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2021年 07月の記事 (5)

よしかずちゃん 2021/07/31 15:33

リディの物語 -Ⅲ.人間界編-

LINK: 目次>「Ⅰ.卵~幼獣編」>「Ⅱ.成獣編」>「Ⅲ.人間界編」




学園到着


レヴィモワール学園は四方を幻獣の森に囲まれた大きな魔法学校だ。厳しい森を抜け、ついに学園に着いたリディだったが――……、

「り、りでぃ〜〜!!?」

学園の敷地内に入った瞬間、魔法の箒は効力を失い地面へ向かって急降下!


このままでは地面に激突してしまう!恐怖で目を瞑ったその時――……、

『フェリスタ!』

次の瞬間、ぴたりと箒が止まった。どうやら誰かが制止の呪文を使ってリディを助けてくれたらしい。
……さて、リディを助けてくれたのは?


「リディの物語」3人の攻略対象



ターゲット選択

生涯一人の相手しか愛さないと言われるロマンチックのルクスリア・リディの
攻略相手のアンケートです。


ターゲットたちの正体

これはアンケート結果が出るまで伏せていた情報です。
アンケート時は「この中に一人だけルクスリアが紛れています」という出し方をしていましたが、今思えばこの情報も出した上でアンケートした方がよかったな……と思いつつ。




潔癖のキスマーク


(※)「淫獣Luxuria」はルクスリアごとに個別ストーリーを用意しているオムニバス形式のような作品なので、各CP(ルクスリア×ターゲットの人間)ごとに作品タイトルがついています。
リディの攻略対象B・ルナクレシス教授ルートのタイトルは「潔癖のキスマーク」でした。


「お怪我はありませんか、お嬢さん?」
リディを助けたのは美しい男だった。すらりと伸びた背に流れる純白の髪は艶やかな上質の絹糸のようで、透き通るようなパールブルーの瞳を細めて微笑んでいる。

獣のリディには人間の美醜はぴんとこないが、それでもほのかに、添えられた指先が熱をもった。
はっとして、リディは考えた。――こういうとき、なんていうんだっけ?


「あっ、ありがっと…」
たどたどしいリディの言葉に男は口角をあげた。
その微笑は完璧なまでに美しく、まるで作り物の仮面のようでもあった。

無事地面につくと、男は意味深な言葉を付け足した。
「ここは危険な場所ですよ、お嬢さん。早く去るのが賢明です」
男はリディの返事を待たずくるりとローブをひるがえし、忽然と消え去った。

男が消えたあとも、リディはしばらくその場に立ちすくんでいた。その膝は恐怖に怯える子供のように小さく震え、しかしその瞳は宝物を見つけた少女のように輝いていた。
リディは初めて見たのだ、あんなにも――……


リディは初めて見たのだ。あんなにも美しい生き物を。
きらきら光るリベラの実より、透きとおるクシュの湖より、ずっときれいな、なんのまじりけもない生き物を……。
――リディの小さな胸の中で、魔力を欲しがる真っ赤な心臓が激しく鼓動した。


黒い魔力を持つ女


まるで熱に浮かされているような、楽しい夢をみているような、なんとも言えない感覚に戸惑いながら、リディはしばらくその場に立ち尽くしていた。
……と、その時。

『そこのヤツ、頭よけろよ!!』

誰かの声とともに、バットとボールのえげつない打撃音がリディの耳をかすめた。


「怪我ないか!?」
声の主は赤毛の女だった。健康的に焼けた肌に猫のように大きな瞳がいたずらそうに光っている。
「ったく、こんなとこでぼけっとしてんなよな!ここはフライベース部の遊び場だぞ」
荒っぽい言葉使いだが、その明るい声音はどことなく優しげな響きを含んでいた。


リディはその女を見て先ほどの男とは真逆の印象を受けた。
男は恐ろしいほど潔白なオーラをまとっていたが、女のそれは潔白とは程遠い。まるでどす黒い暗闇が身体中にまとわりついているかのようだった。そして不思議なことに、その暗闇はなぜかリディには親しみやすく感じられた。


「ん? お前……」
女の方も何かを感じたらしく、その大きな瞳でしげしげとリディを観察し、ややあって大きなため息を吐いた。
「おいおい、またルクスリアが来たのかよー。この学園も終わりだな」
「りっ!?」
リディは驚いた!なんと突然自分の正体がバレてしまったのだ!


