pyくんと仲良くなれるのはまだまだ先のようです。

機会を掴むことは大事だと思った話

今回制作した『捻くれ神の神託所』は、例の「いつか作るやつリスト」にあったネタの中から、ゲ制ジャムのお題「最強」に沿えそうかつ期間内で完成させられそうな規模のもの、と考えて選びました。作ることを決めるまでは何となーくぼんやりと「未来がわかる神の悲哀」みたいなものを描きたいなーと考えていた程度で、具体的なことはほとんど決めていなかったので、この機会がなければこうして形になるのは何年も先になっただろうなあと思います。
今回のゲ制JAMは開催期間が第5回ビジュアルノベルオンリーに近かったこともあり、当初は「やってみたい気持ちはあるけど、そんな余裕はないかも」と思っていたのですが、できたらやりたい、と思ったことでビジュアルノベルオンリーに向けた作業も集中して進めることができ、ゲ制JAMに挑戦する余裕ができました。ゲ制JAMのことがなければだらだら作業していただけでしょうし、こうした機会を積極的に掴んでいくことは、自分に発破をかける意味で大事だなと思いました。
『マスキングフラワー』の制作中なのに別の作品に時間を割くのはどうなのかという気持ちもなくはなかったのですが、こうして1つ作品を完成させられたことで「よっしゃマスフラもやったるでえ~!」とマスフラへのモチベーションもぐんと上がったので、制作期間の長い作品の合間に規模の小さな別の作品を作ることは、長い制作期間中のモチベーション維持にも繋がるなと思いました。人によると思うので自分の場合は、ですが。
ただ、こうした別件を入れすぎてそちらに時間をとられすぎることになっては本末転倒なので、自分のキャパとモチベーションとのバランスを考えた上で上手く機会を活用していきたいと思います。

短い作中で「見せること」と「見せないこと」どちらも大事だと思った話

今作はとても短い掌編なので、必然的に描けるものの量が限られてくるのですが、これもいい経験になりました。と言うのも、自分は作中で全部を説明しようとしてしまっていろいろとくどくなるのが悪い癖だと思っていまして……。世界観や人物像など、せっかく考えてあるのだから全部見せたい! と思ってしまいがちなんですが、すべてを見せればいいというわけではないんですよね。
受け取り手としてはわからないことが多すぎるといまいち話に入り込めないのは当然なんですが、かと言って全部をつぶさに説明されてしまうと解釈の余地がなくなるのでそれはそれで受け取り手と作品との間が断絶されてしまって入り込めない……ということになるので、「見せること」も大事だし「見せないこと」も同じくらい大事だな、と。その「見せないこと」が自分は苦手なので、今回は時間に大きな制約があったからこそ、意識的に「これは作中に盛り込むべきか否か」を考えることができていいトレーニングになりました。
「何を見せて何を見せないか」という視点は、今後も持ち続けたいです。

時間がないので好みがストレートに出た話

普段から自分の作りたいものを自分の作りたいように作っているだけではありますが、今回はいろいろと吟味する時間があまりなかったこともあり、いつも以上に自分の好みがストレートに出ている気がします。近代日本っぽい世界観に、神様とその眷属という空想的な存在、やる気のないイケメン(顔わからないけど)、主人公が癖のあるキャラに振り回される、などなど……藤島好物プレートみたいなことになっているだけあって、迷いなく自分の好きなものを形にできたのは楽しかったです。
そもそも自分の創作の原点は「100%自分好みの作品は世の中になかなかない、なら自分で作ったれ」なので、原点に立ち返るという意味でもいい機会になったなあと思います。
とは言ったものの過去の作品を思い返してみるとやはりどれも自分の「好き」に全振りしているので、大差ないかもしれないです……(笑)


ということで、ゲ制JAM&『捻くれ神の神託所』の制作振り返り記事でした!
普段と違う条件での制作に挑戦したことで、得るものがたくさんありとても有意義な経験となりました。

では最後に、サムネ用に描いたイズクのサイズ大きめの絵を置いておきます。
最後までお読み下さりありがとうございました! 藤島でした~。


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