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2021年 10月の記事 (2)

カサデルガポは、かつて存在した日本の飲食店

カサデルガポは、かつて存在したスペインバルです。
池袋西口からちょっと歩いた先の、うらぶれた路地にありました。

カサデルガポとの出会いは、時を遡ること7年……2014年のことでした。
当時、私は印刷会社で働いていて、新規顧客開拓リストを与えられていました。
その中に、クリエイト・レストランツという会社があったのです。同社は、今も存在する飲食店を運営する企業です。
傘下の店舗をどんどん増やし、五反田の本社も行くたびにどんどん社屋が豪華になっていく、そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの会社でした。
そんな会社に何とかして入り込めないかと考えた私は、商材の調査のため実際にクリエイト・レストランツ傘下の店舗に客として足を運んでみることにしたのです。

そこで選んだのがこの、カサデルガポでした。

看板メニューは、このマッシュルームの鉄板焼き。アヒージョほどオリーブオイルひたひたではないですが、まぁアヒージョのようなものです。
私はこのメニューに出会って以来、「アヒージョうますぎでは?」とアヒージョは元よりスペイン料理全般の虜になりました。

一番おいしかったのが、中央やや右のお皿に三つのっているデーツのベーコン巻き。デーツはプルーンみたいなものだとおもってください。
デーツの甘味とベーコンと塩味が最高のハーモニーを奏でます。
後述する渋谷の姉妹店カサデルブエノにはこのメニューがないのが残念でした。

飲み物はサングリアが名物でした。果肉がたっぷりのっててとても美味!
あと、うろ覚えですが確かブランデー入りコーヒーもあったような。ブランデーは自分で好きなだけ入れるタイプの奴です。ストレートでワンショットついてきます。なのにコーヒー一杯分の値段で飲めるので超お得。
この他、写真はありませんがイベリコ豚の生ハムがとてもとても美味でした。他の豚とは違った濃厚な味わいです。これは多くのスペインバルやイタリアンでも登場するポピュラーなメニューなので、メニューに生ハムを見かけたら一度はイベリコ豚のものを頼んでみてください。ややお値段は張りますが、本当に美味しいです。

以上のような名店だったのですが、ここはもう閉店してしまいました。
姉妹店だった渋谷スペイン坂のカサデルブエノも閉店。メニューの互換性はありませんでしたが、カサデルガポと同じムードを持った店の存在はとても心強いものでした。しばらくすると店名も路地裏ワイン酒場ブエノとなってリニューアルしたようですが、今では閉業しています。

正直、悲しすぎる……スペイン風オムレツやタコのガルシア風も美味でしたのに。

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マニアックハーバーは、かつて存在した日本の飲食店


マニアックハーバーは、かつて秋葉原と末広町のあいだの路地にありました。
業態としてはただの普通の飲食店。女性従業員の接客を伴ういかがわしいお店ではありません。
ただウェイトレスのお姉さんがエッチなコスチュームに身を包み、「待ち伏せ行為はご遠慮ください」などと闇の深そうな張り紙がされているだけのお店です。

エッチなコスチュームというのは、制服を思わせる襟つきのブラウスに紺のプリーツスカート、そしてまぶしい絶対領域の黒ニーソ。
店内は三階建てで、メインのフロアは二階なのですが、階段は急で、際どいミニスカからパンチラしてしまうくらいです。
でもご安心ください。ちゃんと見せパンをはいています。

二階のフロアには大きなスクリーンがあり、歴代アニメのOPやEDなどが延々と映し出されます。客席に座ってみんなでその映像を見たり音楽を聴いたりしながらそれらの作品に関する思い出話に花を咲かせるというのがこのお店の楽しみ方です。ウェイトレスのお姉さんをナンパしてはいけません。

そんなマニアックハーバーが、ある日突然ネット上から姿を消しました。
現場へ急行すると、そこにはかつてと違う看板が。

店内は前と同じ装い。スクリーンにアニメの映像が流されているのも同じです。
ウェイトレスのお姉さんも相変わらずエッチなコスチュームから絶対領域を輝かせています。





一体なぜ、マニアックハーバーはミナトグリルへと変わったのでしょうか?
「ここ、店名とメニューが変わっただけでリニューアルオープンみたいな感じなんですか?」
「そうなんですよ~。オーナーは前と同じなんですけど」
新米風の女の子が優しく答えてくれました。
「違うよ」
しかし、カウンター越しに突き刺さる冷たい声。
「違うよ、違う」
先輩風のお姉さんが、こちらを見て首を振っています。
空気を凍りつかせながら、彼女はカウンターの向こうからこちらへきます。
「お客様、前の店のことについては私どもには知らされておりませんので、お答えすることはできません」

彼女たちが去ったあと、私たちは顔を見合わせました。
「私たちには知らされておりません」と言いながら、リニューアル説は「違う」とはっきり否定しました。
新米ウェイトレスさんが口を滑らせようとした瞬間直ちに釘を差した様子も、ただ事ではないことを窺わせます。
一体、何があったのでしょうか……釈然としない気持ちを抱えたまま、私たちは店をあとにしたのでした。

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