『人間に正体がバレたら魔法警察に殺されるよ……』

ノエルの恐ろしい忠告がこだまする――……リディは必死に首をふった。
「リディ、なんにも、しらないよッ!」
「大丈夫、大丈夫。とりあえずデコの模様隠せな?」
「ハ!?」
リディはまた驚いた!いつのまにか変身がとけていたのだ!


「レベッカー!早く戻ってこいよ!」
その時、遠くの空から人間の集団が声をあげた。どうやらこの女を呼んでいるようだ。
「オレ用事思い出したから今日はこれで抜けるー!ごめんなー!」
女はあっさり人間たちの誘いを断ると、ブーイングの嵐を無視して再びリディに振り返った。


「オレはレベッカ。お前の名前は?」
「り、り……!」
額を隠し震えるリディを見て、レベッカは白い歯を見せて明るく笑った。
「安心しろよ。お前の正体をばらしやしないって」
そう言いながらパチンと指をならすと、次の瞬間、リディの額から模様が消えた。


「な?」
レベッカの屈託ない笑顔はリディの疑心と不安をほぐしてくれた。
この女が何者かは分からないが、リディはこの人間を信用することにした。
「リディは、リディ……」
「リディはこの学園に一人で来たのか?」
「リディ、ノエルにつれてきてもらった!」
「ノエル……?」


ノエルの名を伝えた瞬間、レベッカの笑顔が曇った。
「……なるほどな。あいつの知り合いか」
「れべっか、ノエル、しってる!?」
「この学園でオレの知らないやつはいねぇよ」
目を輝かせるリディにレベッカはやや自嘲気味に答えた。
「! それなら――……」

リディは思った。レベッカなら、あの人間のことを知っているかもしれないと。
「れべっか!リディ、さがしてる人間いる!」
「探してる人間?どんなヤツだ?」
――リディは困ってしまった。あの人間の特徴を伝えたいが、なんて伝えたらいいのだろう?



……そうだ。あの人間は一点の穢れもない純白のオーラに包まれていた。
「しろいの!!」
リディは元気よく答えたが、レベッカは困ったように顔をしかめた。
「白いのって…適当すぎだろ。もっと他にないのか?例えば性別とか」
「せいべつ?」
「男か女か。どっちだった?」

「おっ、」――”男”と言いかけて、リディは考えた。
あの人間は本当に男だったろうか?……正直女のようにも見えた。
ノエルは胸がある方が女だと言っていたが、昔ヴェガから聞いた話では胸のない女も多いという。
――さて、あの人間はどっちだろう?



「たぶん、男!」
「たぶんってなんだよ!?」
「しろいの、たてがみ長い!女みたいだけど、たぶん、男!」
「……! オイ待てよ、長髪で女みたいだけど男で白いのってまさか……! い、いや、そんなまさかな……」
「リディ、またしろいのに会いたい!れべっか、たすけて!」


「助けてっつったって……!」
(あーもー!コイツは本当に成獣なのか!?あまりにも頼りねーっつーか、危なっかしいっつーか、こんなんじゃ人間を誘惑するどころか正体見破られて殺されるのがオチだぞ!こんなのを一人で学園によこしやがって、ノエルの野郎……っ!)


「でもここがルクスリアだらけになったのはオレの責任だし……死なれても後味悪いし……はぁ、しょーがねぇ。面倒みてやるよ」
「れべっか、しろいの探してくれる!?」
「でもお前の雑な情報じゃらちがあかねぇからなー。スペルヴィアのとこ行って記憶花でも貰いに行くか」


スペルヴィアとは、たしかノエルのターゲットの名だ。植物学者の彼はこの学園で魔法植物学の教師をしていると聞いた。レベッカは本当に学園のことをなんでも知っているらしい!
レベッカが何者かも知らず、リディはすっかりレベッカに信頼を寄せていた。


「リディ、れべっか、すきー!」
「単純なヤツだなぁ……」
リディはレベッカの手をつなぎ、ともにレヴィモワール学園の中へと入って行った。


学園の中へ

「記憶花ってのは頭ん中の記憶を具現化させる花なんだ。幻覚系の植物だから人間には使っちゃダメなんだけど、お前は人間じゃないしイケるだろ」
レベッカの説明は右耳から左耳。リディは初めて見る魔法学園の景色にすっかり魅せられていた。

「スペルヴィアの教室は地下階の奥にあるんだ」
そう言って階下へ案内しようとするレベッカだが、リディはきらきらと輝く階上のステンドグラスに気を取られていた。


リディの物語はここまでです。
ここから、
・階上へ行く(レオン&ミシェル)
・階下へ行く(ノエル&スペルヴィア)
でアンケートをとりストーリー分岐する予定でした。

ツイッターで更新していた「リディの物語」ですが、ツイッターは1ツイート140字という文字数制限があったため、お話が進み内容が複雑化するにつれてたった140字分のストーリーに必ず一枚絵を描かなければならないスタイルが厳しくなっていき、もういっそノベルゲームにしちゃおう!と思い、ツイッターでの更新は途中で終了となりました。

そのゲーム化計画も色々あってお蔵入りになってしまったのですが、今またゆっくりと制作再開しているところなので、いつかこの物語をゲームの形で完結させたいなと思っています。

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よしかずちゃん 2021/07/31 08:28

リディの物語 -Ⅱ.成獣編-

LINK: 目次>「Ⅰ.卵~幼獣編」>「Ⅱ.成獣編」>「Ⅲ.人間界編」




成獣期


卵期~幼獣期までのアンケート結果
卵期
  • 品種:ロマンチック
  • 体の灰色:薄め
  • 模様のピンク色:薄め
  • 羽の色:黄色
幼獣期
  • 名前:リディ
  • 体型:♀寄り
  • 一人称:リディ
  • 性格:おっとり照れ屋
  • 胸:美乳
  • 男性器:しょたちん
  • 髪型:ふんわりボブ
  • 仲良しのルクスリア:ナイト
  • 角の形:カシミアモデル


旅立ちの崖


 成獣となったリディは、生まれ育ったポルネリア島を出て人間界・アトランジュへ旅立とうとしていた。
 ……しかし、なかなか島の外へ出ようとしない。
 きっと不安なのだろう。なんせ島の外へ出るのは今日が初めてなのだ。


 ルクスリアは成獣になると人間の姿に変身する能力を身につけ、人間を誘惑し魔力を奪う。
 しかしナイトから教わった話では、人間たちはなかなか賢く簡単に性交に応じない者も多いという。それに、人間界の森には恐ろしいユニコーンも棲んでいるらしい。

 たった一匹で人間界へ行くなんて怖すぎる……。しかし幼獣期によく世話を焼いてくれたナイトたちはもう島を出てしまったし、リディには他に頼れる仲間もいなかった。
 不安と焦りが募る中、目の前に一匹のルクスリアが現れた。それは――……、

旅立ちのパートナーとなる先輩ルクスリアを選ぶアンケート





もう一匹のロマンチック・ノエル


 リディの目の前に現れたのは、くすんだ灰色の肌を持つルクスリアだった。
 くすんだ肌とは対照的な鮮やかなセルリアンブルーの羽を広げ、紫がかった銀の長い髪をなびかせている。


 初めて自分と同じ灰色の肌を見たリディはとても驚いたが、すぐナイトたちの話を思い出した。
 人間界には、自分と同じ灰色の肌を持つロマンチックがいる。そのロマンチックはナイトたちと同じ時期に生まれた――……、

 「のっ……のえる!!」


 「リディ、しってる!キミ、のえる!」
 名前を呼ばれたノエルはゆっくりと振り返った。
 「……君か」
 どうやらノエルの方もリディのことを知っているようだ。
 しかしノエルは興味なさげに背を向けると、そのまま島の中へ入って行った。
 「ま、まって!」


 リディはノエルを追いかけた。
 話しかける勇気はないので木の陰に隠れこっそり後をつけた。どうやら、ノエルは島に生えている植物を採集しているらしい。

 「……君も何か持って行ったら」

 「っ!!」
 ……リディが後をつけていたのはバレバレだったようだ。


 「君はこれから人間界へ行くんだろう。この島の植物は人間にも使えるから、好きなのを持って行くといい」
 「……!うん!リディ、植物もってく!」
 ノエルに話しかけてもらえて嬉しくなったリディは、ノエルの隣にくっついてうきうきと植物を探しはじめた。

人間界へもっていく植物を選ぶアンケート



 リディはリベラの実をとった!
 リディはまだこの実を食べたことがないのでどんな味かは分からないが、とっても綺麗なので、人間にあげたらきっと喜んでくれることだろう。


 植物を採り終えた二匹は再び崖へ出た。

 「……行く場所は決めてるの?」

一度話しかけてしまってからというものずっと自分の後をついてくるリディを見かねて、ノエルがたずねた。
 「が、学校っ!リディ、ナイトと約束したのっ!」
 「ナイトと……?」


 ナイトは一年前島を出たが、別れ際にリディにきつく言い残したことがある。
 『娼館は行くな』と『とりあえず学園へ行け』だ。

 「そう……ナイトは君が心配なんだね」
 「ナイトやさしい!リディ、ナイトすき!」
 「……君をこのまま置いて行ったら彼に叱られそうだな」


 「……仕方ない。僕も学園に用があるし、学園まで一緒に行こうか。リディ」
 「っ……!!!うん!! リディ、ノエルといっしょにいくっ!!」 
 旅立ちのパートナーができて、リディは心から喜んだ。

 「確認だけど、変身はできるよね?僕たちルクスリアは人間の法律で禁止魔獣に指定されてる。その姿のまま人間界に降りたら警察に捕まって殺されるよ」
 「だいじょうぶ!リディ、変身できる!」
 元気よく答えたが、リディは変身が苦手で人間姿のレパートリーはまだ1つしかなかった。

人間界でのリディの姿を選ぶアンケート




 「リディ、女の子なれる!」
 「……男性器が隠れてないよ、リディ」
 「あっ!」
 「あと服も着た方がいい。別の意味で警察に捕まる」
 「ふく?」
 「……君は勉強すべきことがたくさんありそうだね」
 ノエルは前途多難な旅立ちに深いため息を吐いた。



はじめての人間界


 人間界に着いたリディは、ノエルが魔法で出した箒に乗って魔法学校・レヴィモワール学園に向かっていた。ノエルが言うに、ルクスリアは人間から奪った魔力を使うことで人間と同じように魔法を使えるらしい。
 「僕が教えたことを忘れてはいけないよ、リディ 」


 人間界への道中、ノエルは人間の生態や国の法律、学園内での行動の仕方など、人間界で生きる上で必要なことを全てリディに教え込んでいた。
 おかげでリディのちっぽけな頭は破裂寸前で初めての人間界に感動している余裕もなかった。

 「最後にもう一つ」
 「り、りでぃ……!」


 「学園には僕以外にもルクスリアが居着いてる。くれぐれも彼らのターゲットを横取りしないことだ。レオンは昔ヴェガのターゲットに手を出して怒った彼に殺されかけた」
 「り…!?」
 「言っておくけど僕は君が死にかけても助けないからね。人の物を取る方が悪いのだから」


 言い終えると、ノエルは箒に呪文をかけた。
 「先に行くよ。君はこのまま箒に乗って学園へお行き」
 「ノエル、行っちゃうの!?」
 「魔力を温存してるんだ。これはスペルヴィアからもらったものだから。
 ……今日は少し使いすぎた」


 スペルヴィアとはノエルのターゲットの名だ。彼は学園で教鞭をとる植物学者で、ノエルは彼の研究を手伝うために島の植物を採集していたらしい。

 「僕はいずれ彼の卵を産んで死ぬ。
 ……でも今はもう少し一緒に生きていたい。だから魔力は大事にしなくちゃ」


「君も、この人なら殺してもいいと思えるほど愛せる人を見つけるんだよ、リディ。
 ――さよなら」


 次に目を開くと、もうノエルの姿はなかった。
 リディはノエルがくれた学園行きの箒に乗って、一人レヴィモワール学園を目指したのだった。

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よしかずちゃん 2021/07/28 09:46

リディの物語 目次

Luxuriaシリーズの本編と呼べるものが「リディの物語」になります。

もとはtwitterの画像投稿機能&最大文字数140字を使って1ツイート=1ページになるよう更新していたWEB絵本のようなもので、ストーリー分岐はtwitterのアンケート機能を用いてリアルタイムで制作していました。
簡単に言うとtwitter上のノベルゲームのような作品ですが、twitterに投稿したものをまとめるのが大変で、いっそゲームにしようかと計画を立てていたところ状況が変わってしまい途中でお蔵入りに……。

卵~幼獣編、成獣編、人間界編がありますが、人間界編の途中で未完のまま止まっております。


Ⅰ.卵~幼獣編



Ⅱ.成獣編



Ⅲ.人間界編

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よしかずちゃん 2021/07/28 09:42

リディの物語 -Ⅰ.卵~幼獣編-

LINK: 目次>「Ⅰ.卵~幼獣編」>「Ⅱ.成獣編」>「Ⅲ.人間界編」



卵期


 二翼の羽が生えた薄い膜、その中で激しく脈打つ赤い心臓、貴婦人の香水のような強烈な甘い香り――最近闇市で不正に流通しているという、淫獣・ルクスリアの卵だ。
 ルクスリアは性交を通じて相手の魔力を奪い尽くす恐ろしい魔法生物で、主に4種の色を持ち、それぞれに特徴がある。
 今にも生まれそうなこの卵から孵るルクスリアは――……、

品種アンケート

ルクスリアの品種

ムーンナイト

 青い肌にドラゴンの尾を持つルクスリア。
 個体差に限らず、まったく乳房が発達しない品種。そのせいもあり雄に似た外見が多い。
 タフで性交のセンスが高い。絶倫すぎてうっかりターゲットを腹上死させることもしばしば。

ブラッドルージュ

 赤い肌に獅子の尾を持つルクスリア。
 誇り高く美に執着する者が多い。ターゲットの選り好みが激しく、たとえ魔力が十分でも外見が醜悪であったり内面が稚拙であれば見向きもしない。

ジョンブリアン

 黄色い肌に蠍の尾を持つルクスリア。
 無邪気でイタズラ好き。快楽を追求する性分で、ターゲットの魔力を吸い尽くす前に次のターゲットへ浮気したり、他のルクスリアのターゲットに手を出しトラブルメーカーになることも。

ロマンチック

 滅多に生まれない希少種のルクスリア。灰色の肌で体の模様は必ず桃色となる。尾は蛇。
 ルクスリアの中で最も人間に近い感情を持ち、ターゲットに対する愛情が深い。生涯たった一人のターゲットのみに取り憑くと言われている。




 卵から生まれるルクスリアは、灰色の肌に桃色の模様を持つロマンチック。
 ロマンチックは滅多に生まれない、珍しい品種だ。

 ルクスリアの肌の色のトーンや羽の色は個体によって千差万別で、幾万という配色パターンがある。
 この卵から生まれるロマンチックは――……、

体と模様の配色アンケート

羽の色アンケート




この卵から生まれるルクスリアは、全体的に薄めの配色らしい。
――卵の心臓はいっそう激しく脈打ち、いよいよ殻が破裂しようとしていた。



幼獣期


 ルクスリアの楽園・ポルネリア島でまた一つ卵が孵った。
 灰色の肌に淡紅色の模様……めったに生まれない、ロマンチックの幼獣だ。

 ルクスリアは生まれた瞬間から自分の名を知っている。彼らの名は卵の魔力、つまりこのルクスリアが生まれるために魔力を吸い尽くされた哀れな魔法使いの名であるからだ。
 この幼獣の名前は――……、

名前のアンケート

一人称のアンケート

性格のアンケート




 「リディ!」
 自分の名前を悟った幼獣は小さな羽をはばたかせた。自分がどんな生き物でなんのために生まれかは、本能的にうっすらと理解しているらしい。


 ポルネリア島は平和で美しい島だ。木々にはさまざまな色の木の実がなっている。特に目を引いたのは、ひときわ美しい真っ赤な木の実。
 ――『アプロディアの実よ』


 教えてくれたのは、ブラッドルージュのヴェガ。
 ブラッドルージュは赤い肌に獅子の尾を持つ、誇り高く美しいルクスリアだ。
 「その実を食べると乳房が美しくなるの。生まれたてならちょうどいいわ、一つ食べておきなさい」
 リディはアプロディアの実を――……、

胸の大きさアンケート




 リディはアプロディアの実を一つ食べた。甘くてやさしい味がするその実は、食べれば食べるほど心が豊かになってゆくようだった。
 『おっ、ロマンチックじゃん!めずらしー』
 夢中で食べていたそのとき、黄色い手がリディの羽をつかんだ。


 ジョンブリアンのレオンだ。
 ジョンブリアンは黄色い肌に蠍の尾を持つ、無邪気でイタズラ好きなルクスリア。
 「こんな豊胸の実なんかよりこっちを食えよ、強くなるぞ」
 そう言って渡されたのは毒々しい色の木の根、”サテュロイの根”。
 リディはこの根を――……

股間の大きさアンケート



 サテュロイの根は臭くてかたくてとてもじゃないが口に含めるものではない。
 「遠慮しないで食えよ、ほれほれ」
 レオンがふざけておしつけてくるが、リディは必死に拒否した。その時――……、
 『新入りいじめはやめろよ、みっともない』


 助けてくれたのはムーンナイトのナイト。
 ムーンナイトは青い肌にドラゴンの尾を持つルクスリア。何を食べても乳房が発達せず、内面も雄に近いものが多いのが特徴だ。
 「こいつらに絡まれたら面倒だぞ。お前はあっち行って花でも食ってきな」


 ぽいっと投げられた先は、輝く花粉をまきちらす不思議な花・マーリヤの花畑。
 マーリヤの花は色によってさまざまな効果があり、蜜の味がする花粉はなめると鬣が艶やかになるという。


 マーリヤの花をむしゃむしゃ食べながら、リディはあることに気づいた。
 ポルネリア島にはたくさんのルクスリアたちが住んでいるが、なぜか自分と同じ肌の色が見当たらないのだ。


 赤でも青でも黄色でもない、くすんだ灰色の肌……。これはもしかしたら病気なのではないかと、リディはだんだん不安になってきた。
 「リディ……、リディ……リディ…………」
 リディは――……、

今後仲良くなる先輩ルクスリアを選ぶアンケート



 「リディ、しぬの、ヤッ!!!」
 「うわっ!?」
 「リディ、あおいのがいい!!」
 「なんだ、どうした?」
 「リディ、びょうき、ヤッ!はいいろ、キライッ!」
 「……もしかして、灰色の肌が病気だと思ってるのか?」


 「大丈夫だよ、お前の肌は病気じゃないから。ちょっと珍しいだけなんだ」
 「今いるロマンチックって、ノエルとこいつの二匹だけだもんなー」
 「のえりゅ……?」
 「あなたと同じ、ロマンチックのルクスリアよ」


 ノエルとは、ナイト、レオン、ヴェガの三匹と同じ時期に生まれたロマンチックのルクスリアだ。
 ロマンチックは他のルクスリアたちとは違い、生涯たった一人のターゲットを愛し貫く。ノエルも自分のターゲットを見つけてからというもの、一度も島に帰らず人間界にいるのだという。


 「せっかく人間界に降りたのに一人としかやらないなんて、あいつも頭おかしいよなぁ!」
 笑って茶化すレオンに、ヴェガが眉を吊り上げて反論した。
 「ノエルは一途なのよ!人のモノを横取りするお前のような外道には到底分からないだろうがな!」
 「おいおい根に持つなよ~」
 ……どうやら、この二人は昔何かあったらしい。


 ヴェガが怖いので、リディはナイトに聞いてみた。
 「にんげんかいって?」
 「アトランジュ。人間の住む国だよ。……お前も、成獣になったら行くんだよ」
 ナイトは、微笑みながらもどこかさびしそうだった。


 みんながいろんな顔をする、人間界・アトランジュ。
 一体、どんな場所なのだろう?人間とは、どんな生き物だろう?
 自分もノエルのように、誰かを好きになる日が来るのだろうか?

 そんなことを考えながら、リディは星雲のベッドで眠りについた。


一年経過


 リディが生まれて1年がたった。
 鬣ものび、翼も大きくなった。最近は角がズキズキと痛む。ナイトが言うには今がちょうど角の成長期なんだとか。

 ルクスリアの角は山羊角だと言われているが、山羊にもいろんな種類がある。
 リディの山羊角は――……、

角の形アンケート




3年経過



 リディが生まれて3年がたった。
 小さな角は立派に成長し、乳房は盛り上がり、性器も成獣のそれと変わらない大きさになっていた。
 成長したリディの体は常に何かを渇望し、日ごとに熱く疼く。

 ――成獣になるまで、あと少し。


(※成獣編のまとめは現在作成中です)

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よしかずちゃん 2021/07/26 20:01

淫獣Luxuria -世界観設定本WEB再録-

絵と文で「淫獣Luxuria」の世界観を図解する設定画集のWEB再録。
2017年発行/全28P/フルカラー

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